ゴブリン退治
「ある日、ゴブリン退治の依頼にきたものがいました。協定違反になるのでゴブリンを退治できない。ギルドで退治するようにとの依頼でございます。報酬は、冒険者が魔物を狩るのは見逃す、それと金貨百枚でゴブリンを殲滅してほしいとの依頼でございます」
「私どもはその依頼を受けて銅のプレート持ちの冒険者を中心にゴブリン退治に向かったのですが、返り討ちにあいました。その数およそ数千匹と生き残った者が報告してくれました」
「ギルドにはもう腕利きの冒険者はおりませんし、王家には当然依頼できません」
「ギルド長、私がその依頼を受けましょう」
「ゴブリンといえども、数は数千、おそらく、ホブゴブリンもチャンピオン級のゴブリンもいると思いますが」
「問題ありません、その依頼受けさせてください」私にはお金がいる。金貨百枚とそれに不法侵入の冒険者を見逃して貰えるのはありがたい。
ゴブリンの巣穴に近づいたらかなりの臭気がする。昔砦だったところにもゴブリンの巣ができていた。これは数千ではなくおよそ一万匹はいるかもしれな。ここまで大きな巣だと当然捕まっている女の子たちがいるはず。それと気が重いのはゴブリンの子どもを始末しないといけないことだ。私にできるだろうか? ウエルテルはその汚れ仕事を完璧にこなした。ウエルテルの手が汚れているのなら、私の手も当然汚れている。
私は巣穴は放置して砦から潰しにかかった。砦の応援にゴブリンが出てきてくれると、一手間省けるのだが。
私は一人砦に向かった。ゴブリンたちが私を生捕にしようとワラワラと出てきた。装備を着けているおそらく、返り討ちにした冒険者たちの装備だろう。
襲いかかってきたゴブリンたちは私の近くにたどり着く前にバタバタと倒れて行った。ゴブリンたちのエーテルを抜いた。その顔は眠っているように安らかな顔つきになっていた。
砦に入ると矢が飛んできたが、すべて私のシールドに弾かれた。ゴブリンたちは逃げようとしたが、私の視界に入ったゴブリンは一匹残らず倒れていく。
砦の中に入るとやはり十数人の魔族の女の子たちがいた。砦の中を風魔法で清潔にしてから治療を始めた。治療後は人間の女の子同様に、自分の不運を嘆いていたが、まあ殺されなくて良かったと、魔族の女の子のメンタルはとても強かった。私に一言「人間の世話になるとは思わなかったけれど、ありがとう」というと自分たちの村に帰って行った。
倒れているゴブリンたちを思い切り蹴り飛ばしながら帰って行った。
私は、ゴブリンたちを深い穴に落として埋葬をし、砦のゴブリンは残らず始末した。子どももいたようだったが、見なかったことにした。
砦を落としたのに巣穴からは一匹のゴブリンも出てこなかった。私は眠りを誘う薬草を大量に採取し、すり潰して風魔法で巣穴に流し込んだ。しばらくしてから巣穴に入ると多くのゴブリンは寝ていたが、ホブゴブリンクラスになるとあまり効いていなかったようだが、すぐに永遠の眠りについてもらった。
巣穴には百人近い魔族の女の子たちが捕らえられていたのを、フロティングボードに乗せて外に運び出した。すべての魔族の女の子たちを救出した後巣穴に大穴を開けてゴブリンを落とした。念のためにファイアボルトを要所、要所に放って巣穴を燻して死んだふりをしているゴブリンがいないか確認した後に特大のファイアボルトを放って巣穴を完全に埋めた。
私にとってゴブリンの殲滅は作業に過ぎなかった。砦でしたのと同様に魔族の女の子たちを治療した。この子たちも砦の子たちと同様に「人間に助けれらるなんて」と言いつつ魔族の支配地に戻って行った。
魔族って本当にメンタルが強い。
ゴブリンを殲滅したことをギルド長に報告したものの、信じてもらえず、確認のためにギルド職員が派遣されて砦には一匹のゴブリンもいなかったこと、巣穴は完全に破壊されていたことを報告してもらってやっと信じてもらった。ただ、砦で治療した痕跡があったことから、その事について質問はされた。魔族の女の子を救出しただけだと言ったらかなり驚かれた。
「バニラさん、私の責任において金のプレート所持者に相応しいとギルド本部のギルドマスターに申請しておきます」とギルド長が言ってくれたけど、金のプレートになると厄介ごとが増えるだけなので、辞退したが、押し切られてしまった。後日、ちょっと後悔することになった。曖昧な態度は良くなかった。




