ローレンス弁護士事務所に行く
ローレンス弁護士に手紙を書いた。魔道具を作るのに必要な材料が購入したいので迎えに来てほしいと。それと高等部卒業後は大学に進学出来ない可能性が高いので、屋敷には戻らずこの街で暮らしたいので相談にのってほしいとも書いた。
手紙を出してから四日ほどして、返事が返って来た。今月末の土曜日の午前中に学校に向かえの馬車を寄越すという内容だった。
「おはよう、エマ。学校は楽しそうだね」
「とても楽しいです。魔道具を作る部屋も確保しました。材料が揃ったら試作を始めるつもりです」
「材料費はいくらぐらいになるのかな、おそらく道具も揃えるだろうから、それなりの額になるし。エマはこの街のことに詳しくはないだろうし」
いえ、前の私が魔道具を作るために、街のかなり危ない場所、合法的には売ってもらえないものがあったので、普通の人より詳しいですとは、言えるはずも無く。
「材料のお店と道具のお店がどの辺りにあるかは友人たちに聞いているので、買いに行けると思っています。予算は10万ドラクマを考えています」
「一人で行くつもりの様で悪いのですが、6歳の君にとっては10万ドラクマは大金なので、一人では行かせられない。そこでうちの事務所手伝いのユング君と一緒に行ってもらう。材料と道具は一度この事務所に届けさせてから、私から学校にまとめて送る。それが私からの条件だけど」
「ローレンス弁護士、その条件承知しました」
「9歳で街に一人で住む件は危険過ぎるので却下です。私の知り合いに学生相手の下宿屋をやっている人がいるので15歳までは、その下宿屋で暮らすこと。工房を持つことには問題はないが、魔道具を売るとなると魔道具ギルドに入会しなくてはならない。入会出来る年齢は15歳以上なので9歳の君では入会が出来ない」
ギルドに入るのに年齢が関係あるとは知らなかった。9歳で独立するとは思ってなかったし。
「9歳だと色々不都合がありますよね。納得しました」
「エマは高等部卒業後は大学に進学したい?」
「大学に進学したいですが、おそらく母上は認めてはくれないでしょうから、無理だと思ってます」
「そうだね、法律とか魔法工学とか普通の学部ならエンドラの手が届くけど、医学部だとさすがにエリート中のエリートが進学する学部なので、エンドラでも不正が出来ない」
「ローレンス弁護士、今、医学部って言いましたか?」
「医学部って言ったね」
見た目は6歳中身は16歳なのと2回目の高等部なのでそこそこ成績は良いけど医学部に進学出来るほどの成績ではない。兄上も姉上も医学部は難しいので法律学部に進学した。弟のレクターは天才児なので小学部から医学部に進学する。ハンニバルは軍大学に進学して軍人になる。どちらもこの国の最難関大学。この平凡な私が、医学部とか冗談でしょう。でも、私は15歳まで動けないので目指しても無駄ではないか。医学に必要な魔道具が閃くくかもしれい。
「ローレンス弁護士、医学部目指してみます。
「エマ、私としては、目指すではなく、進学しますと言ってほしっかったね」
「エマ、今日のお話しはこれで終わり。この後はユング君と一緒に買い物に、現金は危険なので、ウチの事務所の小切手で支払ってもらう。金額を記入してここにエマがフルネームでサインをする」
「現金以外では売ってくれない店も多いから、小切手が使えるかどうか最初に尋ねておく方が良い」
「ローレンス弁護士、お世話をかけます。ありがとうございます」
「私の仕事ですから、報酬は頂いてます。ユング君、エマちゃんと買い物の付き添いお願い」
「ローレンス先生、いつになったら法律の勉強させてくれるのですか」
「その内ね」
「エマちゃん、さっさと行くよ」
「お願いします」
ユング君はローレンス弁護士のお弟子さんで入門してから1年は経ってる。まだ雑用しかさせてもらえないので、怒っている。でも、私はそれとは無関係なので私にその不満をぶつけないでほしい。
ローレンス弁護士事務所発行の小切手だと言うと、小切手は受け取らないよって断っていたお店も、ローレンス先生とこの小切手だと断れないって言われてスムーズに買い物が出来た。
不思議がっていたのはユング君、私が迷うことなく、次から次へとお店に行くので「エマちゃん、ローレンス先生に内緒で街で遊んでるの」と言い出した。おそらくユング君はローレンス弁護士に報告するだろうな。仕方ないよ。自分は忙しいのに、買い物の付き添いなんてと散々愚痴ってたユング君に付き合うのが嫌になったから、こっちもさっさと終わらせたい。私も医学部を目指すことにしたので、時間が惜しいの。




