隣の少女、その名は山宮五月
今日三項目です。よろしくお願いします!
翌日。よく晴れた朝七時。俺は目覚ましとともに目を覚ました。リビングへ行くと、妹が朝食を用意してくれていた。
「はぁ〜…おはよう」
「おはよう、兄ちゃん」
あ、おはようって言ってくれた。
「兄ちゃん、机に弁当置いといたから。忘れないで持ってってね」
「お、おう。ありがとう」
あれ?やけに優しい。
「ん?怒ってないのか?」
「いつまでも怒ってるわけにいかないでしょ。私ももう中3なんだから。…あと、モンブランくれたし…」
ほほう、妹はツンデレであったか。にしてはツンが多すぎるけどな!
「なんだよ〜、ほんとは兄ちゃんのこと大好きなんじゃねーかよ〜」
やれやれ、そうだったらそうと言ってくれれば……
「あ?一言も言ってないんですけど?調子こくなっ!このくそ兄がっ!早く行け!」
また妹は俺を外へ蹴り出した。そして弁当を投げつけた。やーまたやってしまった。
「…やっぱクロウトだな…」
「あぁ?」
「な、なんでもありませーん!」
俺はさっさと学校へ行くことにした。
「よっ、おはよう!」
学校へ着くと、後ろから海斗が声をかけて来た。
「おはよう」
来て早々、大きなあくびをする。自分の握りこぶしが入りそうに大きなあくび。
「おい、昨日のニュース見たかー?また出たってな、連続殺人犯」
「そうだな。この辺も物騒だ」
「てか三丁目ってお前ん家の近くじゃね?」
「そうなんだよ、怖くて夜ちびったぜ」
「なんだよ、それ。おもろ」
そんな話をしながら階段を登ってくと、教室へと着いた。教室へ入ると、そこにいた全員の視線が、俺へと向いた。中には怖がるような顔もみせていた。
「なんだ?まだSランクに対して怖がってんのか?ばかじゃねーの」
海斗はそう言って自分の席へとつく。だが海斗の言ったことは違う気がする。何か、別なことに対して怖がっているような…。
「ほら、座れよ」
「お、おう」
俺は疑問を抱きながらも席へ着いた。
「1限は…数学か…」
準備をしようと机の中へ手を伸ばした時、何やら紙が入っていた。取り出してみるとそこには、『放課後、例の教室で』と丸文字で書かれていた。びっくりして隣を見ると、無表情で本を読んでいる女の子の姿があった。
「おい、雄也ー。帰ろうぜー」
いつものように海斗が一緒に帰ろうと誘ってくる。
「ごめん、今日も用事あるんだ。先に帰っててくれ」
「そうかー、お前も大変なんだな。じゃ、今度飯奢れよー」
「ほんとすまない」
そう言って海斗は帰っていった。ごめんほんと、ちゃんと飯奢るから許してくれ。
俺は言われた通り(実際は書かれていた通り)に昨日の教室へ来ていた。扉には相変わらず『探偵部』の文字。てか探偵部って学校にあっていい部活なのか?俺は中へ入った。そこには隣の女の子と、もう三人の男女がいた。
「お、この人が例のSランク生?」
「男でありますか。同士が増えて嬉しいですぞ」
「んー、中の下って感じの顔ねー」
その男女はそれぞれ俺に対して感想を述べていた。いや勝手に中の下とか色々言わんでほしいんだけど。
「そこに座って下さい」
女の子は俺を座るよう指示した。
「それでは自己紹介をしましょうか。あ、そういえば名前を言ってませんでしたね。私の名前は山宮五月です。よくいつきとかごがつとか言われますが、さつきです」
彼女、山宮五月は、そう自己紹介した。
「うちは坂崎陽奈。ひなって気軽に呼んでくれてええで」
ショートカットの女の子、ひなも続けていく。
「僕の名前は海堂友久といいます。同じ男部員として、仲良くしましょう」
さらに続けて眼鏡をかけた優等生のような男子、海堂が自己紹介する。
「あたしは嶺ヶ崎香織よ。よろしく」
最後に大人っぽい雰囲気を醸し出す彼女、嶺ヶ崎も続いた。
「あ、俺の名前は時谷雄也です。えっと、よろしくお願いします」
一応俺も自己紹介の波に乗っておいた。
「自己紹介も済んだことですし、今日の部活内容を発表します」
山宮が話を切り出そうとしているところで俺はその話を遮る。
「ちょっ、ちょっと待って。俺まだ何する部活とか聞いてないんだけど?」
「あ、そうでしたね。うっかりしてました」
あ、そうでしたね、じゃねーよ。俺何するか分からない部活の今日の内容とか聞いたってどうすりゃいんだよ。
「そうですね…あ、昨日のニュース見ましたか?連続殺人犯の」
「ああ、見たよ。三丁目の交差点だろ?」
「そうです。それが今日の部活内容です」
山宮は意味がわからないことを言った。今日の部活内容が連続殺人犯ってどういうことだよ。
「あのー、山宮さん。意味がわからないんだけども?」
「ですから、今日の部活内容はその連続殺人犯を探しに行きます」
「は?」
俺は始まったばかりの今年で最高のは?をだした。
『探偵部』どうやらこの部は、能力を持つものが起こした事件や事故を解決していく部活らしい。なんだよその部活って思うかもしれない。だって実際俺がそうなったから。だけどこの部活は毎年、多くの事件や事故を解決しているらしい。実績は十分。だが、ここ数年はこの部活は廃部だったらしい。その理由、それは毎年この部活は新入生のSランク生たちによって活動が行われてきた部活だった。だがここ数年はSランク生が出なかった。そのため廃部だったようだ。しかし今年はどうだろう。Sランク生が久々に入ってきたではないか。しかも6人も。そのためこの部活は復活された。
「と、言うことです。わかりました?」
「ああ、わかったよ。もう納得した」
俺がSランクじゃなかったら納得もくそもなかったが仕方がない。Sランク判定されたがためにこんなことになってしまった。
「ところで山宮、昨日お前敬語だったか?」
ずっと気になっていた。昨日は散々タメ口で対応されたのに今は敬語で接されている。
「そうですね、私はいつもは敬語ですよ。だけど昨日はあなたのこと警戒してましたし、強気でいこうと思ったんです」
「それはなんで?」
「いやだって、時谷さん隠さずにSランクだって書いてるじゃないですか。普通は私たちみたいにAとかBとかいって隠すものですよ。だからクラスの皆に怖がられてるんです」
えっ、なにそれ。聞いてないんだけど。だから皆、俺だけに対してざわざわしてたのか。あー納得。…納得じゃねーよ!俺だけかよS表明してたの。てか普通ってなんだよ、普通って!
「あ、あーそうなんだ…」
「はい」
相変わらず無表情で会話しやがるこいつは。もっと感情とかもて感情を。
「ところでここには5人だが、もう一人は?」
新入生には6人Sランク生がいるって言ってたが、もう一人がいない。
「それがまだ見つかってないんですよ。ここにいる人たちは学校からの指示で集まったのですが、その一人はこの部活に入部する気がないようで。先生に聞いても言ってくれませんし」
どうやらそいつは手を貸す気がないらしい。…ていうか強制じゃないなら俺も入部しなくてよくね!?
「あーあ、時谷さんみたいにS表明してくれませんかね」
「あ?喧嘩売ってんのか!?」
こいつ…ムカつくな。身長は小さいくせに言うことはでかく言いやがって。
「そういうとこが怖がられるんですよ。後時谷さん、村林さんと一緒にいるじゃないですか。あの人実は、元ヤンなんですよ。それもあって時谷さん、あなた連続殺人犯だと思われてますよ」
海斗、元ヤンだったのかよ。それにしては優しすぎるんじゃないか?高校入ってから気持ちを切り替えたのかな?だとしたらいい奴なんだよ。それで連続殺人犯て。だから今日はいつにも増して怖がられてたのか。
「それはいいとして、今日は連続殺人犯さんに会いに行きますよ」
「いやー、飲んだ飲んだぁー!」
「飲み過ぎですよぉー課長ー!」
「いんだよ今日はぁ!」
『鬼…見つけた…』
「んぁ?誰だぁおめぇはぁ!」
『鬼…殺す…』
「うっうわぁぁぁぁ!!!!こっちくんなぁぁぁ!!!!」
「か、課長ぉぉ!!!」
ザクッザクッ…
『鬼…退治した…ばぁさん…じぃさん…きびだんご…』
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