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第48話 スーパームーンの夜

◾凛



 その夜は恐ろしく大きな満月が夜空に浮かんでいました。

 わたしたちは豊園邸から決戦の舞台である神田明神に移動します。

 本殿の瓦礫の前にはアンナさんとマリアちゃんが立っていました。背後にはアンナさんとマリアちゃんと同じく赤髪の2人のガイストが浮遊しています。

 アンナさんはやっぱり美人さんです。マリアちゃんもやっぱりかわいいです。2人のガイストもアンナさんのような美麗さとマリアちゃんのような儚げなかわいさを兼ね備えています。



「よく来たな」



 と、アンナさん。



「おかげさんでな。ところでもう1人のボスはいないみたいだが」



「お父様は今、地下で作業をしている」


「なるほど。お前らを倒してから真打登場ってことか」



 アンナさんと隆臣はそのような言葉を交わします。

 そしてアンナさんが不気味な笑みを浮かべた瞬間、わたしの頬から血が流れて眼帯のひもが切れました。

 背後の地面には500円玉くらいのサイズの穴がポッカリと空いています。

 あまりにも一瞬の出来事でわたしたちは何が起こったのかまったく理解できませんでした。



「これが例のクレヤボヤンスか。噂には聞いていたがまさかここまで美しいとは」



 わたしの左目――千里の神眼クレヤボヤンスが露わになり、アンナさんはその美しさに目を奪われています。たしかにわたしも千里の神眼クレヤボヤンスは宝石みたいできれいだとは思っています。



千里の神眼クレヤボヤンスが本物なのか……試してみようか。フラッシュ」



 アンナさんがそう言うとマリアちゃんの隣にぷわぷわ浮かぶフラッシュと呼ばれたガイストは、コクリと首肯し背後に9つの光の玉を形成しました。そしてわたしに指をさしてきます。

 千里の神眼クレヤボヤンスが、わたしの右足から突然血が吹き出す数秒先の未来の光景を目撃しました。

 わたしは今立っている位置から数歩横にずれました。

 瞬間、正体不明の攻撃が再び地面をえぐります。

 一連の光景を見てマリアちゃんは、



「フラッシュの攻撃を避けることは不可能……なのに凛ちゃんは避けました。お姉さま、あれは間違いなく本物の千里の神眼クレヤボヤンスです」



 アンナさんを見上げてそう告げます。



「そのようだな」



 するとジョーカーは懐から3本のナイフを取り出し、万有引力操作でそれらを4人に向けて射出しました。



「無駄だ。ストレート」



 ストレートと呼ばれたもう1人のガイストは浮遊したままアンナさんをすり抜けて3人の目の前に立ちます。

 ナイフがストレートに命中する直前、ナイフは突然消え失せました。

 何が起こったのかわたしたちにはわかりません。

 続いてハートが小型の爆弾を、ダイヤが空気中から作り出したつららを放ちますが、さきほどのナイフと同じように全て消え失せてしまいました。

 わたしたちはその光景を見て驚愕することしかできません。



「何が起こっている?」


「こいつらのガイスト能力……謎が深すぎる」



 尚子さんとクリスさんはそれぞれそう呟きました。

 狼狽するわたしたちをよそに、アンナさんの右手の中に突如として拳銃が出現しアンナさんはそれを握ってわたしたちに向けてきました。

 エースは文字通り目の色を変え、第九感――分割高速演算を開始します。



「隆臣! 避けちゃダメです!」



 わたしは叫びました。

 隆臣がアンナさんの銃弾を避けた瞬間、フラッシュの正体不明の攻撃で頭を射抜かれる未来の光景を見たからです。



 ――バンッ!



 隆臣とエースは一瞬戸惑いましたがわたしの未来予見を信じてくれました。エースは分身を作成し放たれた銃弾を弾きます。

 隆臣が避けようとした先の地面にはやはりポッカリと穴が空いています。隆臣とエースはそれを見てゾッとします。

 しかしエースは、



「(どうして直接狙ってこなかったの? なんのためにわざわざ拳銃を使ったの? ……無意味にこんなことするはずがない。何か理由があるはず……)」



 と、ぶつぶつつぶやき始めました。

 わたしはエースの分割高速演算思考のうちの一つに入り、エースと思考を共有します。

 フラッシュの背後にあった9つの光の玉のうちの3つがなくなっていることにエースは気づきました。



――あの光の玉と見えない攻撃の関係性は何?



 と、エースは考えています。



「ダイヤ、ハート。横浜でのクイーン戦で、水蒸気を作ったって言ってたよね? それやって!」


「何か思いついたのね! 了解! やるよ、ダイヤ!」


「ん!」



 ハートとダイヤはエースに快く頷きます。そしてハートは周りに炎を形成し、その炎に向けてダイヤは空気中からかき集めた水をぶつけます。

 わたしたちの周りに薄い水蒸気が発生しました。



「また来た! 今度はわたしに……でもこれはっ!」



 自分の脚に向かってフラッシュから光の線が伸びています。避けようにも6本の光の線はわたしに逃げ道を与えてくれません。



「何やってるの!」



 ジョーカーはそんなわたしと左の方にあるえびす様との間にはたらく万有引力を強化してわたしをその場から突き飛ばしてくれます。

 わたしのふくらはぎを何かがかすり、さっきまでわたしがいた付近にはいくつもの穴が空いてました。

 ですがエースは、



「わかったよ! フラッシュの能力は光のビームを発射することだよ! 光の速さだから攻撃が見えなかったんだよ!」



 とフラッシュのガイスト能力を看破しました。



 To be continued!⇒

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