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ユートリアの結界、マリアの両親

 賢者様にはめられた! 私がユートリアの結界を張り直すとフツ国の亡命貴族がユートリアに来られない。


 困った。けれども、まだ見ぬ貴族の心配よりも、厄介な外国船がユートリアにやってくるのを防ぐのが一番重要なはずだと私は思うことにした。これ以上花壇と畑の世話の時間を削られるのは私には絶対に無理なのだから。


 聖女国に戻って魔石を確保して、王宮図書館で結界の魔石がどこにあるのかを調べて八つの結界の魔石の交換作業を私とゆきちゃんと二人で行った。


 三日ほどで完璧な結界が張れた。これで厄介ごとが少しは減ったと思う。亡命貴族たちのためではないけれども、ユートリアの領海には警備の船を今の倍の四隻にした。ウエストランドのカバラさんにお願いして最新の警備艇を回してもらった。


「エマ様、やはり結界を張りましたか?」


「メイ、イン、リーベンの三国だけで手一杯です。これ以上の対応は私には無理です。外交担当者を育てないといけません」


「私としてはユートリアの青年を海外に留学させて学ばせたいと思っております、そうは言っても戦力になるのは五年、十年先でしょうけど」


「そうそう、エマ様、メイ、イン、リーベンの船にそれ以外の国の使節団が乗船しても結界は弾きませんから、外交も頑張ってくださいね」


「ありがとうございます。賢者様、涙が出るくらい嬉しいです」


「それと、ウエストランドからフツ国に向かわせた船がマリア殿のご両親を無事乗せて数日中にウエストランドの港に着くとの連絡が入りました」


「良かったです、私、マリアと一緒にお出迎えしたいのですが、よろしいでしょうか?」


「王宮にエマ様がいないと、すべての決済がなぜか無役の私に回ってきます、本来であれば摂政代行のクランツ王子に回らないとよろしくないのですがね」


「クランツ王子に回しても戻されているからだと思います。あるいは初めから回さないようにクランツ王子自ら担当者に厳命しているのかのどちらかでしょうね」


「そうなると、私が最終的にエマ様に代わって国王印を押すことになりますが」


「そうですね、私と相談しないといけないと賢者様が思われた案件のみ私が戻るまで保留にするというのではダメでしょうか?」


「どのくらいの期間ウエストランドに行かれるかどうかでしょうね。一週間ならなんとかなるかもしれませんが」


「賢者様、一週間で戻ってきますので、その間よろしくお願いします」


「承知しました。何かあれば私の使い魔をエマ様の元に送ります。よろしいですね」


「はい、ありがとうございます」


 私が聖女国、(最近面倒になって大の字は省くことにした)に飛んで行ってマリアと合流して、二人でウエストランドに行こうと思っていたのだが、ゆきちゃんが自分も行くと言い出した。


 マリアとゆきちゃんを二人を抱えてヴァッサで飛ぶのは厳しい。ゆきちゃんの場合は寝ずに走ってもらっても本当は良いのでけれども、さすがにそうもいかないし、そう言うことで馬車で行くことにした。


 予想はしていたけどニコラも一緒に行くことになった。温室の管理はオット様と父上にお任せした。


 ヴィクターはウエルテルが王都で仕事をしているので、真水製造装置関連の仕事が山積みになっていて、偉そうにも、ヴィクターは、「ウエルテルを早く戻せ」と訴えてきた。


 優しい私は、栄養ドリンク一年分をヴィクターにプレゼントをした。私の薬草園から選りすぐりの薬草から作った逸品をだ。ヴィクターは泣いて喜んでいたと思う。


 今回の旅は男の子抜きなので、女の子トークで盛り上がったのでウエストランドに着いた時はゆきちゃんを除いて全員寝不足になってしまった。


 マリアのご両親は既にウエストランドに到着し、ウエストランドが用意した宿舎に入っておられた。亡命なので宿舎から出ることは許されず、さらに護衛が四六時中いるので、気が休まることはなかったみたいだった。


「母上、ついでに父上ご無事で何よりです」


「マリア、ついでに父上とはあんまりではないかなぁ?」


「我が家はずっと母子家庭でしたから父上はついで十分です」


「マリア、お父様も好きで家を留守にしていたわけではありません。なんとか革命が起きないように、無駄な血を流さないように頑張ってこられたのですから、これからは親子三人仲良く暮らすのです」


「母上、弟たちは一緒ではないのですか?」


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