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ムーラ帝国

「ムーラ帝国の方がどうしてユータリアに来られているのでしょうか?」


「視察です。この地は元々ムーラ帝国の領土でしたから」


「視察中に、ダンジョンに居座っていた太古の悪魔が勇者によって退治された。数多くの財宝がそこには眠っているという噂を聞きました。その財宝はムーラ帝国の財宝なのは間違いないので、回収しにきたわけです」


 ダンジョンの財宝って、鍛冶屋さんがせっせと作製している魔剣の類いかなぁ。ムーラ帝国の財宝はダンジョンにはたぶんないと思う。あったとしてもディアブロさんがどこかに隠匿していると思う。財宝をあの吸血鬼に渡すはずがないもの。


「視察ですか? 何のために」


「海底で暮らすのに疲れたからだよ」とレンジャーが言った。


「魚が泳ぐ姿を見る毎日に飽きたと言っても良いかと、拙僧個人としては瞑想できるので悪くない環境だと思いますが」と僧侶が話した。


「地上での暮らしは不便だよ。トイレも水洗トイレじゃないし、トイレットペーパーさえもないし、温水便座もない。ナイナイ尽しで本当に不便この上ない」と戦士さんが愚痴をこぼしていた。内容がすべてトイレ関係なのはなぜだろう。


「我々の文明をまた地上にもたらせば、あれらによって海底に沈められる。最悪、海底都市が破壊されるかもしれない。ことは極秘裏に進めないといけない」とリーダーらしく剣士が言う。


 ムーラ帝国が地上に攻めいるということではなさそうだ。私は少し安心した。


「拙僧の地上の国々を視察した感想ですが、極めて野蛮な国が多い。大した価値もないの領土を奪う合うなど、愚かとしか言えません」


「そんな地上なのに帝国を抜け出して村とかを作っている帝国臣民がいたりする」と剣士が嘆いていた。


「海底の生活が退屈だからだよ」とレンジャーがまたツッコミを入れていた。


「視察報告書には、女王エマが統治している、聖女国とウエストランド王国とホーエル・バッハ大公国は、そこそこ治安も良く、経済も発展していると報告する程度でしょうか。後はどこもかしこも混乱中としか書けないですな」と僧侶が言った。


「ええと、ホーエル・バッハ王国ですよね?」


「いや、現地では自分たちは女王エマの臣下の国で、そこの領主は女王エマより大公に任ぜられたと言っていました」


 私はそんなことを言った覚えはないよ。ホーエル・バッハも私の国にって困るよ。


「理解できないのが、女王エマの行動です。無理矢理ユータリア王国の王妃になった割には、王族を消して王権を簒奪さんだつしない。そうすれば、女王エマの生まれた国、バイエルン王国を除いて、この国の君主になれるのにそれをしない」と剣士が言う。


 私は無理矢理王妃にされたのであって、無理矢理王妃になったわけじゃない。訂正したい。第一、私は君主って柄じゃない。私の夢は庭師兼業農家ですから。それと一応家庭医かな。難しい病気は専門のお医者さんに回すお医者さんです。


 あれ、ゆきちゃんがいない。

「どなたか、うちのゆきを見ませんでしたか?」


「ゆき殿なら、そうですな小一時間前からいなくなりましたよ」とマジックキャスターが教えてくれた。


 ゆきちゃんがトイレ。ゆきちゃんはアンデットだからトイレには行かないし、どこへ行ったのやら。


「ゆき殿が、何かを担いでこっちに来られてますよ」と僧侶が教えてくれた。


 ゆきちゃんは大きな猪を担いでこっちに向かってきていた。


「ゆきちゃん、その猪はなんですか?」


「夕食の準備をしないといけないと思いまして、材料を探しにちょっと森まで行ってました」


「森ですか。この付近には確か森はなかったと思うが」とマジックキャスターが言う。


 ゆきちゃんは、黙っていてと目で私は合図を送った。


「ここは太古の悪魔の結界の力が残っています。森がですね隠されているわけです」と私がフォローした。数百キロ先の森で小一時間で猪を狩って戻ってくるなんて、人間には無理だもの。


「すみません、私、猪を解体できないので、どなたかお願いします。猪は気を失っているだけなので、注意してくださいね」


「ああ、私がやろう」と剣士が言う。


「若君はダメです」と戦士が止めた。


「私にはできないと言うのか?」ちょっと剣士が怒っている。


「若君がやるとですね肉がまだ残っているのに捨てるなど、極めてもったいないことをされます。ここは料理上手な私がします。携帯食に飽きたところです。この立派な猪を余すところなく食べたいですから。とりあえず豚シャブか焼肉にしましょうか」


 私たちはダンジョンの入り口でキャンプをすることになった。


 

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