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アルムの山が大噴火、エマ、ドワーフの国へ

 翌朝、雲一つない晴天の中、アルムの山が大噴火を起こした。色取りの噴石が数百個真っ直ぐ上空に打ち上げられ、そのいくつかは細かく砕けて、大きな音がドドンと鳴り響いた。


「タマヤー、カギヤー」とゆきちゃんが謎の掛け声を掛けていた。


 火山灰もなぜかキラキラ光ながら落ちてくる。とっても綺麗だ。


 十センチメートルの津波は起きたものの被害はゼロ。ただ、噴火時の音にびっくりして腰を抜かした住民が多数出てしまった。これは予想外だった。



 予想外は天界でも、「火山が大爆発したのに、津波が十センチメートルってどう言うことだ」


「予想では十数メートルの津波が沿岸部を襲うはずでした」


「予想以上に地盤が固かったのかもしれません。各地の地盤の調査をやり直した方が良いかもしれませんね」


 そう言うことで天界から地上に地盤調査の専門家が派遣されることになった。


 人間絶滅計画の実行を、私たちは知らずに遅らせることに成功していた。それがわかるのはもうしばらくしてからのことだった。


 私たちはアダマンタイトの鉱石をドワーフの国に運んでいる。もっとも私が鉱石をフローティングボードに乗せて運んでいるので、全然大変ではないのだけれど。


 ドワーフさんたちの国は地下にあるそうだ。私たちは坑道を歩いているのに、坑道内はなぜか日の光が入って来ている。


「どうして坑道内に日の光が入って来てるの? ウエルテルわかる?」


「たぶん鏡を使っていると思うのだけど、それらしき物が坑道内にない」


 私も鏡を反射させて坑道内に光を取り入れていると思って周囲を見るのだけど、鏡がない。


 坑道の外が暗くなると坑道内に灯りが灯る。


「この灯りって炎が見えない、第一密閉されている容器の中で火が燃え続けるはずがない」とヴィクターが魔道具開発のきっかけを掴んだみたい。


「この容器の中には魔力が入っていない、つまり魔道具ではないのに灯りが灯っている」

「ドワーフの技術を学びたい」とヴィクターが言い出した。


「ヴィクター、アダマンタイトの鉱石をドワーフさんとこに届けたら一度学校に帰るからね!」


「わかっているよ。エマさん」と言いつつも灯りを眺めているヴィクターだった。


 坑道の中は風が通るものの、前に進むにつれて気温が上がっている。とっても暑くなってきた。それに地面が微かに揺れている。


「ドワーフの国って火山地帯の地底にあるみたいだね」


「ドワーフさんたちって火の精霊の末裔まつえとか言われているから、火山近くに住んでいてもおかしくはないよね。ウエルテル」


 火山ではない山を火山に変えてしまうくらいだもの。


 ドワーフの国に着いたものの、そこからどうすれば良いのか? ドワーフのリーダーさんは国に入ったら誰かが寄って来るからソイツに聞けば良いと言っていた。誰も近くに来ないのですけど、私たちは明らかに避けられています。


「もしもし、あんたたちは異国の人ですね、すみませんが規則なので入国許可証を見せてください」


「火山で作業されておられたドワーフさんに鉱石を運ぶ様に依頼されただけで入国許可証は持っておりません」


「火山で作業と言うと鉱山開発局の連中か、相変わらず仕事以外は雑な連中だ」


「鉱山局まで案内するので短期滞在のViSA を鉱山局で発行してもらってください」


「ありがとうございます」


入国管理の人か警備関係の官吏にくっついて鉱山局にやって来た。短期滞在VISA はすぐに発行してもらえた。


 案内してくれた官吏の人が、「私たちがVISA の提示をお願いすることが頻繁にあります。常時所持しておいてください」


「ご親切にありがとうございます」私としては滞在する気はまったくないのだが、ヴィクター、ウエルテル、マリア、ニコラにゆきちゃんまで、ドワーフの国に魅了されている。


 ここはお役所だよね。なのに様々な宝石が無造作に置かれている。女性陣はその宝石に目を奪われている。


「ニコラ、あれってダイヤモンドよね」

「マリア、あんな巨大なダイヤモンドってあるのかしら? 水晶じゃないかしら」


 机の上にどデカいダイヤモンドが置かれている。見張りもいない。


「君たちかい? アダマンタイトの鉱石を運んで来たのは」


「見せてもらえるかな」


「はい、これです」


「ほうーー、コリャすごい。これを見たらオプション大奮発だよな」


 いえ、あの人たちはアダマンタイトの現物を見ずに作業を始めました。注意した方が良いですよと言いそうになった。

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