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ミカサの驚き、トリアステ再び

「エマ、どうしてこんなに雨が降っているの? エマ体は大丈夫なの?」


「私の場合、ミカサお姉様と違ってズルをしています。水の精霊様にお手伝いしてもらっているので。でもこれは降り過ぎですよね」


「いいえ、この程度の雨が必要だったの。私の国はお米が主食だから、有り難いわ」


「エマには雨乞いの舞の感謝の印としてヒノモトの医官の免許をあげるね」


「あなたね、上級医官の口頭試験に合格したから。正式な医官の免許が交付されたわ。この免許はヒノモトだけではなく他の国でも有効だから」


 そう言えば、医官の人が教えてほしいと色々尋ねてきてたな。アレって試験だったのか。私は医師免許を取得してしまった。もう王立大学医学部で学ぶ必要がなくなった。これで良いのだろうか? 


「王家はおしまいだな」


「第五王子と第四王子が王国改革をされているので、まだ大丈夫だと思います。第五王子の婚約者は私の妹ですから」


「バイエルン家は王族になるのか?」


「エマはどうするのか?」


「私は何度も言っているように庭師兼業農家になります、副業に魔道具開発もします」


「エマはそこは譲れないか」

「はい、私の生きる目的ですから」


「庭師兼業農家になっても春と秋のヒノモトの儀式には来てほしい」


「はい、巫女も副業ですから」


「エマは副業が多いなあ」


「成り行きで増えました」と私とミカサは笑いあった。




「ゆきちゃん、巡業に行くよ」

「もうですか? 朝食食べてませんけど」


「トリアステに着いてから食事ね」


「わかりましたけど、ここの人たちに挨拶しなくても良いんですか?」


「した方が良いのだけど、引き留められるから」



「エマ、私の目を盗んで逃げられると思っているのか?」


「エマ様、お食事の時間です」


 ゆきちゃん、何をニマニマしているの。これでトリアステに着くのは午後以降。下手をすると夜になってしまうのに。



 トリアステにお昼過ぎに到着した。


「エマさん、この街ってお花だらけですよ。平和って良いですね」


「城壁の前は私たちの国から出た難民の人たちが追い返されていたけどね」


「あれだけの人が押し寄せたらどの国も追い返しますよ。ただでさえ水不足なんですから」


 トリアステの花の数も以前より半分程度になっている。私たちは以前お世話になったリヒャルト弁護士の事務所に向かっている。


 あれ、パン屋さんが閉まっている。


「お久しぶりです。エマです」


「お久しぶりだね、エマちゃん。またうちで仕事をしてくれると嬉しいのだけど」


「今回はトリアステの国王陛下から依頼で雨乞いの儀式で来ました」


「あの儀式はエマちゃんが舞うのか楽しみだね」


「お向かいのパン屋さんが閉まっていましたが、何かあったのでしょうか?」


「小麦の値段が上がり過ぎてパンを作っても売れる値段ではなくなったから、当分休業だって」


「ところで、エマちゃんこちらの人はどなた?」


「私のスケジュールを管理してくれてるゆきちゃんです」


「ゆきちゃん、エマちゃんの予定はどうなっているの?」


「はい、トリアステには三十日間滞在して十回舞う予定になっています」


「二十日間は空いているわけね」


「そうでもありません。国王陛下との晩餐会とか、貴族との面談の予約も入っているので十日というところでしょうか?」


「十日空いているのか? 良いね」


 私は良くない。私はこの十日間をリラックスするつもりで来ているのだから」


 今回は賓客ひんきゃくとして来ている。でも、厄介ごとをリヒャルト弁護士に押しつけられる予感しかしない。


「エマちゃんの滞在先はトリアステ国立大学病院院の特別室、舞の後健康診断をする予定にしておいた」


「エマちゃんにはトリアステ大学病院での起こった二件の殺人事件の調査をお願いしたい。もちろん、今回は報酬が出る。僕の友人の司法省の偉いさんが困っている事件なので僕も協力したい」


「ゆきちゃんはエマちゃん専属の看護師になってもらう」


「エマちゃんには前金で金貨二十枚を支払っておくね」


「病院内を調査するだけで良いから、犯人は司法官が対応する。君たちには警護が必ず付くので、病院に司法官も入りやすいしね」


おとりではないでしょうね」

「詳しいことは言えないけど、被害者は二人とも高貴な女性だった」


 囮だ!

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