俺は国王になる
ハンニバルは転生者でした
俺は飛行機事故死んだ。前世では軍大学を最優秀の成績で卒業して、エリートコースをまっしぐらだったのに。飛行機事故に遭って気がついたら赤ん坊になっていた。
「あなたは天才よ、あなたこそが当家を侯爵家から公爵に陞爵させる人物」だとウンザリするぐらいエンドラのババアに聞かされている。
俺は、公爵とかになるよりも国王になる。
俺はもう間もなく1歳になる。俺の予定では軍を俺の手中に収めて、27か28歳で王権を簒奪し、俺が王になる。それに反対する奴は粛正する。親だろうと兄弟姉妹、親戚、友人だろうと容赦はしないつもりだ。
エンドラのババアは鬱陶しいので出来るだけ早く始末したい。先ず、俺はこの侯爵家を俺のものにする。長男、長女はゴミだ。
問題は高等部に飛び級した二女だ。ババアは馬鹿だと言うけれども、飛び級する人間をなぜバカ呼ばわりするのかが俺には理解できない。出来れば早く二女の器を見極めたい。俺に協力するなら手駒に加えてやっても良い。その前にエンドラのババアに消されているかもだが。もし生き残る奴なら手駒にしたい。
早く初等部に行き飛び級で軍大学に進学する。そこからが俺の人生の始りだ。王になるという確定した未来が俺には待っている。将校になる。有用な人材を集めて軍中枢を掌握し、目障りな大貴族を倒し、俺を中心とする青年将校がクーデターを起こして軍権を把握し、王家を傀儡として操り、その後これまでの失政の責任をすべて王家に負わせて処断し、俺が国王になる。その後は商業を振興し、大貴族、王家から取り上げた農地を農民に分配して農業を発展させ国力を蓄え、近隣の小国家郡を従わせる。これは40年後のこの国の未来だ。
現状俺がすべきことは侯爵家を富ますこと。当主(仮)の領内改革を一気に促進させること。ババアは税金を上げると、領民が逃げる事は理解している。領民に戻って来て欲しければ、税金を下げれば良い。簡単な事だ。そして土地を貸すのではなく、農民のその働きに応じて土地を分配して自作農民を増やせば良い。そうすれば、そう簡単に自分の土地を捨てて農民は逃げられなくなる。
一時的に税収は減収するだろうが、侯爵家の無駄な支出をカットすることで財政を均衡させる。無駄な支出の大元はこのババアなので、ババアには消えてもらう。あと10年ほどで消えてもらう予定にしている。
領内経営は、当主(仮)に働いてもらう方が良い。当主(仮)の領内統治の手腕は見るべきものがある。俺が王になれば宰相として補佐してほしい人材だと思う。ババアは無能だと蔑んでいるが、ババアが一番無能だ。
ババアは今日も王家の素晴らしさを大演説している。王家とともにこの侯爵家は栄えるのか。俺が王家を滅ぼしたら、侯爵家が王家になるだけだ。大貴族が横暴なのは王家の力が弱っているから、足元を見られている。なぜ、我が家に横暴な貴族の始末をさせないのか。そんなことをすれば内乱になって王家が潰されるから。1歳の俺でもわかることがこのババアには見えていない。時代は変わっている。
この侯爵家も当主(仮)の実家からの融資がなければ、侯爵家の維持も領内経営のための資金が足りないことが明白なのに。商人は下賤だ。領民が逃げ出すのは恩知らずだとか妄言を吐いて現実を認めない。既に貴族の古き良き時代は終わったと言うのに。俺がそれをわからせてやる。古き貴族よさようなら。新しい貴族よこんにちはだ。あらゆるものが一新される新しい世界を俺がもたらす。
今は雌伏の時だ。2歳になったら当主(仮)の補佐をしよう。俺の基盤となる侯爵家が借金まみれでは困るから。ある程度俺が今後の領内経営の方針を立てておけば、ババアも俺を天才だと思っているから協力するだろうしな。それにしてもこのババアはよく喋る。内容がこれほどない演説は、これまでの人生で聞いたことはない。まだ生まれて1年未満だけどな。
ババアはお腹が大きいのだから、ゆっくりすれば良いのに、誰かこのババアの暴走を止められる大人はいないのか。俺にババアのお守りを押し付けるのはやめてほしい。とっても不愉快な気分になる。俺は深くため息をついた。
「どうしたのハンニバル」
「いえ、母上は身重にもかかわらず、私の世話をしていただき私は本当に幸せ者だと思ったのです」
「ハンニバルにはこの侯爵家の命運がかかっているの。私が頑張らないで誰が頑張るのですか、この家には無能と害虫しかいないのですから」
俺としては、有能な当主(仮)と話しがしたい。
時系列がおかしいのでちょっと修正しました。文章を削りました。




