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スコット大使魔法学校見学その2

「スコット大使、これが私たちの戦闘です。各自が魔法で見えない壁を作っています。ライフル銃程度では、その壁を抜くことはできませんでした」


「見えない部隊がご覧の通りユータリアには存在します。奇襲攻撃はいつでも可能だったりします」


「エマ王妃、私に演習を見せたことを将来後悔することになりますよ。本国に対策を立てるよう手紙を書きます」


「スコット大使、おとぎ話を誰が本当にするでしょうか? スコット大使が左遷されて頭にきた手紙だと思われると思いますけど」


「ウッ」とスコットさんはうめいた。


 演習の結果は、ゆきちゃんとチビちゃんがBチームに突貫して相手方魔法使いを空中に放り投げて戦闘不能にしてAチームの勝利で終わった。


 演習後、クランツが「エマの副官は大隊並みの戦力がある。俺にくれ」と予想通り言いにきていた。もちろん断ったけど、クランツはゆきちゃんに龍殺し一年分で近衛に来ないかと誘いをかけていた。ゆきちゃんも若干心が揺れたようですぐには断らなかった。ゆきちゃんには給料と一緒に龍殺し一本をを毎月上乗せした方が良いと思った瞬間だった。一本だと半時間でなくなってしまうのだけど。


「エマ王妃、この人たちは軍人ですか? なんとなくですがそうは見えないので」


「この子たちは学生と生徒で軍人ではありません」


「ユータリアの軍制をよく調べた方が良いかもしれない」


 スコット大使、考えが口から漏れてます。


「エマ王妃、ライフル銃では武器にならないようなので、無煙火薬を使用する大砲を次回ご覧に入れますから、楽しみにしていてください」


 スコットさんの何かに火が着いたようで、負け犬オーラが消えた。ヤル気になるのは良いことだと思う。



「王妃様、ご歓談中申し訳ありません。信号弾が上がったとの知らせがございました」と侍従長が私を呼びにきた。プラオダーさんは心が折れたとかで侍女を辞めてしまった。王宮の窓から私が出入りしているのがよくなかったのだろう。その度に倒れていたから。


「リーベンの軍艦でしょうか? スコット大使」


「ロ国の軍艦がウチの軍艦を振り切って戻ってきた可能性もありますけど。おそらくリーベンだと思います、面倒ごとが起こったら私が調整しますからご安心ください」


「その時はお願いします」


「王妃様、軍艦は二隻で停船命令は無視して港に向かっています」


「侍従長、私が出ますので、スコット大使をお願いします」


「承知しました。王妃様」



「ドラちゃん行くわよ。でも軍艦は沈めないでね」


 勢いよく飛び出したもの、今、リーベンと思われる軍艦の上で困惑している。言葉が通じない。こちらが言っていることは理解できているようだけれど、相手の言っている言葉が聞き取れない。とても訛りがひどくて、意味が取れない。仕方ないので筆談をしているのだけれど、これって数百年前の単語と文法だと思う。私は古語が苦手で意味が取れない。


 これは賢者様にお願いしないと会談も難しい。こういうこともあるから、しっかりと勉強しなくてはと思うと同時に、この人たちにこちらの言葉を教えた人の意図が知りたい。


 わかったことは使節代表の名前はアカシ伯爵だということと随行武官がアズマ大佐だということくらいだった。疲れた。


 王宮近くのホテルで、賢者様同席でアカシ伯爵と会談をした。通訳は賢者様にお願いした。内容はやはり真水製造装置がほしいことと、ユータリアに大使館を置きたいこと、それとユータリア領内にリーベンの租界地がほしいこと。


「賢者様、この租界地って何ですか?」


「ユータリア国内にリーベンの領土を寄越せと言っている。リーベンの租界地内にはユータリアの役人は入れない。ユータリアの法は適用されず、リーベンの法律が適用されるところだね」


「ダメに決まっているではないですか! どういうつもりでこんな要求をしているのか理解できません。仲良くするつもりはないのですか?」


「ユータリアがリーベンより格下なのを認めさせたいわけだ」


「友好的な関係をするつもりが初めからないのであればこのお話はこれで終わりです」


 その場で私は会談は打ち切った。私と賢者様は王宮に戻ったら、「リーベンの軍艦が砲塔を王城に向けました!」と侍従長が私に報告してきた。会談を打ち切られて頭にきたみたい。


「賢者様、リーベンの軍艦を一隻くらい沈めても良いですよね!」


「エマ様、我慢というものを身につけないと、あなたは世界のアレになるおそれがありますから」


「そうでしたね。私は世界のアレでしたわね」


「少し脅かして来ます」


「私は特大のファイアボルトを二隻の軍艦の近くに放った。ドラちゃんも火炎を軍艦に当たらないように吐いていた。軍艦の砲塔が元の位置に戻って覆いがされた。


 わかれば良いのだよ。気持ちが良い。最近ストレスが溜まって発散したかった。少しスッキリした。


「エマ様、炎はダメです! 軍艦に積んでいる火薬が爆発したらどうするつもりですか?」


「賢者様、軍艦には当たらないように注意しました」


「火薬にも色々あって急に温度が上がると発火する種類の火薬もあります。火薬は常に火気厳禁です」と怒られた。

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