第190話 凛の新たな力
きのうはすみませんでした!
◾隆臣
「今、ばちばちぃって……」
エースの言う通り、今確実に凛の指先からは青白い稲妻が伸びていた。
「え? え?」
凛は目を白黒させている。
凛の稲妻の傷跡が青白く光った理由を解明した魔女隊ですら首を傾げている。
「どうして凛の手から雷が……? きっとその稲妻の傷跡が原因なんだろうけど……タケミカヅチの理が肉体に刻まれたってことか?」
「多分そうだね」
瞳を空色に輝かせたエースはナディアに頷く。
「あ、光が!」
ルシアが凛を指さした。
凛を見てみると、稲妻の傷跡の青白い光が少し薄くなっている。
「なるほど、今の電撃は稲妻の傷跡に溜まった魔力から形成されたものなんだね。だから電撃を放出すると傷跡の光が薄くなるんだよ」
と、エース。
「わたし、こんな力制御できません。今だって無意識に……」
「体に血を浴びなければ大丈夫だ。逆に言えば、必要に応じてその力を使いこなせるようになれ。きっと役に立つ」
「そうですね。これもこの目のときと同じ。神さまがわたしにくれた特殊な力ですもんね……」
凛は左目の眼帯に手を置きながら言った。次第に傷跡の青白い光も消えていく。
凛は特殊能力に憑かれる性質があるな。千里の神眼とか稲妻の傷跡とか。けどそれらを得る度に体が傷ついていく。
凛は普通の女の子であるべきで、特殊な能力も傷つく必要もないはずなのに。何とも戦わなくていいはずなのに。
◾隆臣
魔女隊が更木荘に帰った数時間後、今度は凛と同い歳くらいの白髪の少年が三鷹家にやって来た。英国紳士みたいな服装をしたあのレオである。凛に用があるという。こいつたしな吸血鬼だよな? 日中に出歩けるってことは、日光に耐性があるタイプってことだな。
「ミタカリン、お前は今日からプトレマイオスだ」
『……?』
凛、ジョーカー、俺、エースはレオの言葉に沈黙してしまった。
プトレマイオスって、魔法や能力を用いた犯罪行為の抑止力として法院が定めた最強の48人のことだよな?
「わたしが……プトレマイオス?」
凛はかわいく首を傾げる。
「お前とジョーカーが元プトレマイオス32位を討ち倒したからな。必然だろう」
元プトレマイオス32位……ロザリオ事件のボスのロマーノ・マリーノのことか。
「嫌ですっ! わたしにはプトレマイオスはつとまりません! だってわたし、まだ9歳だし……」
「わたしも反対よ。そんなめんどくさいことしたくないわ」
しかし凛とジョーカーはきっぱりと断っている。
「否応なしで決定事項だ。法院院長ロキ・バーグ様より誓約書も預かっている。監視役の我が師ブラド・ツェペシュもお前らのことを非常に気に入っていて、後見人にも立候補なさった」
「そんなぁ! ひどいですっ!」
「えー!」
凛とジョーカーはかなり嫌がっているな。
「月収は約7500ポンド……日本円で100万円くらいだな。それに名前だけでも構わない。プトレマイオスとしての仕事も一切免除しよう。これまでは日本在住のプトレマイオスはいなかったが、お前らがプトレマイオスの席に座ってくれるだけで日本全体に権威を示し、魔法や能力を利用した犯罪をかなり抑制することができる。それだけで十分なんだ」
レオも納得させるためにかなり必死になってるな。
「それに何があっても俺が2人を護衛する。俺は混血種の吸血鬼だ。任せてくれ」
すると凛とジョーカーは顔を見合わせて、
「しょうがないですね。わかりました。誓約書書きます」
「その代わりめんどくさいことは全部、レオに任せるわよ」
それぞれそう言う。
これにて史上最年少のプトレマイオスが爆誕した。
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