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第91話 馬鹿ばっか

■凛


「バーカ!」


 え? なんだって?

 今ラナちゃん……わたしのことバカって言ったっ!?


「わたしはバカじゃないです! どうしてそんなこと言うんですか!?」


「だってラナが変化へんげできるって信じてくれなかったからっ!」


「それは……ごめんなさいっ。でもバカはないです! バカって言う方がバカなんですよ!」


「むむむっ! バカって言う方がバカって言う方がバカだから! ほんとバカバカだな!」


 わたしとラナちゃんが言い合っていると、


「バカバカばっか言いやがって! 馬鹿馬鹿しいぞ! お前らバカか」


 蘭さんに喝を入れられてしまった。


「ごめんなさい」


 と、わたしは謝るが、


「んお? 誰だお前!」


 ラナちゃんは蘭さんに自ら突っかかっていった。


「人に名を尋ねるより先に、自分から名乗るとご主人様から教わらなかったのか?」


「うるさい! われが尋ねているのだっ! 答えろ! ついでにお前も誰だ! お前もお前もお前もお前も!」


 呆れたように言った蘭さんに対して、ラナちゃんはさらに強気に出る。仙人さん、四谷ちゃん、七海ちゃん、篝さん、亮二さんに次々指をさしていく。


「ってお前はっ! アリスのボーイフレンドではないか!」


「ボーイフレンドちゃうわ!」


 あれ? ラナちゃんは亮二さんのこと知ってたの?

 ていうか杉野さんとアリスさん、付き合ってるの!? これは衝撃っ!


「あんなガサツでうるさくてチビな女のどこがいいんだ!」


「そうなのか? ま、どうでもい……」


「どうでもよくないッ!」


「え?」


 ラナちゃんが言い切る前に、篝さんが叫んだ。ラナちゃんもびっくりしている。


「亮二……お前嘘だよな? 俺たち約束したよなッ! モテないから二次元に生きていくって! 三次元の女は信じられないから二次元に生きていくって! お前裏切るつもりか!? 下手したら内部抗争だぞっ!」


「ち、ちげーよ! 嘘に決まってんだろ! 俺はリアルの女子になんて興味ねー! ましてやあんなロリ体型の女にはッ!」


「そうか……それならよかった。だよな。亮二に限って三次元に移行したりしないよな。俺たちは二次元のたみ略して二次民にじたみだよな。さすがは心の友だ!」


 篝さんと亮二さんはケンカムードだったけど、すぐに仲直りした。仲がいいんだね。


「ようわからんが、タカオミ! 今日はお前にまたまた伝言があって参ったのだ!」


 ラナちゃんはそう言って隆臣に向きなおる。


「おう。なんだ?」


「ナディアがな、カーニバルが終わったからな、日本に向かうってさ。たぶん3日後くらいに着くぞ。それと仮面舞踏会カーニバルでの結果がよかったみたいで、特急の中でも上位10%に入れたみたいだ! あとね、地下空間の調査ありがとうだって! 魔女アイラも喜んでいたぞ」


「そっか、報告ありがとう。ラナは偉いな」


「うむ!」


 ラナちゃんは満足そうに目を細めている。

 ナディアさん、また日本に来てくれるんだ。うれしいなっ!

 でも……隆臣はラナちゃんの頭をなでなでしている。ずるいっ! まったく……隆臣は女の子タラシすぎますっ!

 それにナディアさん、仮面舞踏会カーニバルに参加してたんだ。すごいなぁ。特急の上位10%に入れたみたいだし、これからも頑張って階級を上げていってほしい。

 ジョーカーも生前は一度だけ仮面舞踏会カーニバルに参加したことがあるらしく、そこで完成したシュヴァルツの大魔法を披露した結果、三級から一気に星級ステラにまで登り詰めたんだって。武勇伝だよね。


「ではわれはこれで失礼するのだ! って! ユキタカメジロの弟子たちではない!」


 ラナちゃんは七海ちゃんと四谷ちゃんにようやく気がついたようだ。


「気づくの遅すぎではありませんこと?」


「ずっとここにいたよ?」


「すまんなぁ。ところでユキタカはどこだ?」


「今はきっと高等部の方で巡回していると思いますわ」


 七海ちゃんが答える。


「巡回? あいつこんな所で何してんだ?」


「風紀委員ですわよ」


「あいつここの学生なのか? ジジィなのに? はははっ! おもしろいなぁ!」


 ラナちゃんは愉快に笑っている。ラナちゃんって顔広いんだね。


「それじゃあ今度こそ、われはユキタカとかここのシュテルンのヤツらに挨拶してくるから、またなお前ら! Arrivederciアリーヴェデルチ!」


 ラナちゃんは右手の人差し指と中指をおでこに当ててそう言い、カラスに戻ってからこの場を後にした。

 と思ったら、空中で翼以外を人間に戻し羽ばたきながら、


「タカオミ! またおやつ食べに行っていいか?」


 と、隆臣に尋ねた。

 ん? どうゆうこと? ラナちゃん、隆臣のおうちに行ったことあるの? わたしでもまだ行ったことないのに!? どういうこと!?


「おう、いいぜ。おやつがあるかは保証できないがな」


Grazieグラツィエ!」


 ラナちゃんはそう言って今度こそ去って行った。


「なんだったんだ一体……」


 と、仙人さん。 たしかに本当になんだったんだろう。明るくて元気な子だったけど。




 そんなこんなでわたしたちは屋上の探索を再開する。


「おーい、ちょっとこっち来てみろよ」


 蘭さんの方に行ってみると、


「お? なんだこのへこみ」


 亮二さんの言う通り、壁に正方形のへこみがあった。何かの仕掛けで間違いなさそうだけど。


「これはこう」


 わたしたちが考える隙もなく、四谷ちゃんは正方形のへこみにルービックキューブをはめこんだ。

 しかし、上手くはまらない。6つの面全てで試してみるも、どれもうまくいかない。

 そう、壁の正方形のへこみの中にはさらに凹凸があり、ルービックキューブにも凹凸があるからだ。

 凸のキューブと凹の壁の穴。これが上手く噛み合わないと、ルービックキューブは壁の正方形のへこみにははまらない。

 きっと正攻法でコーナーキューブの鍵を手に入れていれば、どこかの面はしっかりとはまっていたはず。

 結局ルービックキューブを6面完成させなきゃいけないのか。




 コーナーキューブの鍵を元に戻し、ルービックキューブの攻略法をググって調べ、わたしたちはなんとかルービックキューブを6面完成させた。

 そして壁の正方形のへこみにルービックキューブをはめてみる。白い面がうまくはまった。


「おお! はまった!」


 蘭さんは驚くが、実際のところなにも起こっていない。


「こうじゃない?」


 ジョーカーが壁にはまったルービックキューブを回転させた。

 すると、


 ――ガチャ


 どこかで鍵の開く音が聞こえ、それと同時にルービックキューブが壁からポロリと落ちてきた。

 そしてルービックキューブの白い面には、『地下に行け』という文字印刷されていた。



 To be continued!⇒

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