第74話 かんぺきくん
遅くなって本当に申し訳ございません
■凛
「ちッ! 風紀委員か。めんどくせーのが来やがった。行くぞめーら!」
「うっはは!」
「はっはは!」
リーゼントさんたちは立ち去って行った。
「まったく……困ったやつらだ」
少年は呆れ顔でため息をつく。
「あのっ、和虎くん! 助けてくれてありがとうございます!」
「ううん。俺、風紀委員だし。それで結局、決闘はするの?」
「うん」
「そっか。みんななら大丈夫だと思うけど、がんばれよ。んじゃ、ばいばい」
和虎くんはそう言ってどこかへ行ってしまった。
岩崎和虎くんはモテる。とにかくモテる。ルックスいいし、運動もできるし、勉強もできる。リーダーシップがあって責任感が強く、クラス担任から推薦されて風紀委員になった。去年のバレンタインデーは100個くらいもらってたよ。
そんなかんぺきくんは、実は完璧以上なのだ。そう、和虎くんはあの三菱重工や三菱東京UFJ銀行、三菱商事をはじめとする三菱財閥金曜会のうちの一社である三菱魔法工業の御曹司なのだ。
三菱魔法工業は日本にあるほとんどの魔法マテリアルを開発生産しており、日本の魔法工業の中核を担っている企業なのだ。今ではイギリスの大英魔法マテリアルにつぐレベルにまでなった。
「うん! ばいばいっ」
わたしが手を振ると、和虎くんも笑顔で手を振り返してくれた。
「やっぱり岩崎くんはかっこいいですわね」
「うんうん」
七海ちゃんはほれぼれして言い、四谷ちゃんもこくこくうなずく。
「うーん、エリオットの方がかっこいいわね」
ジョーカーは謎の対抗心を示す。エリオットさんはジョーカーの夫で、真祖の吸血鬼。
ジョーカーはわたしの遠い先祖だから、エリオットさんもわたしの遠い先祖だよね。
まだ生きてるはずだから、今度会ってみたいなぁ。ジョーカーも会いたいって言ってたし。どんなにかっこいいんだろう? 隆臣よりかっこいいのかな? それはたぶんないよね。
「誰です? エリオットって?」
「教えない」
「どうして?」
「どうしても」
「むぅ。ならしょうがないですね」
七海ちゃんは食い下がった。
■凛
近くの自販機で飲み物を買って水分補給し、わたしたちは2種目めの競技会場に向かう。
わたしたちの2種目めは、第一体育館でバドミントン。わたしとジョーカー、七海ちゃんと四谷ちゃんのペアに別れてトーナメント戦に参加した。
さすがにバドミントンでは下克上できないので、同じ初等部の人たちと戦った。
ちょっとだけ苦戦したけど、なんとかわたしたち4人は互いに決勝まで進んだ。決勝戦で七海ちゃん四谷ちゃんペアに負けちゃったけど、ワンツーフィニッシュだったよ!
■凛
3種目めはバドと同じく第一体育館種目のバレーボール。
わたしたちのスクワッドともう一つのスクワッドの合同チームでトーナメント戦に参加し、余裕で優勝することができた。もう一つのスクワッドが全員運動できる男子でほんとうによかったよ。
「やったね! これでスクワッド合計350ポイントだよっ」
「順調順調!」
と、わたしとジョーカー。
「あ、11時半現在のランキングが出てますわよ」
「四谷たちのスクワッド1位だよ! しかも断トツ!」
七海ちゃんはスマホを取りだし、それを横から見た四谷ちゃんは上機嫌に言った。
たしかに2位との差は100点以上もある。
やっぱパン食い競走での下克上が大きかったんだね。
パンといえば……、
「そうだ! ちょっと早いけどお昼にしようよ!」
いっぱい動いたからお腹ぺこぺこだよ。
「そうね」
「では食堂にレッツゴーですわ!」
「ゴーゴー!」
To be continued!⇒
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