第274話 チャリオットVSジョーカー
■チャリオット
「東天西脚四連斬!」
上段から放たれる最高火力の四連続斬撃。やつはどう対応する。
「空穿!」
ジョーカーはヨルムンガンドのレイピアを4つの斬撃に合わせて上方に突き上げた。
東天西脚四連斬が相殺され巨大な爆風が発生。
「ほほう、避けずにパワーで対抗してきたか」
空穿はジョーカーの上段最大出力の攻撃の1つ。だがステータス的にはジョーカーよりも俺の方が遥かに攻撃力は高いし、大剣の元の攻撃力と攻撃力増幅補正により剣の衝突時や鍔迫り合い時にはあらゆる剣にパワーで勝る。なのに何故相殺された。あのレイピアの特殊効果か?
「空撃!」
ジョーカーの空撃は上空に1つの斬撃を飛ばし、それを分裂させて時間差で無数の斬撃を空から降らせる技。
そしてたいてい、ジョーカーはこれと同時にいくつかの技や魔法を併用する。
「精霊術式・瞬! 剣術式・シントフルート! ルーン術式・ケルビン!」
精霊術・瞬は精霊を使って一時的に自身の素早さを2倍にする魔法だ。ジョーカーは覇王の中でも素早さがズバ抜けている。さらに2倍となるともはや目では追いつけないレベルだ。
そんな破格のスピードから放たれる水属性最大級の破壊力を誇る剣術式・シントフルート。水と毒の双属性であるヨルムンガンドの牙のレイピアとは相性がいい。
「防御術式・ごく……ッ!」
俺は急いで防御術式を展開しようとするが、音速を超えるジョーカーの動きには追いつけずシントフルートを食らってしまう。
続けて発動された氷属性のルーン術式・ケルビンによりシントフルートで発生した水もろとも俺は凍らされる。
あらら……こりゃ困ったなぁ。だが、
(ルーン術式・スルト! 剣術式・灼炎!)
普段はあまり魔法使わないけど、対人戦では使うからな。少しは魔法にステータス振っててよかった。
剣術式は剣で切るモーションをしないと発動できないから、ルーン術式で周りの氷を溶かして剣を振るスペースを確保できなかったらそのまま生き埋めになるところだった。
そして空から無数の斬撃が降ってくる。さっきのジョーカーの空撃だ。
「なにッ!?」
ジョーカーが視界外だ! 第六感でやつの位置は察知しなければ……ッ! できない! なぜだ! とりあえず攻撃を防御しなければ!
「防御術式・極至天!」
空撃と目にも止まらぬジョーカーの攻撃を最高防御術式・極至天でガードする。危ないところだった。
空撃が止み、目の前にはジョーカーが立っている。
「驚いた。お前がここまで強いとは」
俺は何十年間も剣の道を歩んできた。
ガキの頃から友達やテレビゲームよりも屋敷の甲冑の剣に魅了されていて、その剣で庭のオークを切りつけてよく遊んでいた。自分で言うことではないが、俺はガキの頃から変なやつだった。
そんなある日、俺はイオに出会い契約してガイスト使いになった。イオが元テンプル騎士団の剣聖だと知った俺はその小さな少女に憧れた。
俺はイオから中世ドイツ剣術を学び、いつの日か法院で生活するようになった。
そしてあの男に出会った。メジロユキタカ――大剣豪。
俺はメジロに挑んでごとく負け、大剣豪に師事。第六感を鍛え、水府流剣術(水戸派一刀流、新陰流、真陰流を統合したもの)を学んだ。
それから俺はイオとメジロから西洋と東洋の剣技と剣術を学んで中世ドイツ剣術と水府流剣術を極め、ついでに折衷剣術なるものを確立した。
そんな俺がたった数ヶ月剣で遊んだ程度のガキンチョに剣の勝負で負けるわけにはいかない。
「決闘はまだまだ始まったばかりだ。存分に楽しもう!」
次は俺のターンだ。
「水府流奥義・月兎ッ!」
To be continued!⇒




