天界の陰謀その2
「あのすみません、エルフの方でしょうか? お知らせしたいことがあってきました」
「知らせたいこととは何だ?」
「世界樹を燃やそうとする人たちが接近中です」
エルフの人たち数人が私の前に立った。
「詳しく話せ」
「天界からの依頼でドワーフの人が世界樹を燃やそうととして現在トンネルを掘ってこちらに向かっています」
「私はエミル様の命でここに来ました」
「ほら見ろ、精霊様ではないか」
「精霊様、長老の所にご案内します」
「お前たちは世界樹の守護を厳重にして特に地下からの音に注意するように、早く行け」
エルフの長老に天界の人間絶滅計画について説明をした。俄かには信じてもらえなかったけど、世界樹を燃やしに来たドワーフさんたちが捕まったのでやっと信じてもらえた。
「世界樹を枯らせば、人間どころか生きとし生けるものすべてが消滅する。天界は一体全体何を考えているのか?」
「この世界が、天界の思うように行かぬので世界を作り変えようとしているように思う」
「天界の神々の考えることなど我々が知るよしもない」
「精霊様、あなた様は我々の味方なのでしょうね」
「天界の神々に逆らってよろしいのでしょうか?」
私はイアソーさんに身体を乗っ取られた際に天界の宮殿を壊してるし、目は既に付けられているから。
「私は主神エミル様の指示で動いております」
「エミル様の使徒様でしたか。世界樹をここにお植えになったのはエミル神様でございます。エルフを作り、世界樹の守護を任されたのもエミル神様でございます」
エルフのみなさん平伏しなくても良いし、一人死のうとしてるし。
「死ぬのは許しません、あなたに生涯世界樹を守護する任を与えます」と私は一喝した。
私のシールドを射抜いたエルフさんが自害しようとしたので、命令を与えて自害はさせなかった。
「ボー、お前は世界樹の番人になった。今から励むように」と長老が重々しくボーさんとやらに言い渡した。
「このボー謹んでご命令を拝受しました」
良かった。自害は思いとどまった。
「すみませんが、捕まったドワーフの人たちに私は会いたいので、ドワーフたちがいる所に案内してください」
「ドワーフは明日処刑しますので、精霊様がお会いになる必要はございません、おそらく命乞いをするだけでございます」
「ドワーフの処刑は許可できません」
「彼らも神々との契約でここに来たのですから」
「世界樹から落ちた枝、葉はありませんか?」
「あれば用意してください」
ドワーフさんたちと面会したらドワーフたちはかなりひどい目にあっていた。これってドワーフさんたちとエルフさんたちの争いの火種になる。治療しておこう。
私はドワーフさんたちのケガを治した。
「あなたたちが契約した内容は何ですか?」
「世界樹を燃やす事」殺気だつエルフのみなさんを抑えた。
「ここに世界樹の枝と葉を用意いたしました」
「これらを燃やしてください」
ドワーフさんたちはまったく理解が出来てないように見えた。けれども特別な道具で世界樹の枝と葉を燃やした。エルフさんたちがかなり驚いていた。
世界樹の葉といえども魔法の炎であろうと、普通に火を着けて燃えるものではないのにとエルフさんたちは口々に言っていた。それがあっさり燃えた事に驚いていた。
「これでドワーフと神々の契約は完了しました」私は一方的に宣言をした。
「ドワーフさんたちにドワーフ国王陛下より二度と世界樹に害をなすことは許されない」と言明されたこと、国王陛下の署名の入った文書を渡した。
エルフの人たちにも聞こえるように、二度と世界樹に害をなすことをしないと私とエミル神様に国王陛下が誓ったことを述べた。
まだ、エルフさんたちが疑っているのはわかる。
「ドワーフは世界樹には二度と手は出しませんが、直接天界が世界樹を切るかもしれません」
「精霊様、私たちは天界の偽神々と戦うために世界樹をずって守護して来ました。
「私たちの命が失われようとも世界樹は守ってみせます」
やっとひと段落が終わった。お茶飲みたいって思ったらディアブロさんが「お嬢様、お茶でございます」っていつものようにやって来てくれた。本当に勤勉な悪魔さんだ。
エルフさんたちが驚愕の表情になっているのはなぜなのか?




