表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/363

第76話 二種目めバレーボール 陰キャVS陽キャ

■隆臣


 ほどなくして3人が目を覚ました。


「ッ! ここは……保健室!?」


「いや外だよ!」


 さっそく篝にツッコミを入れる俺。


「なんでこんなところにバレーボールがあるんだ?」


「うーんよくわからん」


 薄男と亮二もそのように言っている。どうやら凪子さんの呪縛から解き放たれたようだ。よかったよかった。


「さーてお前ら。2種目めは何にする?」


「うーん、バレーでいいんじゃね? なんか俺、すげーできそうな気がする」


「ほら見ろよ俺の腕。さっきまでバレーやってたみたいに赤くなってやがる。これは神様からバレーをやれって言われているのさ」


「じゃあ俺もバレーで」


 俺の問いかけに薄男、篝、亮二が順に答えた。

 こいつら、直近の記憶も失っているな。強く殴りすぎたか?

 てなわけで、俺たちの2種目めはバレーボールに決まった。




 第二体育館前のベンチから第一体育館に移動し、参加待ちの列に並ぶ。

 どうやらバレーボールは、別のスクワッドと組んで8人1チームで行うようだ。

 俺たちと組むスクワッドは……、


「なんだこの陰キャ集団は……」


 ガリメガネ、ガリノッポ、デブメガネ、デブハチマキ。しかも全員不潔っぽい。すげー陰のオーラだ。

 ただし不潔なガリメガネやガリノッポ、デブメガネやデブハチマキが陰キャだと言っているわけではない。


「頼りなさそうなヤツらだなぁ」


「負け試合の予感だぜ」


 薄男と篝は彼らを見てそうつぶやく。薄男、おまえも見た目は十二分に頼りないぞ。薄すぎだ。


「おい、しかもあのデブメガネ。8組の矢田じゃねーか?」


「矢田?」


 亮二の言葉に俺は首をかしげる。


「元ガチロリコンだ」


 元ガチロリコン? 元四皇だってのか? この男。


「なぜやめた?」


「負けたのさ。ガチロリコン板橋に。愛で」


「そういうことか」


 俺は納得がいった。




 そんなこんなで始まったバレーボールの試合。

 亮二、薄男、篝、矢田、ガリノッポ、デブハチマキがスタメンだ。

 相手チームはバリバリ運動ができそうな男子8人。


「っしゃあ勝つぞーッ!」


『おー!』


 円陣なんか組んじゃって、陽キャ臭ぷんぷんだ。

 陰キャVS陽キャって感じだな。

 こちら側が先行。亮二のサーブ。

 亮二はフローターサーブで相手コートにボールを送る。

 陽キャ集団はレシーブ→トス→アタックと自然な流れで三段攻撃をしてくる。

 デブハチマキのすぐ横に撃たれたスパイクだったが、反射神経が追いついていない様子だ。指先にすら当たってない。

 続く相手チームのサーブ。ジャンプサーブをしてきた。

 亮二が懸命にレシーブするが、矢田はそれをトスすることができず、顔面でボールを受け止めている。

 ダメだ。まったくダメダメだ……このチームだ。

 次と……その次もサービスエースを取られ、3対0。

 相手も舐めプしてきてる。ジャンプサーブをやめてフローターサーブに切り替えてきた。

 その後も一方的に点を取られつづけ、10対0。

 つまらない試合が、しかしここで動いた。

 相手のサーブをガリノッポがレシーブしたのだ。この試合で亮二以外は一度もレシーブに成功していない。だから相手も亮二以外を狙ってサーブを放ってきていた。しかしここでガリノッポが成功させたのだ。

 相手チームは一様に動揺する。亮二は走り出し、大きくジャンプ。いい具合に上がったボールをそのまま撃ち落とす。二弾攻撃だ。

 せっかくレシーブを成功させたのだからトスで失敗するわけにはいかないと思った上での二弾攻撃なのだろう。

 相手コートで初めてボールがバウンドした。動揺して一歩目が遅れた相手チームは、亮二のスパイクに対応できなかったのだ。

 次は矢田のサーブ。矢田は体育館の壁ギリギリまで下がり、そこから全力疾走を始める。

 そしてボールを高く投げ上げ、大きく跳び上がり、完璧なフォームでジャンプサーブを放った。


 ――ダンッ


 いつの間にか、相手コートでボールがバウンドしていた。


「は、速いッ!」


「まさかあいつ……サーブだけはできるのか!?」


 相手チームだけでなく、こっちのチームも非常に驚いている。

 続く2回目のサーブ。さすがは運動ができる男子ども。今度はレシーブこそされたが、あまりの威力にボールはあらぬ方向に飛んでいってしまう。

 あの体重から放たれる強烈なジャンプサーブは、まるで固定砲台だ。


「ちくしょうあのサーブ……強すぎる!」


 歯噛みする相手チーム。

 矢田を見ると、矢田はニチャアと不敵な笑みを浮かべていた。



 To be continued!⇒

ご閲覧いただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ