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瘴気が消えない

「エマさん、ユグドラシルの枝を瘴気の強いところに差して回ってますけど、瘴気が最近減らなくなってきたような気がします」


「肺炎患者さんは治ってきてるけど、この国を覆う瘴気は濃くなっているのはわかるわ」


 大地の嘆きも相変わらず聞こえるし。原因は相変わらずの水不足。スライムによる水工場はけっこうな額のお金がかかるので、いざ工場建設ってなると、大聖女国から幾らか援助してほしいと、貴族から嘆願されるのでほとんど進んでいない。


 ご領主様は困っていないから。結局こうなるわけで。来年、再来年のことを見通す領主が本当に少ないことを実感している。優秀な代官を据えたところには大聖女国からの貸し出しという形で小規模の水工場を建設している。


 ウイルから王宮に戻ってくるようにと矢の催促がきている。私が王宮に戻っても調整するのはウイルなのに。ヤル気のない貴族たちを助ける気は私にはまったくないから。


 ゆきちゃんには、ユグドラシルの枝を植えて回るように、ニコラには治療、マリアには土魔法で土を混ぜるように、ウエルテルとヴィクターには温度調整魔導具の省エネ化をお願いして王宮の窓からヴァッサで王宮に入った。


 プラオダーさんがまた気を失った。私のお付きをする以上この程度のことで気を失っていては、やっていけないので早く慣れてほしい。


「エマ殿、勝手自由とは言ったけれども、さすがに勝手に代官をクビにするのはやめてほしい」


「彼らも有力な貴族の子弟なのでね」


「無能は必要ありません。第一あんなのがいたのでは改革が進みません」


「謀反の気配があるようなら、大聖女国から軍団を王都に送りましょうか!」


「近衛師団が頑張っているから、今のところは大丈夫だけど、相変わらず山城に立て籠っている母上と連中が連絡を取り出した、その内謀反が起きるよ」


「ところで父上はお元気かな、僕の許可を得ず勝手に大聖女国に連れて行った父上は」


「はい、生き生きとされています。今は私の父とご一緒に麦の研究に没頭されています」


「父上は幸せだね」


「ウイル様、問題はこの国を覆う瘴気が日に日に濃くなっています。王都でもおそらく肺炎患者が出るのは間違いありません」


「謀反に病気か! やはり僕には乱世の国王は無理だ。エマ殿、女王にならないかい。僕ね、毎日、図書館で様々な本を読んで過ごしたいんだよね」


「ウイル様も優秀なんですから、現実逃避をなさらずにちゃんとあちこち調整してくださいませ」


「僕の読書時間が激減しているから、調整するより早く謀反を起こさせて潰しておくよ」

「クランツとは打ち合わせ済みだしね」


「エマ殿には悪いけど、エサになってもらうつもりです。エマ殿さえいなくなれば元に戻るって考えている無能が多いから。しばらくは王宮に居てもらいます」


「ウイル様、私を害する人が王宮内にいるとは思いませんけど」


「先日、国宝の魔女殺しの短剣が盗まれと知らせがありました。防御魔法が一切無効になる短剣らしいからそれでエマ殿を襲うつもりみたい。クランツが護衛に付くから安心してほしい」


 王族は誰も信用していないので、まったく安心ができないのだけれども。


「ほう、魔女殺しの短剣は今回は王宮にあるのか。これまでとはまったく違う展開になっているね」


「青い小鳥さん、王宮で刺されて死んで、また五歳の私には戻りたくありません」


「エマ様、私たちがお守りしますのでご安心くださいませ」と水と土の精霊さんたちが言ってくれた。


「エマ様、私たちもおりましてよ!」


「私たちはエマ様がお生まれになられた時からずっとお側におりましてよ」


「あなた様たちは私の属性である、風の精霊様でしょうか?」


「はい、私たちシルフィーがエマ様を完璧にお守りいたします」


「あなたたちって真名を名乗ることでエマ様の寵愛を受けようなんてズルいわよ」


「真名はお側にいた時間が経たないいと名乗れないから。お側についてやっと十一年が経った」


「エマ様、お誕生日おめでとうございます」


「シルフィーの皆さま、私の誕生日は来月ですけど」


「お生まれになったのは今日でございます。エマ様の場合お生まれになってからしばらく放置されておられたので、誕生日が一月ずれました」


 私って生まれてすぐに放置って聞きたくなかったよう。

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