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第225話 遅すぎる到着

きのうは投稿できずすみませんでした! 最近忙しすぎる……

■ジョーカー


「くっ……!」


 頭がカチ割られたように痛いっ! 首も右腕もお腹も……全身が痛い! しかし頬にはあたたかいものが伝っている。これは……涙? どうしてわたし、泣いてるの?

 そういえばここは……。朦朧とする意識の中、わたしは辺りを見渡す。目の前には海、地面はコンクリートで周りには高いビルや不思議な形の建物がひしめいており、たくさんの人々が行き交っている。

 ここはマリーンエデン。よかった、帰ってくることができたわ!

 ついさっきまで戦っていた――いや、一方的に惨殺されていたはずのコンテナ船が海上を進んでいる。わたしにとって完全にトラウマになったわ。きっとコンテナ船を見るたびに何度も殺された記憶を思い出してしまうだろう……恐怖記憶は忘れられないものだから。


「うぅっ……」


 吐き気が込み上げてきた。気持ち悪い。このひどい頭痛と吐き気は連続して大魔法を使った後遺症ね。残留する痛みと大魔法の後遺症にのる痛みと気持ち悪さでほんとうにどうにかなりそう。

 わたしは立ち上がろうと四つん這いになるが……、


「うぷっ……」


 胃の内容物が喉上部まで込み上げてきた。わたしは咄嗟に口を押える。この感じ……つわり並みね。

 生前のわたし――リンカは真祖エリオットとの間にリンネという子どもを授かった。リンネは吸血鬼と人間のハーフだったから、拒絶反応で半端なくつらかったわ。って! 今のわたしは10歳頃のわたしだから、神田明神の地下にある13歳の頃のわたしとは別物なんだから!

 深呼吸をしよう。すーはーすーはー。うん、少しだけ楽になったわ。


 わたしが立ち上がろうと膝を立てると、目の前に誰かがいることがわかった。その人はわたしに手を差し伸べている。見上げるが太陽が眩しくて顔まではわからない。でも雰囲気でわかる。


「来るのが遅いのよ。わたしたちの騎士になってくれるんじゃなかったの?」


「やあお久しぶりレディー。魔剣の蔵とちょーっとケンカになってね」


 わたしはレオの手を握って立ち上がり、


「騎士が勝手に行動するんじゃないわよ。で? 勝敗はどうだったのかしら?」


「お互いに致命傷を与えられなくてね。結局勝負はつかなかったよ。そっちは……その様子だと散々だったみたいだね」


「ええ、3回死んだわ」


「そりゃ大変だ。史上最強の禁忌の魔女がそこまで苦戦して逃げ帰ってくるとは」


「あ、相性の問題よ! 生前みたいに黒魔術が使えてたら勝てたわ! バカにしないで!」


「バカにしているわけじゃないよ。驚いてるだけさ。レディーが負けた理由はたった1つ。黒魔術が使えなかったからではない。もっと単純な理由さ」


「え?」


 わたしは小首を傾げる。


「1人で戦ったからだ」


「あ……」


 どうしてわたしは気づかなかったのかしら。当然のことだったのに。相手はチーム。しかも神獣である玄武を仕留めたほどの強者ぞろい。

 黒魔術の使えた生前ですら人数不利の勝負は極力避けてきた。黒魔術が使えずかなり弱体化した今のわたしに人数不利の勝負に勝てるはずがない。わたしはバカだ。大バカだ。みんなの期待に応えようと適うはずのない敵に向かって犬死して。


「気分はどうだい?」


「最悪よ」


「じゃあ口を開けて?」


「え? ……むぐぐっ!」


 レオはほんの少し開いたわたしの口に無理やり何かを押し込んだ。


「大丈夫安心して。それは最新の魔法薬学研究で法院のアマンダっていう女性によって作られたガイスト用の鎮痛剤だ。即効性と持続性が魅力だ」


「むむむ」


 そう言われたわたしはお薬をごっくんする。数秒経つと頭、首、右腕、お腹をはじめとする全身の痛みが引いていき、それとともに嘔吐感も軽減される。

 わたしはうなずいて、


「うん。楽になったわ。ありがとう」


 普段飲む鎮痛剤や生前の薬草とは大違い。おもしろいくらいに痛みが引いていった。薬学と魔法学の融合は、科学のみでは治療不可能な傷病に対して治療が可能になるだけでなく、あらゆる傷病の治療時間が著しく短縮されるんだとか。現在臨床試験中で早くとも来年には市販薬として販売が開始されるそうだ。


「よかった。それじゃあレディー、リベンジマッチといこうじゃないか」



 To be continued!⇒

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