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侍女ミレーヌ

「ミレーヌの兄、フランソワは平民派の中でもっとも穏健派だ。それに彼は聡明だから問題ない」


「私たちはミーレヌさんという侍女の方を頼れば良いわけですね」とゆきちゃんが確認している。


「マリア、これはミレーヌへの手紙で、こちらはフランソワへの手紙だ。頼むぞ」


「お任せください。母上とついでに父上」


 マリア、キツいよオクレール伯爵が泣いてるように見えるのだけど。


 私たちは、高速艇でフツ国に潜入し、高速艇は海岸にあげ、私が魔石で高速艇に結界を張りマリアが土魔法で高速艇を海岸に埋めた。


 私たちは、光学迷彩ローブをすっぽり頭から被って、ミレーヌさんという人の家に向かった。ミレーヌさんの家に無事着いたものの家の中で言い争いをしているようなので、しばらく様子を見ることにした。


「貴族全員を処刑するなど、私は反対です。私の主オクレール伯爵は良い方でした」


「そのオクレールはどこへ行った。二人の子どもを残して姿を隠してしまった。多くの貴族が平民会議の許可なく外国に逃げている。これはフツ国を思う気持ちがないということだ。貴族と平民が共同して、混乱しているフツ国の再建にあたるという約束を反故ほごにしたのも同然ではないか!」


「平民会議の過激派が貴族を毎日襲撃しているから、貴族側から見れば当然のことだと私は思います。オクレール伯爵の子どもたちは無事でしょうか?」


「今のところは。しかし、国家反逆罪で三日後には王城の牢を出されてルーフル公園でその母親共々処刑される」


「そんな無法な!」


「ミレーヌ、この国に正義はない。力を持つ者の意見が優先される」


「それでは、これまでと同じではありませんか? 貴族の横暴が革命派の横暴に変わっただけです」


「ミレーヌ、気を付けろ。お前は俺の妹とだから大目に見られているが、オクレールの侍女という立場は極めて危険なんだ」



「お取り込み中すみません。ミレーヌさんとフランソワさんに手紙を持って参りました」


「お前、どこから入った」


「入口が開いておりましたので、入口からです。呼び鈴を鳴らしましたし、お声かけもしたのですが」


「今の話を聞いたよな」


「はい、もちろんです。これがお話に出てきたオクレール伯爵から預かったお二人への手紙でございます」


「これがミレーヌさんへの手紙で、これがフランソワさんへの手紙です」


「ミレーヌ、お前への手紙にはなんと書いてあった」


「マリアお嬢様がこちらにきているので協力してほしいと書いてありました」


「俺の方は会議には必ず出席する。過激派に生命を狙われているので身を隠していると書いてあった」


「おいお前」


「マリアがここにきているのか?」


「はい、外で待っておられます」


「お前たちは馬鹿か? 誰かに見られたらおしまいだぞ!」


「中に入ったもよろしいのでしょうか?」


「早く入れ、俺たちまで処刑される!」


「マリアさん、皆んな入っても良いそうよ」


「マリアお嬢様、お元気そうでなによりです」

「ミレーヌも元気で良かったわ」


「俺は礼儀知らずではないので、お前たち、子どもに対しても自己紹介をさせてもらう。俺はこの家の主人でフランソワという。こいつは妹のミレーヌだ」


「お初にお目にかかります。私はオクレール伯爵の娘、マリアでございます」


「私はマリアさんの友だちのニコラです」


「私はゆきです」


「私はエマです。よろしくお願いします」


「お前たち、四人でマリアの弟たちを助けに行くのか? 王城の牢だぞ! ふざけるな」


「ミレーヌさんのお兄様には迷惑はかけないように穏便に救出する予定ですから」


「お前たちが来た時点で迷惑はかかっている。俺たちには見張りが付いている。今ごろは革命委員会に連絡が入って、義勇兵が来るはずだ」


「外の見張りはご心配なく、首から下は埋まってますので動けません。それとお兄様に向けて放たれた刺客は生き埋めにしましたので、しばらくは安全だと思います」


「俺に刺客?」


「刺客に何か尋ねたいことがあるのなら、まだ死んではいないと思うので掘り出しますか?」と私はフランソワさんに尋ねてみた。


「その必要はない。しかしお前たちは何者だ」


「マリアさんの友だちです」と私が答えると「ミレーヌ、めまいがする椅子を持ってきてくれ」とフランソワさんが椅子に座った。


「皆さまはマリアお嬢様と同じ魔法使いなんですよね」


「私は魔法は使えません。私はエマさんの副官です」


「副官、お前は軍人なのか?」


「はい、ハーベスト准将より、第七軍参謀に任命されました」

「エマさんは第七軍軍団長です」


 ゆきちゃんが参謀になったなんて聞いてないけど。ゆきちゃんまずいよ。しゃべり過ぎだよ。





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