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王城の悪魔その2

私の近くに落雷があった。周りの景色がすべてが真っ白になって静寂が訪れた。


「エマ、聞こえるか?」


「なんですか? 青い小鳥さん」


「処刑されそうになった娘はゆきが保護した安心して良い」


「良かった。あっでも作戦は大失敗だ。どうしよう」


「エマの心が憎悪に染まった。エマがこの惨劇を引き起こした。しっかり見て覚えておくことだ。次にエマが憎悪に駆られて暴走すれば、もう私にはエマを止める力は残っていない。エマ自身が気づいて自らを止めなければ世界が破滅するだろう」


「私はどうしてこんなことをしてしまったの!」


「エマ、人間は愚かで人の不幸に喜びを感じる生きものだ。人の心の中には悪魔が住んでいる。そのことをしっかり理解しなさい」


「私はどうしたら良いのでしょうか」


「ニコラに救いを求めなさい」


「ニコラ、お願いこの人たちを癒やしてあげて!」


 私はニコラに魔力を与えながら、王城を見た。王城のバルコニー・テラスは崩れていた。王宮内では火災が発生したようで、そこかしこの窓から黒い煙が出ている。多くの人が傷ついていた。この惨劇のすべてをやったのは、この私だ。


「エマさん、ニコラちゃん牢に行きます。後は革命派の人に任せなさい」


「マリアさんの弟さんたちの奪還がまだですから」


 私はゆきちゃんに従った。ニコラもついてきてくれた。


 ダニエル君の案内で王城の牢に着いた。牢屋の門番はこの騒ぎで逃げたようでそこには誰もいなかった。牢の入口の扉に鍵が掛かっていたけれどもアンロックの魔法で簡単に解除できた。



「牢屋の中では誰もが怯えていた。


「ニコラ、癒しをお願い」


 ニコラはキュアの魔法を牢内にいる人、皆んなに掛けていた。


「お姉様、助けにきてくれたのですね」


「家族ですから」


「私たちはここを去ります。牢屋の鍵は開けました。残念ながら皆さんを救う力は私たちにはありません。各自で逃げてください」と私は宣言をした。ここにいる数十人もの人たちを私は救えない。


 私はヴァッサで、ゆきちゃんたちをフローティングボードに乗せて一気に牢屋を出た。


「マズいですね。王都の民兵が門を固めています。大砲まで持ち出したようです」



「エマさん、この責任は取ってもらいますから」


「空中から大砲を無力化してください」


「ゆきちゃん、ごめんなさい」


「謝罪は作戦終了後受けます」


 私はヴァッサを操り各門を固めている大砲にファイアボルトを放って大砲を破壊した。王宮の空を飛んでいると、王宮の窓から狙撃された。精霊さんたちが反撃する。その結果を私は見なかった。



 私たちは王城の南門から城の外に出た。南門から出た理由。大砲を破壊したら南門の民兵の人たちが一斉に逃げ出したから。抵抗されずに出られると思ったから。


「あのう、ゆきちゃん」


「エマさん、まだ作戦継続中です。追手が掛かると思いますし、貴族狩りの部隊と遭遇する事も、フランソワさんが街で裏切りにあって人質になっている可能性も高いですから、まだ無事にユートリアに帰れるかどうかはわからないです」


 マリアの弟さんたちは衰弱していたものの生命には別状はなかった。道の状態が悪い脇道を歩くのは無理なので彼らにはフローティングボードに乗ってもらい、私たちは徒歩で移動した。



「マズいですね。検問をやっています」とダニエルが言った。


「私、一人で行ってきます」皆さんはここで待機していてくださいと、ゆきちゃんが一人検問所に向かった。検問の件は数分で片がついた。ゆきちゃんがこちらに来るようにとハンドサインを送ってきた。さすが第七軍の参謀だと思う。


 検問所にあった食料で遅い朝食を食べた。検問所の人たちは縛られている。ライフル銃はすべて銃身がへし折られていた。


「エマさん、脇道にも検問所を置くくらいですから、普通に街道を歩いても問題はないと思います。おそらく街での戦闘は避けられないので、できるだけ敵の兵士の数を減らしたいです。脇道だと時間も掛かりますので正々堂々街道を行く方が良いと思います」


「このまま脇道を進みます。街道を利用する一般の人たちを巻き込むわけには行きませんから」


「了解です」


「ゆきちゃん、この縛られている人たちはこのままで良いのかしら?」


「死にたくなければ、自分たちでなんとかするでしょう。放置します、皆さん出発です。エマさんがここに残れる時間が迫っているので、急いでください」


 私は賢者様と一週間の約束でユートリアを抜けてきた。あと二日で戻らないといけない。

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