第264話 チャリオット参上
■ウタハ
ピエロ姿の少女は私たちの前に来てピエロの仮面を外した。
大きくてキラキラな目、桃色でぷるぷるなくちびる、シルクのように白くてなめらかな肌、まあるいほっぺた……か、かわいい! 同性をも引きつけるこの魅力! これが覇王ジョーカーさんなのか!
「ぎゃ、ぎゃばびーっ!」
なんかよくわからないことを叫んでユーはジョーカーさんを押し倒した。
「ひゃっ! なに!?」
ジョーカーさんは突然の出来事に困惑している。
「ほ、ほ、ホンモノモノホンの! ジョーカーさんだぁあああ! かわいい! かわいすぎる!」
「うぅ……やめろ! 抱きつくな! わたしは抱き枕じゃないのよ! 椿先生助けて! このバカ者を引き剥がしてください!」
ジョーカーさんはサーティーファイブさんに助けを求めている。団長に先生って呼ばれてしかも敬語を使われるなんて、相当信頼をされているんだね。
「こら、ユーちゃん! 離れるンゴ! さもないとんこつみたいにこんじゃうわよ!」
サーティーファイブさんは独特な語録を多用してユーを叱る。
しかしサーティーファイブさんしかわからない語録は、当然ユーに通じるはずもなく、己の欲のままにジョーカーさんを撫で回している。
「ユー、もう離れなよ。ジョーカーさん嫌がってるよ」
私もユーにそう言ったけど、ユーは聞く耳を持っていない。
「あらら、どうしたんだい嬢ちゃん。腹が減ってるのか? でもそいつは食べ物じゃないぞ」
「ほぇ?」
おじさんのイケボが聞こえたその瞬間、ジョーカーさんに馬乗りになっていたユーが消えた。
「久しぶりだな、嬢ちゃんたち」
ユーをお姫さまだっこし、巨龍ファフニールの大きくて頑丈な鱗で作られた鎧を身にまとったイケおじが声の主だった。その名もMagicsword―xChariozX――チャリオットさんだ。
「はわわわ!」
ユーはあわあわチャリオットさんの腕の中で暴れている。ビックリしているんだ。
「おっと……そろそろ下ろしてやらないとな」
そう言ってチャリオットさんがユーを下ろしたタイミングで、
「チャリオット、あんたとは話したいことが山ほどある。明日の夜にでも話をしたいわ」
と、ジョーカーさん。
「ああいいだろう。それじゃあちょうど24時間後、タナカのキッチンで待っている」
チャリオットさんはそう言って大通りの方に歩いていった。
「待っているチャリオット。あんたまさかLOLICホテルに泊まるんじゃないでしょうね」
「いや、そこだよ。だってあそこサービスいいし」
「やっぱり……わたしもよ」
「そらぁ奇遇だなぁ」
LOLICホテル――またの名をLOLインターコンチネンタルホテルはlolisgottoさんのLOL商会が運営する高級な宿泊施設で、感覚的には現実世界のANAインターコンチネンタルホテルだと思ってくれればいい。
LOL商会はインフラ整備やホテル業以外にも銀行業、不動産業、保険業、製造業、農林水産業、鉱業、卸売業、小売業など様々な業種を手がけている。そして目の前の覇王2人を見てわかったことがある。それはジョーカーさんとチャリオットさんは気が合うほどとっても仲よしということだ。
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます!




