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懲罰室

 私は懲罰室でひたすら読書をしている。寝る時間も惜しんで、読みながら、頭の中でその要約を考えて、それをメモしてと、とても忙しい。でも一人になれたので嬉しい。集中出来る。


 私が最初に設計した着火具の魔道回路には致命的な欠陥があることが分かった。5回程度点火と消火を繰り返すと魔道回路が壊れる。この『魔道回路の研究応用編』このまま借りられるないだろうか。この本は役に立つ。この本の著者に会いに行きたい。著者は父上だった。父上、私は父上のことを正直に言うとダメ親だとこれまで思っていました。今後は我が師として敬いたいと思います。ここの所がよく理解出来ない。帰省したら父上に尋ねてみよう。


 私は懲罰室に入っているのだが楽しくて仕方がない。懲罰室は私の書き損じのメモが散乱している。片付けないといけないとは思うのだけれど、ミカサのお陰で本当に時間がない。私は読書に没頭して気が付いたら三日間の懲罰期間が終わっていた。私は書き損じたメモを回収して、懲罰室を綺麗に掃除をしてから、退室した。


 校長室に行くと校長が安堵の表情を浮かべていた。私は何度か食事に手をつけていなかったらしい。校長が心配して自ら覗き窓から私の様子を見ててくれたみたい。


「エマ、集中するのは良いですが、食事はキチンと取りなさい」

「申し訳ありません。夢中になると時間が分からなくってしまいました。以後気をつけます。これは要約したものです。もし出来るのでしたら、もう少しだけこの本を貸してもらえないでしょうか。」

「エマ、三日間でよくここまで要約しましたね。そうね、その本はあなたにあげましょう。元々はあなたのお父様から私が頂いた物ですから」


 父上から来た手紙を校長から渡された。チラッと読むと弟のハンニバルが生まれたと書いてあった。遂に生まれたか本物の天才が、母上がそのことを知るのはすぐだ。何しろ生まれて一月で話し始めたのだから。母上はその後は兄上、姉上を放置してハンニバルの教育に没頭するはず。


 もう一人の天才の弟はレクターと名付けられるはず。レクターが生まれる前に美少女中の美少女、エリザベートが生まれ、遂に未来予知が出来る四女の彼女が生まれる。母上はこの後毎年出産するので大変だったと思う。


 部屋に戻るとミカサにぎゅっと抱きしめられて呼吸困難になった。手加減を覚えてほしい。

「エマ、私は本当に心配したのだから、一日に一食しか食べないって聞いてあなたが餓死するのではと思ったのよ」

 心配し過ぎだよ。一日一食食べてたら死んでないし。三日間食事を抜いても餓死はしないと思うよ。


「心配させてすみません。校長から課題を出されていたので、それを仕上げるために睡眠時間と食事時間を削りました」


「さすがは懲罰室だよね。本当に厳しい」


 懲罰室は私にとって快適この上ない環境だったのだけど、ミカサのお陰で時間がなくて、食事時間も睡眠時間も削らないといけなくなったとは、絶対に言えない。


 懲罰室を出たら、すぐにエマ研の人がついて来たのには参った。


「お姉様、ご心配をおかけしました」

「エマも大変だったね、魔道具回路研究部の部屋が決まったから案内してあげるよ」


 ここが私の工房か、あれ、中には机が一つあるだけ。他に何もない。


「お姉様、椅子がないのですが」

「椅子は学校の備品貸し出し係の方に必要数を申請したら貸してもらえるよ、破損させたら、弁償しないといけないけどね。予算は研究報告を学校にすればつくけど、別に提出しなくても部屋は取り上げられないから、安心して」


「ありがとうございます。お姉様」


 魔道具作りに必要な物はローレンスさんの所に行った際に購入しよう。とりあえず椅子の個数は部員が二人だからその倍ってことで四脚で良いかな。でもこの部屋、鍵がない。そうかロックの魔法とアンロックの魔法で鍵の開け閉めをするのか。ミカサは魔道具回路にはまったく関心がないから、私だけがパスワードを知っていればいいか。どう言うパスワードにしようかワクワクする。


 ミカサに魔道具回路研究部の部室が決まったことを話すと、ロックのパスワードは「ミカサお姉様大好き」、アンロックのパスワードは、「ミカサお姉様やっぱり大好き」にしろと勝手に決められた。私のワクワクを返してほしい。

 

 明日から部室で魔道具が作れると思うと嬉しい。懲罰室では睡眠時間を削ったのでかなり眠いのだが、ミカサがいかにこの三日間寂しかったかの話しを聞かされ、ようやく眠れたのは午前0時を回っていた。

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