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ムーラ帝国後見人争い

 前皇帝崩御が公表されると、あちこちで幼帝の後見人がわいて出てきた。後見人同士が武力衝突をしている。その間隙をぬって皇帝一族とは縁もゆかりもなさそうな男が百代前の皇帝の子孫を名乗って、軍を率いて、アール皇帝が住む海底都市に侵攻してきた。その数数千人。


 迎え撃つは私とゆきちゃんとフェンちゃんと近衛兵士型ゴーレム二百体と聖女軍五十人。


 私は軍事はよくわからないので、ハーベスト准将の下で学んでいるゆきちゃんに指揮を任して、私はゆきちゃんの指示に従うことにした。


 ゆきちゃんは敵の正面にゴーレム二百体を配置して、敵の攻撃をゴーレムに集中させる。ゴーレムは正面からの攻撃には強いけれど、背後からの攻撃には弱い。聖女軍五十人はゴーレムの背後を守る。ゆきちゃんもフェンちゃんを連れて同様にゴーレムの背後を守りながら敵主力を削って行く作戦を立てた。


 私の役割は遠距離からのファイアボルト攻撃で敵の数を削ること。海底都市を覆うドームに損傷を与えないように、ファイアボルト攻撃の魔力は出力を弱め。間違っても特大のファイアボルトは厳禁と指示された。


 敵はこちらの数が少数なので、一気に包囲殲滅せんめつ狙いで突進してきた。私は敵がファイアボルトの射程内に入ると、攻撃を開始。魔力の出力の調整が難しい。日ごろから特大ファイアボルトに慣れすぎた。つい大きのができてしまう。


 砲撃をまったく予想していなかった敵軍はファイアボルトの射程圏外に後退した。けっこうな兵力が削れたように思う。


 ゴーレムを主体としたゆきちゃんの軍がゆっくり移動し始めた。敵軍からは無数の弾丸がゴーレムに放たれた。帝国って銃撃戦なんだ。矢ではないんだ。


 ゴーレムは銃弾に当たっても問題なく、ゆっくり敵軍に向かって進んでいる。私は伏兵に備えながらゆきちゃんたちの背中を守った。敵がファイアボルトの射程内に入れば、中くらいのファイアボルトを連射した。このくらいだと海底都市に影響は及ぼさない。


 敵軍が撤退を始めた。「ゆきちゃん、敵が逃げるけど」


「深追いはしません。後の始末は別の後見人候補がすると思いますから」


 ゆきちゃんの予想通り、出し抜かれた別の後見人候補の軍に襲われて、後見人候補さんは戦死したらしい。


「今回、エマさんのファイアボルトを見せたので、次の敵は砲兵中心の軍隊だと思います」


 私はゴーレムにめり込んだ銃弾を見てエミール銃改より射程が長いし、威力も大きい。これだと、聖女軍の鎧では簡単に貫いてしまう。なんとかしないと。


 敵のライフルを鹵獲ろかくした。技術力の差が歴然としていた。武器を見て私は美しいと思ったのは初めてだった。


 冢宰ちょうさいさんから念話が入った。冢宰さんはディアブロさんの後輩の悪魔さんだから念話ができて当然だと思うけど、びっくりしてしまう。


「もしもし、エマです」


「デルフォイです。次の後見人候補が戦車を二十両と歩兵三百人を率いって進撃してきたので、ご報告します」


「戦車ですか? 戦車ってなんですか?」


「大砲を積んだ車でしょうか」


「デルフォイさん、ご連絡ありがとうございます」


「私のことはデルフォイと呼び捨てにしてください。ディアブロ先輩はそういうところを気にしますから。お願いします」


「わかりました。デルフォイありがとう」


 デルフォイさんとの念話が切れた。


「ゆきちゃん、戦車と歩兵を率いた後見人候補が来るのですって」


 ゆきちゃんが聖女軍五十人とゴーレムに王宮を守るように指示を出した。


「ゆきちゃん、私はどうしたら良いの?」


「エマさんは私が合図をしたら車の地面に穴をあけてください。歩兵は私が片付けます」



 戦車って箱? 車って言ってたけど、車輪がない。


「エマさん、砲弾がきます」


 砲弾が飛んできた。私のシールドに命中した。こんな大きな衝撃は初めて感じた。帝国の兵器って凄過ぎる。


「エマさん、穴、深めで」


「了解」私は戦車の真下に大穴を開けた。次々と戦車は穴に落ちていった。それを見た歩兵の皆さんが降伏しますと言って武器を一斉に地面に置いた。ゆきちゃんの出番がなくて、ゆきちゃんのテンションがだだ下がり。


 後見人候補の人とその側近の人たちは、部下を見捨てて逃げて行った。根性なし。責任者は残れよ。


 穴の中から、「助けてください」と声が聞こえたので見に行ったら、穴の中にかなり湧き水が出ていた。ここって海底だから当然か。戦車の中の人たちが溺れそうだったので、手早く光のロープで拘束しながら地面に釣り上げた。



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