天界の陰謀その4
なぜ、どうして私の相棒は小鳥なのだろうか? 鷲とか鷹って選択肢はなかったのだろうか。
「ほう、エマは力がほしかったようだな」
「ごめんなさい、そういうつもりはなかったのですけれども、これから天界に攻め入るわけですから」
「それはダメだ。聞いていなかったのか? 天界の者たちもエミルの子どもたちだと」
「誰も傷つけてはいけない。それに攻め込むのではなく、話し合いに行くだけだ」
「エマの役割は天界の人たちもただの人間だと気付かせること、『人間絶滅計画』を実行すれば自分たちもこの世界から消滅することをわからせることだ」
「理解したかな」
「理解はしましたけれども、どうすれば良いのかまったくわかりません」
「ともかく天界に行ってくれ。その都度私が指示するから」
私はヴァッサを操って天界に来た。
「止まれ、お前は誰だ」
「私は以前イアソー様のお供で天界に来たエマと申します。天界の責任者の方とお話しがしたくて参りました」
なぜか私は今まばゆい光の渦の中にいた。
「天界の者たちは話し合いが嫌いなようだ」と青い小鳥さんが感想を言っていた。
「どうしましょう?」
「このまま進めば良い。天界の者たちもエマと話をするはず」
「光ビーム砲がまったく効果がありません。熱核爆の使用許可をお願いします」
「この近さで熱核爆を使用したら再建中の宮殿が吹き飛ぶわ! 馬鹿者」
「主神に報告、イアソーの臣下の人間が攻めて来た、最悪の報告だ。人間なのに俺たちで対応できない」
エミル君と一緒にいた人が立っていた。
「人間、何をしに来た」
「率直に言います、人間絶滅計画を中止してください。あなたたちも滅びます」
「人間、我々は神だ、滅びるはずがない」
「そうでしょうか?」
私は周囲の自称神々の精気を抜く。自称神々が徐々に老い始めている。
「誰か椅子を持ってきてくれ、体がダルい」
「人間、お前は我々に何をした」
「みな様に老いを与えました」
「我々は神だ、不老不死だ」
「しかし、今のあなたは老人ですよ」
「我々は神になったはずだ。それなのになぜ老いるのか」
「みな様は今も人間だからです。神は老いたりしません」
周囲の兵士が私に殺到しようとして、転んでいる。彼らも老人になっていた。
「お前は人間なのか?」
「私はれっきとした人間です」
「ただの人間が我々を老させるだと、なぜそんなことができるのか」
「ですから、みなさんもただの人間ですから」
「エミルか、エミルの力か? だったらなぜ大人しくエミルは我々の虜囚になったのか」
「みなさんを作られたのはエミル様ですから、子どもたちの所に遊びに来た感覚でしょうか?」
「我々は異世界から来た」
「みなさんの世界もエミル様が創造した世界です。ここと同じ世界なのです」
「家を失ったみなさんをこの国に迎えただけ、みなさんはこの世界の人間です」
「我々は神に成れなかったのか」
「はい、神ではなく人間です」
「我々は不老不死にはなってはいないわけか」
「そうですね、なってはいませんね」
「そうか、熱核爆のスイッチを持ってくるように、我々とともにこのくだらない世界を終わらせよう」
「無駄ですよ、みなさんは輪廻の輪から外れていませんから、またこの世界に生まれてきます」
「なあ、人間、我々は神ではなくなった。これからどうすれば良いと思う」
「ご自分の生きたいように生きれば良いではありませんか」
「生きたように生きろか?」
「我々は生きたいように生きてきたことがないので、皆目見当がつかぬ」
「主神様」
「ワシは神ではないので、昔の呼び名で呼べ、首相と」
「首相、各大臣を招集して閣議を開くことを提案いたします」
「閣議か懐かしい言葉だ」
「閣議を開く、各大臣を至急招集せよ」
「人間、閣議の決定次第では熱核爆のスイッチを押す」
「どうぞご自由にしてください」
「どうせスイッチを押しても何も起こらないのだろうよ」
「本物の神相手に我々は無力だ。話はそこから始まるのか」と首相さんは笑いだした。
熱核爆って何だろう?




