私は5歳?
競技場で一人爆死した悪役令嬢が5歳の私になって死に戻りしました
「はっ怖かった」ここは地獄かしら? 見覚えのあるお部屋だわ。マア何て趣味の良いお部屋何でしょう。あれは毎日、私の姿を映しては私をガッカリさせてくれた鏡だわ。鏡は悪くないのだけど。私、確か一人だけ爆死したはず。助かったのかしら。でも、何だろう体が縮んだ様な気がする。私の手こんなに小さかったかしら。ベッドが高いわ。一人で降りるのがこわい。
鏡を見た。それは5歳の私の姿だった。私もう一度やり直せるのね。今度こそ自分の力で周囲の人に認めて貰うんだ。うん、認めてもらう?そもそも、認めてもらう必要ってあるのかしら。今度は自分の本当に好きなことがしたい。そうね、目的は最低だったけど、魔道具とか作ってる時ってニタニタ笑ってたなぁ。自分の手で魔道具を作るのって楽しかった。今度、魔道具を作るとしたら誰かが喜ぶ魔道具を作ってみたいな。みんなが笑顔になれる魔道具を作りたい。
思い出した。兄上、姉上の凄さに圧倒されてただイジケテ暮らしていた毎日を。二人は文武両道で何やらせても凄かった。でも、貴族がする事しかしなかった。私は貴族がしないことをするの。二人ともやりたくてもやれない。二人とも頭が固いものね。貴族は常にこうあるべきが口癖だもの。
魔道具作りの他にやりたい事って何だろう。私の好きな事、私はお花が好きだった。父上も母上も兄上も姉上も私がお花に水をあげていると、そう言う事はお付きのメイドにやらせないとと言われてやめた。お付きのメイドは確かにお花にお水をあげている。あれでは素敵なお花は咲かないのよ。愛情を込めてお水をあげないとお花は素敵なお花を咲かせてはくれないからと思ったものだ。私はたくさん私が美しいと思うお花を育てたい。
魔道具作りも、お花を自分の手で育てるのも貴族がすることではないと、家族全員が反対する未来が見えるけど、一度自分で作った爆発魔道具で爆死してるし、やってやる。
父上が、母上が、兄上が、姉上が絶対にしない事を思い付いて嬉しくなって踊ってしまった。
「お嬢様どうされましたか」お付きのメイドのメアリーが心配そうに聞いて来た。
「メアリー、私ね今とっても楽しいことを思いついたの」
「それは何ですか?」
「それは秘密なの、メアリー図書室に行って来るね」
「私もご一緒します。本は重いですから」
私はメアリーと一緒に屋敷の図書室に入った。今から思うと私ってこの図書室に入るのって生まれて初めてだ。これまでの私って一体何をしていたのだろうか。
ガーデニングの基本って本があるけど、一体誰が読んでいるのだろう。私には禁止して自分だけこっそりガーデニングしてるなんて絶対許せないのだから。
「メアリー、あのガーデニングの基本って本を取ってくださる」
「はい、お嬢様」
大切なことは素晴らしいお庭をたくさん見て感動する事。そうだよ、そうだよ。この筆者は偉い。この筆者は誰かしら。おいコラ父上ではないか。お花を育てる事とガーデニングは違うのか。でも土作りから書いてあるではないか。腐葉土と土の割合とか平均的にはこの割合が良いと思うけれども育てる植物によっては違うかもしれないので更なる研究が必要とまで書いてある。
「お嬢様、お嬢様」とメアリーが私を呼んでいた。
「なあにメアリー」
「お嬢様ってまだ文字が読めなかったのでは?」
あっそう言えば、私って5歳の時はまだ基本文字も読めなかった。忘れてた。
「読めなかったけど、今は読めるから、メアリー悪いのだけど文字板と石筆を持って来てもらえるかしら」
「はい、かしこまりました」不思議そうな顔で文字板と石筆を私の部屋に取りに行った。本当は紙とペンが良いのだけど、高いので私には文字板と石筆が与えられている。
メモ帳とインクとペンが欲しい。我が家は大貴族なんだからケチケチせずにくれたら良いのに。父上におねだりしよう。兄上と姉上と同じものが欲しいって、おねだりしよう。
絶対に貰う。