バイエルンとの戦争その2
「私たちはこの後どうすれば良いの?」
「バイエルンの軍を撤退させたいのですが、三頭の熊が大ケガをして動けないので、姉上、治してもらえないでしょうか?」
私は三頭の熊の所へ治療に向かった。そんなに激しい闘いではなかったと思ったのだけど、二頭の熊たちの脳の骨が砕けていた。ベアーハッグされた熊は肋骨が三本が折れていた。重症だ。
「ハンニバル、悪いのだけどこの子たちうちで預かって治療するわね、歩かせるのはこの二頭は危険だし、肋骨が折れてる子はリハビリさせないと肋骨と一緒に心も折れているから」
「姉上、この熊たちをお詫びに差し上げます、可愛がってあげてください」
「いえいえ、治ったらお返しします」三頭も熊が増えたら餌代が凄いことになるもの。
「了解です。ともかく熊三頭をお預けしました」
「ところで戦争はどうやって終わらせるの?」
「姉上と私とで終戦協定を今ここで結びますので、これで終戦です」
「王家にはどう報告するつもり、母上はそれでは済まさないわよ」
「バイエルンは王家から自立します。父上にはバイエルン国王になってもらいます」
父上はまた倒れるな。
平原に展開していた大軍が囮で、山道から大聖女国に奇襲をかけようとしたハンニバルの軍が主力部隊というのが、ハンニバルの立てた計画だった。私が出てきたら即座に撤退することにしていたという。
私とハンニバルは終戦協定を結んだ後で攻守同盟を結んだ。後にホーエル・バッハとも攻守同盟を結ぶことになる。
攻守同盟というのはどちらかが他国から攻められたら、攻められていない国も他国に参戦する同盟で、王家がバイエルンに攻め込めば大聖女国は王家に参戦することになる。そういうことで王家は、バイエルンも大聖女国も攻められないはず。保険のような同盟だった。
バイエルンが自立してくれたので兵士に適した難民は受け入れ始めた。ただし兵士に成れない女、子ども、老人は受け入れないのは私への嫌がらせだろうか?
私は取り残された女性、子ども、老人たちを救援することにした。自分の実家の尻拭いと思っている。家族をバラバラにするような政策は打つな。
ゴメスさんにお願いして、その人たちの難民テントを張ってもらった。どうしようだ。他の難民の人と同じ扱いだと死んじゃうし。余分に支援したら平等ではないと言われるし。
最後はそれがうちのやり方なので嫌ならいつでも出て行って良いよって言ってしまった。
バイエルンもアホだけど、王家はさらに上を行くアホだ。自称国王さんに向けて大軍を進軍させた。お陰で自称国王さんの領土から難民が溢れてきた。どうするんだよ!
勝てると思う相手に喧嘩を売るのは、内政が充実している時にしてほしい。来年も再来年も旱魃かんばつになると言っているのに余計な戦争を起こして王家は本当のバカですか!
第五王子は頭が良いのだから止めろよです。うちに自称国王さんから参戦要請がガンガン来てる。ミーアさんは目の下に隈を作っている。ダイキチさんは一時失踪するしうちは大変だった。
自称国王さんには返事は戦争をする余裕はありません。すぐに逃げろって返事を出した。無駄死には良くない。
亡命させてくれっていう自称国王もいるけどこちらも丁重に断っている。面倒くさい人たちがうちに来るのはごめんです。
このユータリア国は七つの管区に分けられている。今の勢力図だとホーエル・バッハが二管区を統治して、バイエルンが一管区を統治。うちは成り行きで一管区と二分の一を統治している。残りは王家と王家を支持する貴族と自称国王さんたちが統治している。中間派の貴族はホーエル・バッハと王家に取り込まれてなくなってしまった。
自称国王さんたちが目障りなのはわかるけど、なぜ今紛争を起こすのかが理解できない。私のポンコツ頭でも今はダメだとわかるのに。内政はぼろぼろで領民の流出が止まらないのに。軍制改革が上手くいったので力を見せたいのだろうか?




