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第70話 一種目め卓球 シュテルン晴海凪子

■隆臣


 魔術学園は幼小中高大一貫だが、外部募集を行っており、専門の試験を受けることで俺みたいに途中から入学することもできる。

 俺は友達が少ない。けどいる。だからボッチじゃないよ!

 東京魔術学園は都内にしてはかなり広い敷地面積を持つ学校で、学生数は幼稚園114人、初等部772人、中等部758人、高等部1223人、大学17,469人、大学院541人の計20,877と青山学院に匹敵する生徒数を誇っている。

 結構多いよね。でも魔術系の学校は全国にここと大阪の2つしかないから、人が集まるのは当然っちゃ当然かな。

 東京魔術学園約2万人のおよそ6割が魔術師で、2割が上級感覚覚醒者、1割ガイスト使いで残りの1割が非能力者かつ魔術についても普通の学校で学ぶ程度の知識しかないが魔術には興味があるという生徒だ。

 かつて――帝国魔法学校時代は酷いカースト制度があったそうだ。

 頂点はガイスト使いかつ上級感覚覚醒者かつ優秀な魔術師である存在――世間的にはシュテルンと呼ばれている人たちだ。

 実際、シュテルンは2030年度現在は9人しかいない。初等部に1人、中等部に2人、高等部に3人、大学に3人だ。魔術学園の学生約2万人いて9人。世界全体の比率でいえばもっと低い。

 そのような稀有けうな存在は、カースト制がなくなった今でもかなり特別扱いされており、特別なマントやブローチを身につけている。

 それだけでなく、いくら単位を落としても確実に進級できるんだとか。どんだけ優遇されてんだよ。

 加えて、魔法庁からは法院にアプレンティス(プトレマイオスに師事しじする者)になれるように要請してもらえるらしい。

 これヤバくね? 世界で48人しかなれない、全世界の平和を守る抑止力の弟子になれるかもしれないんだぜ?

 なんで俺がこんな話をしているか。それは今、俺たちの目の前にいるからだ。シュテルンの晴海はるみ凪子なぎこが。


■隆臣


 俺、亮二、篝、薄男は一種目目を卓球にした。第二体育館でかるーく準備運動やラリーをして対戦相手を待っていると、少しして初等部から高等部までの女子を15人ほど率いた女生徒が現れた。

 すらっと身長が高く、金の長髪のポニーテールが美しい。胸がバカデカくて顔立ちも整っている女生徒だ。俺はあんまり好みではないが。

 その女生徒は俺たちの目の前に立つと、ニコッとほほえんで、


「さ、試合を始めましょ」


 と言った。その声を聞いた瞬間、俺以外の3人が突然震え出す。


「おいどうした!」


「ほかめーは(アホかお前は)! こ、ここにいるのが誰だと思っている! シュテルンの晴海凪子先輩ぱいぱいだゾ!」


 変なしゃべり方で教えてくれたのは篝だった。


「シュテルン……?」


「おい男ども! 凪子お姉様を無視して会話するなんて無礼だぞッ!」


 と言ったのは俺が知る顔だった。たしか同じクラスの加藤とかいう女子だ。

 お姉様とか言ってたけど、一体どういう関係なんだ? 姉妹じゃないのに。まさかマンガとかでよくあるアレなのか? 上級生をお姉様って呼ぶあれなのか? いや、まさにアレだね。


「まあまあ加藤さん、そう怒らないの」


 凪子さんは優しくほほえみながら言う。

 そのほほえみは体が凍りつくほどに怖い。なんで?オーラもやばい。ただならぬオーラだ。こいつには指一本触れられないってのが確信できる。


「ですが!」


 抗議しようとした加藤に、凪子さんは人差し指を鼻の頭にくっつけて、


「しーっ」

 と。


 加藤はしゅんと大人しくなった。


「4人は何組かしら? わたくしは緑組です」


「お、俺たちは全員白組でごぜーますです晴海先輩ぱいぱい」


 凪子さんに問いかけに答えたのは高等部生徒会書記である薄男だ。生徒会として俺たちを代表して答えてくれたみたいだが、言葉がダメになっちまってる。


「あらあら。そんなに緊張なさらないで」


 たしかにどんだけ緊張してんだよ。この3人。


「鈴木さん? 実行委員の方を連れてきてもらえる?」


「はいお姉様」


 おいおい、ジャージの色でわかったが、鈴木さん3年生じゃん! 上級生をあごで使う下級生?

 これがシュテルンの権威なのか? 同じクラスにシュテルンいなくてよかったぁ。

 噂によると教師一部もシュテルンには頭が上がらないんだとか。なんそれ?




 少しして鈴木さんが実行委員の人を呼んできてくれて、まもなく試合が始まろうとしている。

 ルールは、ダブルスで11点マッチの4ゲーム先取という至って普通のもの。

 ラケットやボール、台には何の変哲もない。

 さすがの魔術学園でも卓球のルールをぶっ壊しまではしないか。


「それではこれより、試合を開始します。礼」


 実行委員の言葉で俺たちも凪子さんたちも礼をした。

 このときの俺は、てっきり普通の卓球をやるものだと思っていた。しかし数秒後、シュテルン晴海凪子のサーブを受けて、俺の常識はぶっ壊れた。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

この作品の第一部は元々三人称で書いてたんですよ。それを無理やり一人称にしたから、第一部と第二部で地の文の雰囲気が全然違うんですよねw

引き続きコミカルな第二部第一章をお楽しみください!ではまた明日!

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