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バイエルンとの戦争

 バイエルンの第一、第二、第三軍団が移動を始めた。平原ルートを行軍しているとの情報が入った。バイエルンは本気だ。


 ハーベスト准将にこちらも第一、第二、第三軍団に難民からの義勇兵を加えて兵十万で国境の守備についてもらった。


 私は山道ルートに灰色熊軍団とゆきちゃんとをともなって私たちは山道の守備についた。もしバイエルンが本気なら、私はそのままバイエルン領に進軍してバイエルン軍の退路を断つつもりだ。


 私には自分の国民を守る義務があるから。


「エマさん、灰色熊の軍団、その数はなんと百頭です。餌代が大変ですね。人間の兵士は五千人程度でしょうか?」


「灰色熊の軍団を育てのはきっとペーターだよね」

「そうですね。ペーターを連れて来るのを忘れましたから、ペーターがいたら捕獲して大聖女国に連れて帰りましょうね、私一人では熊君たちのお世話は大変なので」


 ゆきちゃん、ペーターを捕獲って言葉がおかしいよ。



 バイエルンの灰色熊軍団が近づいて来る、近づくにつれて進軍速度が遅くなっているように思える。


「なかなか来ませんね。なんか止まってしまいましたよ。エマさん」


「止まったね、私たちは国境を守るだけだから動けないし」


 ペーターと思われる少年と灰色熊三頭がこちらに向かってやって来た。


「ペーターが来ました。なぜか熊君が三頭です。お話にならないですよ。エマさん」


 百頭の灰色熊がスリーマンセルで私たちの熊さんに襲いかかると思っていたので意外だった。


「エマお嬢様、お久しぶりです。僕が育てた灰色熊軍団は凄いでしょう」


「百頭も育てて大変だったでしょう?」


「そうですね、ちゃんと僕の助手も育てましたから、バイエルンには熊の世話係が三人もいます」


「ペーター、私たちはどうしたら良いのかしら?」


「エマお嬢様の熊の中から一頭を選んでもらってこのウチのエースたちと闘ってもらえればそれでけっこうです」


「他の熊さんたちはどうするの?」


「あの熊たちは怖がってあそこから動きません」


「ゆきちゃん、どの熊さんが良いと思う」


「ちび君で十分じゃないでしょうか? 他の熊だとあの三頭死んじゃうかもなので」


「ちび君ってこう見えても格闘のセンスは良いです。私もなかなか放り投げられないです」


 ちび君が三頭の前にのんびりと出ていった。三頭が一斉にちび君に襲いかかったけれども、既にちび君は一頭の灰色熊の後ろを取ってベアハッグからのブレーンバスタを決めていた。


 二頭はちび君を前後に挟んで突進したけど、ちび君にかわされて、二頭は正面衝突をしてのびていた。試合時間は約三分弱。あまりにも呆気なかった。


「予想はしてましたけど、実力に差があり過ぎますね、経験値不足以前の問題ですかね」


「ペーター、悪いのだけど、ウチの熊君たちのお世話をお願いできないかしら?」


「良いですよ。俺、バイエルン家の家臣ではなくエマお嬢様の家臣ですから」


 ウチの熊君たちはゆきちゃんといつも格闘ごっこをしているので半端ではなく強い。


「エマお嬢様、申し訳ないですけど、こののびている三頭の熊たちをあそこで動かない熊の中に運んでもらえないですか?」


 私は三頭の熊たちをフローティングボードに乗せて熊軍団の中に返してあげた。


 ペーターがウチの陣地にやって来ると熊たちがピリッとした。


「ねえ、ペーター、バイエルンの軍はこの後どうするのか知っている?」


「エマお嬢様がここにいたら、来た道を帰ることになってます」


「じゃあどうして、戻ってくれないの?


「さあ、予定外のことがあったみたいですね」


「エマさん、弟さんが兵士に背負われてこっちに来ます」


「姉上、お久しぶりです」


「ハンニバル、お久しぶり。元気そうで良かったわ」

「姉上のお陰で生命拾いをしました。ありがとうございます。王家にあんなキレ者がいたとは思いませんでした。良いように使われました」


「バイエルンと大聖女国との紛争の絵を描いたのは母上です」


「母上を裏切った私と姉上とが戦うように王家に進言したのは母上です。今の母上はエリザベートに害をもたらす者は全員始末するつもりです」


「母上はお変わりがないようですね」


「いえ、母上は変わりましたよ。エリザベートにあだなす者は国王陛下とて例外なく除きますから、母上はバイエルン家、王家絶対主義者ではなくなりました」

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