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第71話 白熱? 卓球バトル!

わかってると思いますが、第二部第一章は割とネタ枠です(重要なキーワードは結構盛り込んでます)w

■隆臣


 凪子さんがサーブのモーションに入ったと認識した瞬間、ピンポン球は俺の頬を掠めていた。


「ッ!? 一体何が!」


「あら? 見えなかったのかしら? 普通にサーブしただけですのに。ふふふ、おもしろいお方ですこと」


 不敵にほほえむ凪子さん。


「能力……なのか?」


「そんなはずはない。もし能力を使えば、審判の魔力感知器が反応するはず。つまりあれは……素だ。サーブが速すぎて見えなかったんだ」


 俺とペアの亮二が凪子さんをそう分析する。

 は? 普通に強いだと? それとも俺の動体視力が追いつかなかっただけか? そんなはずはない。エースの能力の加護なしに、俺はクイーンの能力の加護を受けたエミリーの超スピードの攻撃をこの目で見ることができた。

 それならどういうことだ? 凪子さんの放ったサーブがそれ以上に速かったのか?

 それも違う! ボールをちゃんと見ていなかったんだ! あのデカい胸が弾むのに見とれていて! ちくしょうなんてことだ! この俺があんなデカブツに魅了されていたなんて!

 俺は後ろを向いて、自分を落ち着かせるために一旦深呼吸をする。てか篝と薄男は鼻血垂らしてるし! まんまとハニートラップにハマりながって!


「亮二! ここは俺たちで何とかするぞッ!」


「ああわかっている! わかっているさ! でもッ! なぜかピンポン球が見れないんだ! 晴海凪子のバレーボールから目が離れないんだ!」


 このままではやばいぞ! 亮二までハニトラにはまっちまう!


 ――ペチン!


 俺は亮二の頬を思い切りビンタした。


「くっ! ありがとう隆臣。お陰で目が覚めた。さあかかってこいバレーボール野郎ッ!」


 亮二はバレーボール野郎こと凪子さんにラケットを向け、思い切り叫んだ。

 俺も構える。


「バレーボール……? ふふふ。よくわからないけど、次いきますわよ」


 来る! 不可視のサーブ! いや、バレーボールサーブ! 集中しろ! 見ろ見ろよく見ろピンポン球を! 来た! 見えるぞピンポン球がッ!

 捉えるんだ! ラケットの面でしっかり捉えるんだ!

 俺はピンポン球を捉えたと確信していた。しかし、なぜかまた空振ってしまった。


「なにッ!? ちくしょう! どうしてだ! 俺は最後までピンポン球を見ていたぞッ!」


「ジャイロサーブよ。すっごい曲がったでしょ?」


 凪子さんは得意げに笑う。


「ちくしょう! バレーボールに対処するだけで精一杯だというのに! 変化球まで……」


 狼狽する俺。


「くっ! 危ない! 意識が飛びかけた!」


 亮二は額に手を当て、もう片方の手を台について体を支え、苦しそうに呼吸している。

 さすがの亮二もこのままではヤバイ。

 しかし次はこっちのサーブだ。


「次はそちらのサーブですわよ」


 凪子さんはピンポン球を台にバウンドさせてこちらにわたしてくれた。

 危ない危ない。こんなゆっくりな球でも取り損ねるところだった。


「ここは俺がいく」


「ああ、任せた」


 俺のサーブを受けるのは凪子さんではない。ここでサービスエースを決めなければ、亮二が打ち返せたとしても、次の凪子さんのショットでまたインビジブられる。

 俺は大きく息を吸い込み、ボールを高く投げ上げた。


「はあっ! 飛天ひてんしょう!」


 俺はラケットで、ピンポン球の下側を思い切り擦ってサーブを放つ。

 ピンポン球は俺たち側のコートにワンバウンドし、凪子さんたち側のコートへ。

 女生徒は手を伸ばす。しかし、


「え!?」


 女生徒は目を見開いた。

 そりゃそうだ。ピンポン球が自分から離れていくんだから。

 中学の頃、遊びの卓球でバックスピンサーブ極めたんだよね。誰も対応できなかったから、以後俺の中では禁忌の技になったんだ。

 さあどうだ! 1年ぶりに放った俺の飛天・翔(名付けたのは俺)は!


「こんなのムリ〜!」


「っしゃ! やったぜ!」


 女生徒は台の上にべたんと倒れ込んだ。勝手に返ってきたピンポン球をキャッチ。俺は同時にガッツポーズ。

 これで2対1! 次も決めてやる!


「あらあら……」


 凪子さんも目をぱちくりさせている。

 続けて俺は飛天・翔をもう一度女生徒に放ち、さらに1点取り返す。


「はい、じゃあ次は藤井さんのサーブね」


「はい! がんばります!」


 俺は藤井さんという2年の先輩にピンポン球を投げ渡した。藤井さんはそれをキャッチし、


「ではまいります!」


 サーブを放ってきた。

 普通のモーションだ。変化球ではない。しかし、球は予想外の方向に逸れていった。

 あのモーションで変化球だと!?

 意表を突かれたが、球速は遅い! 消耗戦になって凪子さんにチャンスボールを打たれるなら、その前にスマッシュで決めるべきだと俺は思う。どうやら亮二も同感だったようで、藤井さんのサーブをスマッシュで返してくれた。


「ふふ。絶好球をありがとうございます!」


 瞬間、俺は抗うことをやめた。

 凪子さんがスマッシュの構えを取ったのだ。亮二のスマッシュを絶好球といった。この人の目には全てがスローモーションに見えているのか?

 そんなことを思っていると、隣の亮二が倒れた。そして上からピンポン球が降ってくる。


「かなわ……な、い。逃げろ! 逃げるんだ隆臣! このままだとお前まで……やられちまうぞ!」


「くっ! なんてパワーなんだ。ピンポン球だけで亮二をここまでするなんて……」


 選手交代をしようとベンチを見ると、なぜか篝と薄男は凪子さんを応援していた。ダメだこりゃ。


「負けました……」


 俺は負けを認めた。



 To be continued!⇒

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