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第75話 哲美の部屋

■凛


 腹が減っては戦はできぬ! お昼ご飯を食べないと、午後にバテちゃう。

 そんなわけでわたしたち4人は第一体育館近くの第一食堂へ向かった。

 普段ここは高等部の生徒の利用が多いが、体育祭期間なので初等部や中等部の生徒もたくさん見受けられる。


『いただきまーすっ!』


 わたしはハンバーグランチ、ジョーカーはミートスパゲティ、七海ちゃんは照り焼き定食、四谷ちゃんはチキン南蛮定食だ。

 といっても、レギュラーサイズはわたしたちには多くて食べられないので、マイナス20円で小盛サイズにしてもらった。

 その上きのうの前夜祭でゲットした学食半額券があるから、一人当たり約200円くらいで購入できた。安すぎだよね。


「うん! やっぱりおいしい!」


「これもいけるわよ」


「さすが一流のシェフを雇ってるだけありますわね」


「おいひぃ」


 わたし、ジョーカー、七海ちゃん、四谷ちゃんはそれぞれそう言い、とってもおいしい料理を堪能する。

 たしか東京魔術学園のシェフ陣は、ミシュランガイド東京で星の獲得経験のあるレストランのシェフを雇ってるんだとか。そりゃおいしいわけだ。よく引き抜けたよね。魔術学園は三菱魔法工業の出資で設立されたし、やっぱり三菱のネームバリューが効いてるのかな?

 わたしたちが一流料理に舌鼓を打っていると――


 ――ルールール、ルルルルールル、ルルルルールールールールールルー…………


 謎の音とともに、天井から吊り下げられた薄型モニターから映像が流れ始めた。

 わたしたちはモニターに目をやる。


「今、東京魔術学園で大活躍されている学園の四皇の5人です。どうぞお入りくださいませ」


 オニオンヘアーをした黒柳徹美くろやなぎてつみさん(椿先生)がそう言うと、四皇たる学食の仙人さん、学食の番人さん、ゲイーズ青戸さん、ガチロリコン板橋さん、爺さん目白さんが拍手に迎えられて部屋へ入ってきた。

 きのうの大食い大会が引き分けに終わったので、学食の仙人と学食の番人は2人とも四皇になった。

 だから四皇なのに5人いる。へんなのー。


「ようこそおいでくださいました。よろしくお願いしまぁすぅ」


『よろしくお願いします』


 5人はソファに腰を掛ける。


「まず手前から、大食い担当の赤羽涼太さんと吉祥慶介きちじょうけいすけさん。ゲイ担当の青戸國光あおとくにみつさん。ガチロリコン担当の板橋幹雄いたばしみきおさん。爺さん担当の目白幸隆めじろゆきたかさんですー」


 5人は紹介されると小さく会釈する。


「アカバさんですもんね。なんでアカバネじゃないんですか?」


「なんで? なんでと言われても。そっちの方が読み易いからじゃないですか?」


「ふーん」


 自分で聞いといて、後は素っ気ないのが徹美さんである。


「さて、みなさん特技があるんですよね? 早速披露してくれませんか?」


 徹美さんは5人に提案する。突然だったので、5人は戸惑った様子だったが、


「ではワタシがやりますわねぇえええ!」


 ゲイーズ青戸さんは一歩前に出て、着ていたジャージを脱いだ。

 現れたのは黒光りする美しい筋肉。そして色んなマッスルポーズやジョジョ立ちをしていく。


「わぁすごい! あっ、硬ーい!」


 徹美さんはゲイーズ青戸さんの筋肉を触りまくる。

 徹美さんは筋肉が好きなので、しばらくゲイーズ青戸の筋肉をペタペタする。

 そしてゲイーズ青戸さんは徹美さんに筋肉モリモリの背中を見せつけ、


「徹美さん見て下さァアい! 鬼のかおですぅううう!」


 と。

 おお! たしかに筋肉が鬼の貌に見える! すごいっ!


「ちょっとよくわかりませんね」


 しかし徹美さんはそっけない。まさか哲美さん、範馬勇次郎を知らないの!? あのオーガを!?

 徹美さんは標的を仙人と番人に変え、


「赤羽さんと吉祥さんはフードファイターとうかがっていますが、日々どんな敵と戦っておられるのですか?」


 と、尋ねる。

 戦う!? 何を勘違いしてるのこのおばさん!


「いや、戦うっていうか、大食いのことです」


 仙人が答える。


「あ、大食いのことだったのね。知らなかったわ。わははは!」


 突然笑い出す哲美さん。よくわからないよ。


「まあいいわ」


 自分で聞いといて引きが早いのが哲美さんだ。


「目白さんは本年83歳になられるということですが、こうやって学園の高等部に通われております。このことをどうお思いですか?」


「新たな人生を始めたかったんです。人生100年生きる時代です。今からでも遅くないとわしは思います。

 まあ、わしは家庭の事情で高校というものに行けんかったんですわ。そんで高校生活――青春ってのをしてみたいと思ったんです」


「そうなんですかぁ。でも他の生徒と年の差がありますけれど」


「ええ。孫みたいに思っていつも見ていますよ」


 爺さん目白さんは笑顔で答えた。


「板橋さんが俗に言うロリコンになったのはどうしてなんですか?」


「まずは可愛いからです。髪の毛、おでこ、おめめ、おはな、おみみ、お口、おうなじ、お鎖骨、おかた、おわき、おぷっくらお胸、お脇腹、おへそ、おくびれ、お腰、おしり、お太もも、おふくらはぎ、おちっちゃなおててとおみあし……そのすべてが愛おしい! かわいい! 食べたい!」


「その食べたいってのは何なの?」


 出たー! 徹美ビーム! またの名を冷酷な眼差しもしくはれいとうビーム!

 徹美ビームは相手を不審に思うときに発動されるものだ。


「食べたいは食べたいですよ。言葉では言い尽くせませんね。ああ可愛いああ可愛い」


「将来ニュースで、あなたの名前を聞かないことを願っています」


 ほんときっもい! ガチロリコン板橋さんきもちわるい! 消えて消えてっ! 消滅して!


 その後も四皇と黒柳徹美さんのトークは続き、この学園伝統の校内放送『徹美の部屋』が終了した。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

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