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第42話 第六の事件! 凛奪還作戦開始!

 むかしむかしわたしはあなたを愛していた。


 心臓が張り裂けそうなくらい鼓動して夜も眠れないかった。


 たとえ禁断の恋でもわたしはあなたと幸せな家庭を築きたかった。


 あなたは特別だからわたしには目もくれない。


 わたしがこんなに愛しているのにあなたは振り向いてくれない。


 好きって言いたかったけどもう声が出なくなっていた。


 愛してるって伝えたかったけどあなたは離れていった。わたしが届かないずっと遠くに。


 あなたはわたしに未来をくれた。


 本当にうれしかった。


 けどそのことすらわたしは伝えられなかった。


 あなたは死なない。


 でもわたしは待ってるよ。ずっとあなたを待っているよ。ずっとずーっと、いつかあなたの命が終わるその時まで。



◾ジョーカー



 白銀の髪の男と口付けをした。いや唇を噛まれた。でも不思議と嫌な感情はなかった。

 灰色のお下げの女の子がいてその子のローブの内側にはいくつものロザリオがあった。

 親友とお茶会をしたり街に出てショッピングをした。東洋から来たという奇妙な少女に出会った。

 数々の幽霊と意思疎通をして会話を楽しんだり神様から導きを受けた。大きな時計があった。

 あの男と本物の口付けをした。

 銀白色の髪の毛の赤ちゃんが産まれた。

 火の中にいた。熱かった。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。




 どうやら悪い夢を見ていたようだ。

 目を覚ますと隣では凛がかわいい寝顔でかわいく寝息を立てて眠っていた。



「なに……今の」



 妙にリアルな夢だった。体中から汗が吹き出してパジャマが体に張り付いてるわ。まるで水浴びしたみたいね。

 さっきの夢の熱さがなかなか引かなかった。喉が異常に渇き意識が朦朧とする。頭痛が酷い。

 外はまだ暗く時計は午前3時を示している。

 わたしはベッドから這い出てキッチンに向かった。

 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しごくごくと喉に通す。乾いた土に水を垂らすように水はどんどん胃に消えていく。

 1本をまるごと飲み干して手の甲で口元に伝う水を拭う。

 縁側に出て少しの間外の空気を吸ってから部屋に戻り再びベッドに入った。

 さっきの悪夢が怖かったので今度は凛に密着して目を閉じた。これで怖くないわ。



◾凛



 あついぃ……苦しい!



「ちょっとジョーカー!?」



 わたしはジョーカーに強く抱きしめられていました。暑苦しいよぅ。



「起きて! おーきーて!」



 ジョーカーを引き剥がしてベッドから立ち上がります。



「むぅ〜」



 ボサボサ頭のジョーカーが目を擦りました。



「おはよぉ凛」


「おはようジョーカー」



 わたしは挨拶を返します。するとジョーカーは大あくびをしながら、



「ふぁ〜、りぃんなんかすごい目してるわよ」


「目?」



 ジョーカーはかなり朝に弱いのでときどきこのようにわけのわからないこを言います。

 両目に両手を当ててみるものの特に腫れていたりするわけでもありません。やはり寝ぼけているようだ。



「なに寝ぼけてるの? ほらはやく行こ!」


 そう言ってわたしはジョーカーの手を引っ張ってダイニングへ向かった。



◾ジョーカー



 ノエルやボスからの襲撃もなく日は落ちた。

 夕食を取り順番にお風呂に入ることになった。わたしと凛はきのう同様一緒に入浴している。



「どうジョーカー?」


「ああ、うん。いいけどもうちょっと左下の方もよろしく」


「おっけー」



 凛はわたしの背中を洗ってくれている。



「ありがと凛。あとは自分でやるわ」



 そう言って凛からボディータオルを貰おうと後ろに振り向いたとき、わたしはポカンとしてしまった。



「凛……?」



 消えていたのだ。



「え? どこ?」



 凛の姿が忽然に消えていたのだ。

 床にはボディータオルが落ちていて湯船に隠れたり浴室を出たわけでもなさそうだ。



「まさかっ!」



 わたしは絶句した。

 わたしが凛に背中を流してもらっているほんの一瞬のうちにノエルとクローバーによって凛が連れ去られてしまったのだ!



「凛が……凛がノエルにっ!」



 泡がついたまま居間に飛び出して叫んだ。

 そこにいた誰もが驚いた。無意識で飛び出していたわたしはようやく自分がすっぽんぽんなことに気づいた。

 「きゃっ」と言ってしゃがみこんで顔を赤熱化させる。は、はじゅかしいぃ……わ。

 そう、みんなはわたしの言葉と裸体に驚いたのだ。



「いいから早く追いかけるわよっ!」



◾ノエル



「それじゃあさっそく取りかかるね」


「ええ」



 僕は手足を拘束されて身動きの取れないリンちゃんの首筋をペロリと舌で舐めた。ああ、おいしい。とっても!

 リンちゃんは不快に顔を歪めるも、口にはガムテープが貼られているので叫ぶことすらもできない。

 その顔とってもかわいい! もっと苦しむ顔が――かわいい顔が見たい!



「じゃあリンちゃん……血をいただくね!」



 第九感――石化の霊眼イントゥストーンを発動。リンちゃんの体はまるで石のように動かなくなる。

 僕は恍惚の表情で唾を飲み込む。

 そしてリンちゃんの首筋に牙を突き刺す。

 リンちゃんの血の味が口内に広がっていく――幸せが広がっていく。おいしい! どうしよう止まらない! このままリンちゃんの血……全部飲み干しちゃいたい!

 そんな僕の肩にクローバーは手を置き、



「そこまでにしときなさい」



 と言ってくれた。僕はゆっくりと牙を抜き無言でくちびるに付いたリンちゃんの血を舌で舐め取った。



◾ジョーカー



 豊園邸から北へ移動すること十数分。御徒町へやって来た。

 閑静な住宅街の中にあるあまり高くないマンションの前で、



「このマンションに凛がいるよ」



 眼を青空色に輝かせたエースはそう言った。

 ハートがエントランスの自動ドアをすり抜けて中に入り実体化して中から自動ドアを開ける。そして全員が中に入った。



 To be continued!⇒

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