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天界の陰謀

「天界はドワーフの人たちを使って、アルム山を火山に変え、大噴火を起こし沿岸部に大津波を起こそうとしました」


「私どもはこの世界の創造主たるエミル神の命に従って、天界が立てた『人間絶滅計画』を阻止すべく動いております」


「エマに問う、その人間にはドワーフも含まれるのか?」


「ドワーフは火の精霊の末裔まつえと聞いております」


「エマ、ドワーフは既に人間だ、つまり、我々も絶滅対象に入っている」


「グレイは、天界とドワーフが協力関係になっていて人間を滅ぼすかどうかを調査していたとお前は言いたいのだろう」


「ご推察の通りでございます」


「グレイは釈放できない。彼には聞きたい事が多い」


「仕方ございません。機密文書室に侵入した段階で処分されてもおかしくありませんでした。国王陛下のご温情ありがとうございます」



「ところで、魔王を倒したエマならば天界の企てを止められるか?」


「止めたいと思っております」


「そうか、それならドワーフの国が受けた天界からの依頼リストの写しをその方に渡すので、天界の企てを止めよ!」


「我が王国も天界に悟られぬようにエマを支援しよう」


「ありがとうございます、国王陛下」



「はあ、王都の真下に空洞って、何がしたいわけ? 王族って天界の代理人なんでしょう」


「役に立たないから、不要だからとか。代理人業務をしない罰とか?」とヴィクターが適当なことを言っていた。


「世界中を焼け野原にするので、各地に発火施設の建設、旱魃かんばつにするので大型乾燥機の設置、火山ではない山を火山にする仕掛け、深海に津波発生機の設置とか、天界の人も色々考えているよね」


「それを人間のドワーフに依頼するのが理解できないけど」


「天界の神々にとってドワーフの国って地下だから目障りではないのかもしれないね、エマ」


「ええーと世界樹、ユグドラシルに放火ってコレなんなの?」


「確か、エルフの人々が守護している世界が始まった時に植えられた木だと言われている」


「エルフの国ってどこにあるの?」


「迷いの森、黒の森一度入ると二度と出ては来られない森、魔物の故郷と呼ばれている所にあるそうだ。ここに地図が描いてある」


「ドワーフの工作員が既に出発している」


「止めないと、ドワーフとエルフの間で戦いになってしまう」


「ドワーフたちは穴を掘りながら進んでいるはず、既にその入口は塞がれているだろうけど」


「迷いの森に地上からは近づけない、森が見えても逃げる森だから」


「動く森って言うことかしら」


「森は見えているけど、幻影で、実際の森は別のところにあるのかも」


「蜃気楼ってやつだね」ウエルテルは説明してくれるけどまったく理解できない。


 地図が当てにならないのに、ドワーフたちはどこに向かってトンネルを掘っているのだろう」


「ドワーフは精霊の末裔まつえ、エルフも同じく精霊の末裔だったりする」


「つまり、自分たちと同じ気配がする方向にトンネルを掘っていると僕は考えている」


「エマも時々精霊になるよね」


「突然ウエルテル、何を変なことを言い出すのよ」


「青い帽子に青い上着、そして青いズボン姿ってどう見ても精霊でしょう?」


「あの姿は、エミル様のご趣味なわけで」最初は死神の姿に変えられたことは秘密にしておく。


「私ってあの姿になると、精霊になるわけ?」


「人の気配がまったくしない、ドワーフの気配に近いとドワーフの国に来てからとくにそう感じるようになった」


「そう言うことで世界樹探しはエマにしてもらおうと思っている」


「精霊ならエルフも警戒しないから」



 現在ただ今、全身青色の私はヴァッサを操って迷いの森とやら付近を飛んでいる。森なんてどこにもないし、ずっと草原地帯なんだけど。精霊の気配を感じろって言われてもまったく感じない。気持ち良く飛んでいるだけ。お腹が空いた。お水が飲みたい。


 何だろう違和感がする。地上に降りてみようか。


 地上に降りたら草に飲み込まれた。「ウギャ」って変な声が出てしまった。


 草原じゃない。森の中だ。神聖な空気に満ちている。でも、どちらの方向に行けば良いのかがわからない。


 空気の流れに集中した。空気は円を描いてグルグル回っている。あっちから神聖な空気が流れて来ている。私はその方向に向かって進んだら、強い殺気を感じた。


 私のシールドが二枚矢に射抜かれていた。闘いは避けられないかも。


「矢が空中に浮かんでいる」

「あれは人ではない、精霊様だ」

「イヤ、あれは青い服を着た女の子だ」

「ただの女の子が俺の矢を防げるわけがない」


 矢をね、射かけてから議論するのっておかしくないかなあ。これ以上進むとタダでは済まないとか警告ってしないのかなあ。

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