第280話 見えざる力
新用語紹介(第2部第4章)の前に入れるべきだったものです……
■詩葉
終業式の放課後。私は死にかけた。トラックに轢かれそうになったのだ。
警察は自動運転システムに異常が発生し、運転手も居眠りしていたせいでトラックが制御不能になったことが原因って言ってる。
でも私は死ななかった。守ってくれたのだ。見えない誰かが。見えない力で。
でも声は聞こえた。声的に10代の男の人。
見えないお兄さんは謎の力でトラックを6枚におろした。それによってトラックは私に当たることはなかった。運転手さんもなんとか無事だったみたい。
■詩葉
事故直後。
――まあこんなもんか
脳内で誰かの声が聞こえる。
私は、
「誰?」
と尋ねた。
――わからないか? まあ仕方がない。俺はずっとお前の中にいた。気づかなかったのはお前だ
「ずっと……私の中に?」
――ああ。俺がお前の魂に憑依したのはお前が6歳のときだ。それから8年間、俺はあらゆる危険からお前を守ってきた
「あなたの名前は?」
――知らねェ
「え?」
――俺が自分について知っている情報はたった3つ。神霊であること。空間をある程度操れること。そしてお前を守るために存在しているということだけだ。
「よくわからないけど、お兄さんは私の守護霊ってこと?」
――守護霊……まあその表現が一番わかりやすいな
「ありがとう守護霊さん。いつも私を守ってくれて。本当に……ありがとう」
――おう
守護霊さんは短く答えた。
守護霊と会話なんて聞いたことないや。変なの。
「うっ!」
あれ? 急に頭痛と目眩が……。
――ちと出しゃばりすぎたか。今日は一旦帰る。またな詩葉、体調には気をつけろよ。事件や事故からは守ってやれるが、風邪からは守ってやれないからよ
「ちょっと待って! まだ聞きたいことが……!」
私の声は届かなかった。守護霊さんが遠くに行ってしまったような気がした。
To be continued!⇒
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