第92話 ロリコン(これ)はゾンビですか?
■隆臣
俺たちはエレベーターで高等部部室棟地下1階に向かった。
地下1階には遊戯部の部室や水泳部のプール、シャワー室があり、地下2階には射撃部の射撃場やアーチェリー部のアーチェリー場などがある。
また、地下1階と地下2階はともに屋外部活の屋内練習場も完備されている。
もちろん、体育祭でダーツやビリヤード、水泳や射撃やアーチェリーなどの種目があるので、地下も競技場となっている。
「デュフ、デュフフフフ」
そんな気色悪い声が聞こえたときには、時すでに遅し。
俺たちはロリコン擁護協会に囲まれていた。どうやら板橋はいないようだが、目測で10人以上のロリコンがいる。
凛、ジョーカー、十六夜姉妹の4人のロリっ子がいるこの状況は、かなり危機的だ!
「クッ! 囲まれたか……」
亀有さんは歯噛みして言い、言葉を継ぐ。
「赤羽、ロリコン撲滅隊は!」
「駄目だ! 今日はボディービルの大会があるんだ!」
ガチロリコンズはデュフデュフグヘグヘと言って距離を詰めてくる。
どうやらボディービル部は誰一人学園に残っていないらしい。
ゲイーズ以外の撲滅隊は高等部の女子かロリしかいない。絶望的だ。
4人のロリっ子たちはロリコン擁護協会を見てぶるぶると震え、俺、亀有さん、仙人、篝、亮二の五連の壁の後ろに隠れている。
「赤羽! 属性を変えろ!」
亀有さんが思いついたように仙人に提案した。
「は? 何言ってんだ」
「お前は四皇学食の仙人ということで大食い属性だが、今はゲイ属性になるんだ! そうしたらこいつらに打ち勝てる!」
「そんなの死んでもごめんだッ!」
仙人は大声できっぱり断った。
「くそッ! こうなったら属性愛称は悪いが、爺さん目白を呼ぶしかないか。七海、爺さん目白に電話してくれ」
「は、はい!」
十六夜姉はスマホを取りだし、震える手で爺さん目白に電話をかけた。
しかし、
「お師匠様、電話に出ないですわ!」
「マジかよ!? こうなったら赤羽! 指からビームを出せ!」
「それはオカルト人狼ゲームの設定だッ! お前こそビーム出せよ! 戦闘力53万なんだろ!?」
「デスビームか? よかろう。80パーセントのオレを見せてやろうッ! って出せるかボケ!」
なんか身内ネタすぎてようわからん。
「コントやってる場合じゃないだろ!」
亮二は2人にキレ、
「あ、あんなところにロリが!」
と、叫んだ。
それと同時にガチロリコンたちが亮二の指さした方向に注目する。
「逃げるぞ!」
その隙に俺たちは全力ダッシュでロリコン擁護協会から逃走を図った。
後ろを振り返ってみると、十数人のロリコンたちが懸命に手足を振って追いかけてきていた。
なんとか逃げ切った俺たちは、地下2階の倉庫の中にいた。
どうやら全員無事のようだ。よかった。
引き戸を少し開いて外の様子を見てみると、ロリコン擁護協会の1人がクンクンと匂いを嗅いでいる。
匂いをたどられてここが見つかるのも時間の問題だ。次の方策を考えねば。
電気をつけると光が漏れてしまうので、薄暗い中俺がそう思っていると、突然誰かの電話に着信があった。
しかも思いのほか音が大きい。
「こんなときに……でもお師匠様からですわ。お師匠様! 高等部地下2階の倉庫に来てください! ガチロリコンズに襲われていますの! 助けてくださいですわ!」
十六夜姉は必死に爺さん目白に救援を求めた。
「今すぐ来てくれるみたいですわ!」
爺さん目白が来てくれるのか。それは本当に助かる。
だが今の着信音で俺たちの位置がバレた。
爺さん目白が到着するまで、俺たちがどうにか時間を稼がねばならない。
「扉を抑えろ! 爺さん目白が来るまで持ちこたえるんだ!」
俺の言葉で、全員が引き戸を抑え始めた。
――ドンッ! ドンッ!
「そこにいるのはわかっているグヘ! 大人しく出てくるグヘ!」
「ここを開けるだお! 開けるだお〜!」
――ドンドンドンドンドン!
「ちくしょう! なんてパワーだッ!」
「目の前にロリがいるんだから、当然だろ!」
亮二に篝が答える。
目の前に欲しいものがあれば、是が非でも手に入れたいってのかよ。
それゆえのこのパワーか。ふざけてやがる!
少しだけ扉が開いてしまう。その隙間から十数人のロリコンたちがまるで生者の血肉を求めるゾンビがごとく、ロリたちを求めて扉をこじ開けようと手を伸ばしてきた。
ロリコンはゾンビですか?
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