第211話 あたおか
■樹
結局、亀有さんチームはチーズケーキ、椿先生チームはプリンを作ることになった。
このクッキングバトルの評価には創作性も問われ、より創作的な方が評価が高くなる。
「クリームチーズ、バニラビーンズ」
「砂糖、生クリーム」
「薄力粉、卵をフードプロセッサーに投入っと」
亀有さん、真希、くるみ会長は材料をフードプロセッサーに入れて一気に攪拌する。
「あ、あとこれも入れましょう!」
真希は笑顔でそう言って何かをフードプロセッサーに投入した。
「これはなんだ?」
亀有さんは尋ねる。僕も気になる。一瞬すぎてよく見えなかった。
「カエルです!」
何故カエル! まったく意味がわからん!
「おお、なるほど! 食感がいいアクセントになりそうだ!」
「いいねぇ! いいセンスだねぇ!」
何がなるほとだよ! 何がいいセンスだねだよ! 亀有さんもくるみ会長もアホなこと言って! あたおかだよ!
てか真希、そのカエルはどっから持ってきたの!?
くるみ会長は続いて、
「ならこのダイアモンドとパールも! あとプラチナも入れよう!」
そう言ってくるみ会長はブレスレットやネックレスについたダイアモンド、パール、プラチナを投入。ついでに指にはめた金銀の指輪も入れている。君たちのチーズケーキはポケモンかいな!
「いいぞいいぞ! 高級感が溢れる最高のチーズケーキできそうだ!」
――ガチャガチャガチャガチャ
フードプロセッサー壊れるて!
■樹
「卵にお砂糖に牛乳を入れてかき混ぜましょう!」
向こうはガチャガチャ、こっちでは椿先生がカチャカチャと材料を混ぜていく。
「先生、カップ持ってきたよ」
「テーブルに置いといて」
椿先生にそう言われた希望はお盆に乗っけたカップをテーブルに置く。
「よーし入れるわよー。みーちゃん! おさえて!」
「はいです!」
美咲委員長が梯子をおさえ、その上に椿先生が乗る。
「天空注ぎ!」
そう言って椿先生はめちゃめちゃ上からプリンの液体をカップに注いでいく。
「高い位置からなら何でも美味しくなる理論ですね! 先生!」
下から椿先生を見つめながら美咲委員長はニコニコ笑って言った。
高い位置からなら何でも美味しくなる理論はあのクラピカ理論にも並ぶ2大理論である。だけど椿先生! すっごく零れてますよ!
「先生、これも入れてください」
希望が椿先生にそう言って手渡したのはオレンジジュースだ。
「いいわねぇ。きっと蜜柑の風味が効いて美味しくなる!」
椿先生は希望からオレンジジュースをもらってカップに注ぐ。
「先生、これもよろしいですか?」
美咲委員長はコーヒーを渡す。
「これできっといいコクがでるわねぇ!」
椿先生はコーヒーも注いでいく。
だからめっちゃ零れとるって!高い位置からなら何でも美味しくなる理論とはいっても、流石のもこ兄もビックリだよ。
■樹
しばらくして両チームがチーズケーキとプリンを完成させた。
「ではまずチーズケーキの方を……」
審判長である涼太がそう言うと、全員がチーズケーキをフォークで小さく切って口に運ぶ。
――ジャリジャリジャリジャリ。ガチガチガチガチ
攪拌されたり、されていない貴金属達や宝石が口の中で踊っている。呑み込んだらやばいよ。
しかもその中にカエルのムニャムニャした感触もある。
でもチーズケーキの部分はイケてる感じだ。
続いてはプリンをいただくことに。
こっちは危険性こそないが、味は激マズ。てか固まってないし。
「じゃあランチーチームかよかったら赤を、椿先生チームがよかったら白を挙げてくれ」
結果は涼太、ゲイーズ青戸、T高田が赤。番人、ガチロリコン板橋、が白だ。結果は僕にかかっている。
どっちももはやチーズケーキやプリンではなかったし、はっきり言えばどっちも嫌だった。
でも、
「僕はどっちとか選べない。だってどっちも心を込めて作ってくれたのは同じでしょ?」
僕の発言に全員が目を丸くした。
「たしかにそうだな」
「どっちも心はこもっていたと思う」
「手料理を作ってくれるだけで感謝だわァア!」
「デュフ! どっちもロリのあじがじがじでおいじがっだ!」
涼太、番人、ゲイーズ青戸、ガチロリコン板橋はそろって僕に同意した。
「桜田っ! お前ってやつは!」
「樹君、そのぉ、ありがとうです!」
「まあ、このわたくしが作ったのですから当然ですわね」
「木君はやっぱり優しいねぇ」
「樹、イケメン」
「樹さん、今の様な発言は風紀を乱すので控えてください……」
亀有さん、真希、くるみ会長、椿先生、希望、美咲委員長はそれぞれそう言った。
あと椿先生、僕を木って言うのやめて!
To be continued!⇒
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