表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/306

マリアのご先祖様

「エマ様、なぜ急にこの時期になって外国の船がやって来るのか不思議ではないですか?」


「それは賢者様がゾーラでユートリアの真水製造装置のお話をされたからでは?」


「エマ様は王宮に外国人が入った文書を見ておられますよね?」


「はい、五百四十年前に外国人が王宮に滞在した記録を見つけました。それ以上のことはその文書には記載はありませんでしたけれど」


「その王宮に滞在した外国人はフツ国の貴族でございまして、エマ様のご親友のマリア殿の先祖でございます」


「賢者様、ユートリアにはフツ国と交流していたという記録はありませんでした」


「国同士の交流はヒノモトだけでございます。フツ国との交流はございません。魔法契約を結んだマリア殿の先祖以外とは交流がありません。それはなぜか。これまでずっとユートリアは結界で保護されておりましたから」


「そのユートリアの結界が消えたことを私は知ったので、ゾーラでユートリアの話をしました。結界が維持されていると諸外国がユートリアに行けず、私は嘘つきになってしまいますからね」


「賢者様、結界はなぜ消えたのですか?」


「魔石の交換を王家がしなかったからです」


 王族の怠慢でしたか。


「エマ様、今、王族の怠慢とかとお考えになったのでは? それは今の王族には気の毒です。ドラゴンの魔石を八つも今の王家が集められるはずもありませんから」


 ドラゴンの魔石八つならすぐに用意できるけど、お話の腰を折るので話すのはやめておこう。


「エマ様はお嫌でしょうけど」


「はい、嫌です」


「即答ありがとうございます。しかしながらエマ様に外交を担当していただきます」


 すぐにドラゴンの魔石八つを用意して結界を張りなおそう! これで私は面倒ごとから解放される。すぐにミーアさんに手紙を書かなくては!


「エマ様、ドラゴンの魔石の当てがあるようですな。お顔がニマニマされていますよ。しかし、結界を張り直しても一度ユートリアに来た国には効果が薄いですから、メイ、イン、リーベン、ロ国からの船を妨げることはできません。エマ様には外交の最前線に立っていただきますよ」


「賢者様、グレイとウエルテルで外交はお願いしたいのです。私は、ここのところ王宮ほか色々なところのお庭とか畑の世話ができておりませんので!」


「ほう、エマ様はフツ国のマリア殿のご両親を見捨てるおつもりですか?」


「賢者様、どういうことでしょうか?」


「フツ国では間もなく革命が起きて王族、貴族が罪のある無し関係なく処刑されます」


「罪もない者を処刑するなど許されることではありません。私が許しません!」


「エマ様がフツ国からの亡命貴族の保護を考えくださるわけですな」


「亡命貴族の受け入れだけです。外交は無理です。フツ国から亡命してくる貴族の受け入れ準備を……。王家にはお金がありませんでした。マリアのご両親とその親族程度しか保護できません。賢者様」



「エマ様、今はそれで十分です。フツ国にウエスランドの軍艦を商船に艤装した船を送り、マリア殿のご両親の救出に当たってください」


「マリアに手紙を書きます。迎えの船にマリアの両親が乗船するようにと書きます」


「ありがとうございます。エマ様」


「なぜ、賢者様が私にお礼を言われるのですか?」


「マリア殿の先祖を助けたのは私なので、その子孫の危機はやはり救いたいですから」


「五百四十年前、私が魔法学校の校長をしていたおり、舟遊びをしていましたら、帆柱が折れた難破船を見つけまして、私はその船に乗り移りましたら、まだ生存者がおりました」


「当時もユートリアは外国人の入国は厳禁でしたが、私は当時の王族を軽く脅しまして王宮内の私の部屋にて療養させました。気持ちの良い男でして私はすっかり気に入りました。魔法、魔術その他色々教えてやりました」


「私の魔法はエミルに依存しませんから、エミル信徒でなくて訓練さえしたら使えるようになります。とはいえ数学の素養がないと修得は不可能ですけれども」


 私には賢者様の魔法、魔術は使えない。


「賢者様はエミル様がお嫌いですか?」


「はい、もちろん大嫌いでございます」


 青い小鳥さんを見ると苦い顔をしているように見えるのでこれ以上尋ねないでおこう。


「マリアの先祖はどうなりましたの?」


「元気になり、魔法も上手く使えるようになりました。当然帰国したいと言い出しました。入国はなんとか国王に認めさせましたが、出国はさすがに許可が下りませんでしたので、私とその男は国王の前で契約魔法を交わしました。男の母国では魔法は使わない。その代わり、その男の血縁の者についてはユートリアとの交流を認めるという内容の契約を結んで、やっとのこと男はフツ国に帰国できました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ