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第256話 極時瞑想

更新遅れてしまいました!

■レオ


 川の向こうの建物の屋上から魔剣の蔵が俺を探している。

 俺は地面に転がっていた少し大きめの石を手に取り、助走をつけて魔剣の蔵に向かってかつてのイチローばりのレーザービームを放つ。

 石ころはナイル川を超え、カイロの側にいる魔剣の蔵まで一直線。

 しかし魔剣の蔵の第六感はやはり鋭く、短剣で一刀両断されてしまう。

 短剣が月光にギラリと輝く。それと同時に魔剣の蔵は屋上から飛び降りた。俺の場所を特定できたようだ。

 俺はピラミッドまで数分間疾走すると、地面がアスファルトから砂に変わった。

 ピラミッドの頂上に立って魔剣の蔵が来るのを待つ。こんなこと、現実を模した虚構空間レプリカでしかできないな。

 しばらく作戦を考えていると、魔剣の蔵はピラミッドの下までやってきていた。


「素晴らしい決戦場だ。現実では不可能なこともこの複製された世界では可能というわけか」


 魔剣の蔵はそう言って懐から短剣を取りだし、東脚西天六連穿とうきゃくせいてんろくれんせんの構えを取った。これは刺突六連撃の構えだ。


「触れるな!」


 傲慢魔法を発動しておく。

 初撃以外は攻撃をくらっちまうだろうが、傲慢魔法が打ち破られる原因を明らかにしなければならないからな。

 ステッキを構えたが、気づいた頃には右脇腹、左太もも、左胸、腹部、右肩から同時に血が吹き出していた。

 吸血鬼の優れた動体視力を持ってしても魔剣の蔵を視認することはできなかった。知覚できたのは魔剣の蔵が発生させた風だけだ。ちくしょう! また何もわからなかった!

 空中で体勢を変え、今度は俺の知らない構えを取る魔剣の蔵。

 だがそのとき、俺は大きな勘違いをしていたことに気づく。

 そもそも俺はなぜ見ようとしていたんだ。見るんじゃない。感じるんだ。魔剣の蔵の動きが見えないなら感じるしかないじゃないか。

 魔導書をしまって左手にステッキを持ち変え、大きく深呼吸をする。


 ――バンッ!


 地面に転がる俺の右手に握られたSSAシングルアクションアーミーの銃口から細く青白い煙が天に昇っている。

 右手、左前腕、頭部が欠損した俺がピラミッドの頂上付近に立っているのが見えるを右手はピラミッドの頂上付近に、左前腕はピラミッド中腹にあり、両断されたステッキの一方は砂の上に転がっていてもう一方は砂に突き刺さっていた。


「く……ッ!」


 そしてピラミッドの中腹あたりには脇腹に手を当てる魔剣の蔵がいた。その手は血で濡れている。

 俺の体はピラミッドを降りて頭部を拾い、切断面を合わせてすぐに接着した。


「なかなか……やるじゃないか」


 ああ、頑張ったよ。極時瞑想きょくじめいそう――一瞬で瞑想してほんの短時間だけ第六感の限界を引き上げたんだから。

 そのおかげで魔剣の蔵が俺の目の前に来たときに銃弾を一発撃ち込むことができた。

 魔剣の蔵は吸血鬼じゃないから一瞬で傷を修復することはできない。俺も首を斬られてかなりの体内由来の魔力粒子を消費してしまった。

 だがこのまま戦っていたら確実に俺が死ぬ。極時瞑想は連続行使できないからな。

 俺は傲慢魔法の魔導書を取り出し、隔絶領域を解除する。俺、魔剣の蔵、イオはケーブルカーに戻ってきた。


「タイムアップだ」


 ちょうどケーブルカーが高尾山麓の清滝駅に到着したところだった。


「あらら、それなら仕方ない」


 魔剣の蔵がそう言うと、イオは虚空に次元孔ディメンションホールを形成した。


「今日は楽しかったよ。キミとサシで戦うのがこれで最後じゃないことを祈る」


 と言って次元孔ディメンションホールをくぐる魔剣の蔵。


「ばいばい、ダーリンっ!」


 イオは笑顔でそう言いながら次元孔ディメンションホールの中に消えていった。

 だからダーリンじゃないっつーの!



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

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