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第57話 決着! ロイヤルストレートフラッシュ戦

◾凛


 わたしとジョーカーがはしごを登って外に出てみると、そこには隆臣、エース、ナディアさん、アンナさん、ストレート、マリアちゃん、フラッシュだけでなく、狙撃で殺されたはずのクリスさんと尚子さんもいた。

 今にも戦闘が開始されそうな雰囲気だ。


「凛! ジョーカー!」


 地上にいた全員が、隆臣の声でわたしとジョーカーの存在に気づく。


「一体何が起こっているんだ? 俺たちは死んだはず……!」


「細かいことは後で話すわ。今はわたしに任せて!」


 ジョーカーは隆臣にそう言って、みんなの前へ出る。

 そして、


「あなたたちの父親はわたしが倒したわ。さぁ、負けを認めなさいっ!」


 アンナさんたち4人にそう告げた。

 アンナさんは拳を握りしめ、


「……ッ!? まだだ! まだ終わってないッ!」

 と。


 10個の光の玉を形成していたフラッシュが、それらを発射しようとした瞬間、


『ッ!?』


 アンナさん、ストレート、マリアちゃん、フラッシュの4人を取り囲むようにして、石弾の弾幕が張られていた。

 ストレートとフラッシュは弾幕に対処できず、4人は石弾を身体中に浴びた。

 ジョーカーが時間を止め、その間に弾幕を張ったのだろう。目の前の石畳がいつの間にか陥没している。


「どう? これがシュヴァルツの大魔法よ」


 ストレートとフラッシュは、地面に倒れているアンナさんとマリアちゃんの中にそれぞれ戻っていった。


「お姉さま……痛いです…………っ! 体が……痛いっ!」


 マリアちゃんは悲痛の叫びを上げて、アンナさんにすがりつく。

 そんなマリアちゃんの頭をアンナさんはやさしく抱いてあげている。

 その光景を見たジョーカーは、


「バカみたい。たかが打撲ごときで何泣いてんの? こっちはあんたたちの父親に、全身の骨を砕かれ肉を裂かれたのよ? あんたたちにその痛みがわかる? まあわからないでしょうね。どう? その痛みを味わわせてあげようか?」


 と言って2人を睨みつけた。

 なんだか今のジョーカー、こわい。人が変わったみたいだ。


◾凛


 全員で地下空間に移動した。


「お、お父さま……ッ!」

「……っ!」


 2人は、脚部と額から血を流して死んでいる父の姿を見て、絶句の表情を浮かべる。

 それを見たジョーカーは、


「人を殺したのは生前もガイストになってからも初めてだった……ごめんなさい…………大切な人を殺してしまって…………ごめんなさい」


 目から涙を零して2人に謝った。

 アンナさんとマリアちゃんはそんなジョーカーに困惑する。


「ジョーカーが謝る必要はないだろ」


 と、隆臣。


「ううん、人を殺すことは等しく罪よ。たとえ時間を戻してその罪がなかったことになっても、人を殺したという事実は変わらないわ。それにわたしも、大切な人を亡くした悲しみはわかるから」


 ジョーカーは涙を拭き、


「時を戻すわよ」

 と。


 続けてロザリオを用意した。


「いくわよ。3、2、1……」


◾凛


 気が付くと、やはりそこは地下空間だった。


『っ!』


 ボス以外の全員が、ほぼ同じタイミングで目を覚ます。


「9時56分……大魔法は発現されたわ」


 ジョーカーはスマホを見てそう告げた。


「お父さまは……?」


 マリアちゃんは体の痛みが完璧になくなっていることを不思議に思いつつ、ジョーカーにそう尋ねた。


「大丈夫。もうすぐ目覚めるはずだよ」


 ジョーカーがそう言って少しすると、すっかり傷が完治したボスが目を開いた。

 ナディアさんはわたしとジョーカーの前に立って、自身のロザリオを構え、警戒態勢に入る。


「ッ!?」


「どうして……」


 困惑するボスとスペードにジョーカーは、


「時間を戻したのよ」

 と。


「お父さまッ!」

「っ!」


 アンナさん、マリアちゃん、ストレート、フラッシュはボスとスペードに駆け寄って、2人を抱きしめた。

 それを見てジョーカーは、


「隆臣、アリスに電話して、今すぐここに来るよう連絡して」


「おう。わかった」


 隆臣は自身のスマホでアリスに電話をし、旨を伝えた。


「10分くらいで到着するみたいだ」


 隆臣のその言葉を起に、少しの間沈黙が流れたが、それを破いたのはボスだった。


「私の妻……この子たちの母親は真祖エリオットに殺された」


『ッ!?』


 ボスのその言葉にわたしたちは驚愕した。


「そんな! エリオットはそんなことしないもん!」


 ジョーカーは、信じられないという表情で叫んだ。


「エリオット・シャルル・アラール=デキシュ。原初にして最強の吸血鬼たるヴラド・ツェペシュの玄孫やしゃごにして、法院フォルコメンが一角。

 やつは強い。強すぎる。私たち3人が力を合わせても到底かなわない相手だ。

 だから私は、シュヴァルツの大魔法を手に入れて、やつを打倒しようと思っていた。ま、それも叶わなかったがね」


 と、ボスは独白した。

 それを聞いた尚子さんは、


「私はテメェーを殺す権利がある。しかし、そうすれば私は地獄行きだ。貴様も地獄行き。つまり地獄で貴様と再開することになっちまう。

 それに、母も父も兄も……私が人を殺すことなんて望んでいないだろう。だからや〜めた! 復讐なんてや〜めた!」

 と。


「尚子……」


 尚子さんの言葉にハートはホッとした様子だ。

 これはこの前、わたしがハートから直接聞いたはなしなのだが、ハートが尚子さんのガイストになって間もない頃、ハートは尚子さんに、復讐に力を貸してくれと頼まれたらしい。

 やめた方がいいと答えたようだが、尚子さんは聞かなかったので、ハートは本当はやりたくなかったがしぶしぶ尚子さんに賛同した。

 しかし今、尚子さんがこう言ってくれたので、ハートはとても嬉しかったのだろう。目がうるうるしてる。


◾凛


 その後しばらく経って、


 ――カツカツカツカツ


 と、はしごを降る音が重なって聞こえてきた。

 そちらの方を見てみると、ちょうどアリスさんが何人かのMMA隊員と共に地下空間に降りてきていた。


「MMA神代アリス、連絡賜り参上したぞ」


 軽装武装をしているあたり、かなり急いで駆けつけてくれたのであろう。

 MMAの戦闘服に身を包んだアリスさんたちはボスたちの方に歩いていって、


「10時8分。マリーノファミリーボス3人を逮捕」


 6人にそれぞれ手錠を掛けた。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

あともう少しで第一部が完結します!

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