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リザレクション、死者蘇生

 今は下宿に向かってのんびり歩いている。


「学部長がどうしてリザレクションにこだわるのかわかる?」


「リザレクションは手順さえ間違わなければエルフにはできる。ハンスはエルフにはリザレクションはできないと言っていたけど、それは間違いだ。エルフには可能なのだ」


「もっとも元々その器に入っていた魂は輪廻の輪に戻っているので、その辺にたまたまいた別の魂がその器に入るだけなので、生き返りはするが中身は別ものになっている」


「それを知っているからエルフはリザレクションをしたりはしない。別人を生き返えらせても意味がないからな」


 学部長は、エルフがリザレクションをしないのは別人を生き返らせても仕方ないのを、知らないから? それとも知っているけど、何かの意図で知らないふりをしているのか? 



 医者が死者蘇生ができれば凄いと思うよ。でもね、初めから死なせないようにしないとダメだと思う。死んだらそこら辺にあった魂を入れて生き返りましたは、それは詐欺だと思う。


「私にリザレクションができるの?」


「エマはエルフより上位の精霊なのだからできて当たり前」


 いやいや、私は人だから!


「青い小鳥さんもできるの?」


「私はできない、そんなとんでもない生命力は私にはない」


人種ひとしゅやドワーフがリザレクションができない理由は、術者の生命が削られて儀式の途中に死ぬかもしれないから」


「長命のエルフ以外は不可能だ」


「私も人種だよ、生命が削られたら死んじゃうのでは?」


「エマは、リザレクションを行っても死ぬことはないと思う。人種なら天界に行った時点で死んでいる」


「私にはエマが精霊に見える。できることなら精霊の王の称号を譲りたいくらいだ」


 勘弁してください!


「ハンス学部長がエルフなら自分が死者蘇生をやれば一躍有名人なのに」


「ハンスがエルフだと周囲に知られたら、一番困るのはハンス自身だろう」


「エマにリザレクションができるとわかれば、ハンスから何か言ってくるだろうよ」


「青い小鳥さん、生命を削られるってどれくらい削られるの?」


「少なくとも百年くらいだと思う。だから人種やドワーフではやれたとしても誰もやらない」


「私もそれを聞いたら学部長に頼まれても絶対やらない」


「エマは人種じゃないから、大丈夫だよ」


「私は人種として生きたいの、私は、リザレクションなんてやったら人間をやめた気分になりそう」でも、母上の魂をホムンクルスに移したり似たようなことはしているな。


 これ以上人外の領域には入らないって心に堅く決めておく。


 下宿に着いたら男の人がいた。「こんばんは、エマ君」


「こんばんは、どこかでお会いしたように思うのですがお名前が出てきません。ごめんなさい」


「僕はテントを借りに行っただけで、名乗っていなかったから。僕はクルト・シュタインという。フォンが入ってないので貴族ではないのはわかるよね」


「私はエマ・フォン・バイエルンです。バイエルン家は勘当中です」


「第一王子が亡くなったのだからそのお芝居はやめたらどうかなあ」


「お芝居ではなく、私本当に勘当されてまして」母上が勘当を解かない限り家には戻れない。


「これは失礼した、すまなかった」


「自己紹介の続きで僕は来年大学を卒業してこの街で開業するつもり。それで腕の良い薬屋を探している」


「この街ってお医者様ばかりで大変でしょうね」


「そう、この街には病人は集まってくるけど、医者も多い。でも隣に「聖女の薬草屋」があると、患者はグラシムの街で見たように集まってくるはず」


「薬屋は免許がいるけど薬草屋は免許不要」


「つまり、クルトさんは私と手を組みたいとそういうことでしょうか?」

「そういうこと」


 クルトさんは、野戦病院に派遣されたので腕の方は保証付きだと思う。でも問題は私だ。巡業でお店にいない。


「良いお話なんですけど、私は雨乞いで各地を回るのでお店にはいませんからお店はいつも閉店中ですよ」


「エマ君は店に出なくても良い。ちゃんと免許を持った薬師が対応するから」


「つまり、私は名前だけを貸すってことですか?」


「クルト医院の広告塔をエマ君にしたい。それでもこの街で医者として生き残るのは厳しいと思っている」


「良い話には裏があるそうですね。組むのはグルトさんの人柄しだいかな」


「人柄で組むかどうかか? 厳しいなぁ。僕ね変人で有名だから」


「二人ともお話は家の中でしたら」と大家さんが呼んでいる。

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