学校対抗戦
私は校長に呼ばれた。ここの所着火魔道具の試作しかしていないので、懲罰室に入れられることはしていないはず、そう思って校長室に入った。
「エマ、あなたに学校対抗戦に出場してほしいの。長距離を走るはずの子が足を傷めて出られなくなったの」
「校長先生、私は6歳ですけど」
「あなたは予科の時、朝から夕方までずっと毎日走っていたわよね」
「校長先生、私は6歳です。長距離に出場される方は15歳以上の方だと思います」
「それで」
「それでではなく、10歳も年齢が離れていれば、速さが違います」
「短距離ならね、持久力はあなたの方が上ね。灰色熊をバラバラにしたあなたが言うセリフではないわね、エマ、よろしくね。以上です」
おいコラ校長勝手に決めるな。私は誰にも言ってないけど、医学部を目指しているので、1分1秒が惜しいの。
部屋で6歳児が長距離走に出場すれば、他の学校からうちの学校が馬鹿にされると言うのにとぶつぶつと言っていると、ミカサが「やはり出場する事になったか。長距離走に出場予定の生徒を辞退させたみたいだな」
「母上でしょうか」
「おそらく、校長に我が子を出場させるように圧力を掛けた」
「競技中にヤルつもりだ。長距離走は学校外で行われるから都合が良い」
母上、ハンニバルの教育に集中していてよ。母上さえ手出しをしなければ、私は何もしないのに。競技中に仕掛けたら他校の選手にも影響するし。もう参ったなあ。
国内には五校王立魔法学校がある。学校対抗戦は各校の親睦を深めると言う建前になっているが、今現在、どこの学校が最優秀なのかがそこで決まる
各校の持つ、体力、知力、魔法の技術がぶつかり合う場が学校対抗戦だったりする。その出場選手は当然学校の中で、選りすぐりの生徒が選ばれる。
前の私のように平均をウロウロしている生徒には無縁の行事だった。確か、私は競技場周辺に集まってくる屋台を巡って過ごしていたと思う
ミカサは短距離走に出場するが、優勝するととてもまずいのです、2位か3位あたりで無難な成績にするそうだ。2位と3位が無難な成績という感覚が理解出来ない。
私は母上が放った刺客対策で、カオルさんが嫌がるのも構わず、格闘技の練習相手になってもらった。本当に強い、手加減されているのに一度もカオリさんの背後さえ取らせてもらえなかった。
魔法防御の方法5枚のシールドを張って1枚目は魔法の無効化、2枚目、3枚目は物理攻撃無効化、4枚目は再度魔法の無効化、5枚目は物理攻撃無効化で対処するつもり。それがすべて突破されたら、逃げられるようなら逃げる。逃げられなければ、ウインドミル改良版で攻撃する。何としても生き延びてみせる。
対抗戦は6歳児を出場させる時点で勝負を投げているので、勝敗は関係なく、刺客対策のみ行った。勉強したかったのに。
対抗戦当日、校長から呼び出しがあった。
「演習の訓練中の事故で一名の生徒がケガをしたので、エマあなたが代役で出なさい。補欠登録はしてあります。くれぐれも殺傷性の高い魔法は出来る限り控える様に。相手から放って来た場合は同程度の反撃は可能です。殺す覚悟で放った以上殺されるのは当然です。以上です」
「代役承知しました」
校長、私が死んだら取り憑いてやるからなぁ。
「エマ、前より後ろに注意しろ」
「最後尾にいても観客席から撃って来るから360度全方位警戒しろ」
「観客席の奴はうちの配下が潰すので、エマは競技場内にいる奴をヤレ」
もはや、スポーツとかと言うレベルではなく戦場に行くわけね。頑張って私の敵はぶっ殺す。バイエルン家の戦い方をとくと見よ。
対抗戦が始まった。第一種目は魔法演習。見事なくらいに私にばかりフレンドリーファイアしてくれる。私のシールドを破壊する威力はない。魔法の波長を登録して私にフレンドリーファイアしてくれた方に追尾型エアーカッターを放った。
「エマ、やめろ」って叫んでるけど。「ごめん、失敗した競技場から外に出たら消えるかも」実際は体に当たるまで消えないけどね。少しは痛い目をみろよ。ヤル以上はヤられる覚悟があるわけだろう。
一人の男の子が観客席の初老の男性に助けを求めたけど、無視され出口に走って行った。すると全身黒い服を着た男性三人が、初老の男性に声を掛けて男性を連れて行った。黒い服の人たちはミカサの配下で、初老の男性は母上の部下か。




