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スコット大使魔法学校を見学

 ウインザー侯爵が拍子抜けをしていた。

「エマ王妃、ユータリアは軽んじられているのではないのですか?」


「イン国はユータリアより狭いのですが、世界各地に植民地を有している大国のようです。メイ国はイン国の元は植民地だったみたい。イン国にから見ればユータリアは三流国家なのでしょうね」


 イン国が随員なしの大使を送ってきた時点でユータリアを軽く見ているのは伝わってくる。


「ところで、エマ王妃、モーゼル家の処遇ありがとうございます」


 私は、モーゼル伯爵、個人を平民に落としたけれどモーゼル家には連座制を適用しなかった。モーゼル家にはウインザー侯爵を通じて早く次期当主を届け出るようにと伝えてもらった。


 モーゼル家から借金をしていた貴族は半分喜んで半分ガッカリしていた。半分喜んでのは守銭奴聖女に借用証が渡らなかったこと、半分ガッカリはモーゼル家がなくならなかったので借金がチャラにならなかったから。


「ウインザー侯爵、スコット大使にユータリアの戦闘方法を見せたいのですが、魔法学校の演習の見学とかはどうでしょうか?」


「魔法学校ですか? 在校生が激減していますので、魔法大学から応援をもらう事で、本来の演習はできると思います」


 バイエルン領の生徒が進学しない、独立宣言をしたホーエル・バッハの生徒は当然進学しないとなれば、私が在学中当初一学年二百人程度だったのが、今では一学年二十人を切っているらしい。


 なんとかしないと王立魔法学校がなくなってしまう。一度クランツ王子にどうすれば良いか、相談したら、「エマが女王になればすべて問題が解決する。俺もウイルも応援するのでユータリアの女王に成れという」


 賢者様に相談すると、「それが一番良い解決方法だという」


「元々、バイエルン家が王権を持っていたのだし、それを王家がバイエルン家に返すだけのこと、大政を奉還するだけだと言う」


 理解できないものは返してほしくはないのだけど。大政奉還ってなんのこと?


 私としては、とりあえず一度女王になって、ウイルとエリザベートが結婚をして、私がウイルに王位を譲ればって考えたのだけど、それをするとホーエル・バッハがユータリアから離脱してしまう。ウエストランド・聖女国も半分独立状態になる。レクターのバイエルンがどうでるのかがまったく予想できない。ハンニバルは軍事のみ担当で、バイエルンの政治はレクターが仕切っているらしい。


 私のポンコツ頭では難しい過ぎてどうして良いのかわからない。ただ私の夢がどんどん遠くになって行くのだけはわかる。


 賢者様の考えでは議会制民主主義にするのが一番良いという。その議会制民主主義とは何かを尋ねたらを貴族会議と平民会議で話し合って国政を決める。で、話し合うルールを憲法という法律で規定するらしい。イン国もメイ国もリーベンという国にも憲法がある。マリアの国フツ国も間も無く制定するらしいけれど、その憲法制定で貴族と平民が対立して大変だとか。


 私は花壇を作って花を育てたり、畑を耕して作物を育てたいだけなのに、どうしてこうなるのだろう。


 スコット大使にともかく演習を見てもらって、感想を聞かせてもらおう。


「スコット大使、ユータリア王立魔法学校を見学しませんか?」


「魔法、あのおとぎ話にでてくるあの魔法ですか?」


「そうです。あのおとぎ話にでてくる魔法です」


「手品ではなく魔法なんですね」


「王妃様のご招待では、断れませんし、見学させてもらいます」


 もう仕方ないですね。オーラ全開で承諾するのはやめてほしい。


 私は久しぶりに魔法学校の演習場にきた。私にとって残念なことは、私がスコット大使を招待したので演習には参加できないことだった。


 Aチームのキャプテンがゆきちゃんその隣には眠そうな灰色熊のチビちゃんがいる。Bチームのキャプテンは脳筋戦闘狂のクランツがなっていた。近衛師団長、療養中のウイル国王の護衛はどうしたのか!


 演習開始早々にBチームリーダークランツはAチームに対して一斉にファイアボルトを放つように命じた。派手だ。魔力を温存しての持久戦を考えなくて良い演習では正解だと思う。


 Aチームはチビちゃんの後ろに隠れた。と同時に空中からBチームに向かってアイスランスが降り注いだ。


 Bチームがイン国の最新型という武器、ライフル銃を持った班が現れた。光学迷彩魔法で見えなくしていたみたい。


 スコット大使が慌てて、「王妃止めてください。空砲ではありません。実弾を渡してあります。死者が出ます」


 クランツの指示の元ライフル銃が一斉に火を吹いた。ゆきちゃんとチビちゃんに弾丸の大半が当たったみたい。他の子にも当たったけど、シールドを貫通する威力はなかった。


「嘘だろう。全弾命中したのに誰も倒れていないってあり得ない」

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