第187話 青白い稲妻
◾隆臣
翌朝。
今日は何を作ろっかなー! とは思いつつも、せっかくの土曜日だし、きのう凛とジョーカーが寝たのは2時30分頃だったし、もう少し寝かせてあげよう。
今から朝ご飯を作り始めたら匂いで起きちゃうから、もう少ししたらにしよう。
なのでエースとズムサタを見ていると、
「ほぇ? な、何これーっ!?」
子ども部屋から凛の叫び声が聞こえてきた。
俺とエースは子ども部屋へ走り、ドアを開ける。
そこには稲妻の傷跡を青白く光らせた凛がいた。
ジョーカーも凛の叫び声で目を覚まし、凛の姿を見て、
「おはよ〜りん。かみなりのもよーかっこいいね〜」
と、目をこすりながら言った。完全に寝ぼけているな。
「何なんだこれは」
「魔力粒子……だよ」
呟いた俺に、第九感を発動して瞳を青空色に変化させたエースが応えた。続けて、
「稲妻の傷跡に魔力粒子が流れているんだよ。稲妻の傷跡は高次元の傷跡だから、低次元の体内由来の魔力粒子が傷跡に沿って移動しているんだよ」
と、解説してくれる。
「ど、どうしよう……なんかこわいよぅ」
凛はあたふたあたふた慌てている。
「ナディアたちに来てもらおう! ナディアたちならきっとなんとかしてくれるよ!」
エースの言う通り、ここは魔法に精通している魔女隊に頼るべきだな。
◾隆臣
午前9時過ぎ、ナディア、オーラ、ホリー、ジャンヌ、エーリン、ルシアが三鷹家に到着した。
そして凛の青白い稲妻の傷跡を見た6人は円になって、わーわーうーうーがちゃがちゃ話し合い、
「凛の稲妻の傷跡が発光した理由は単純明快。そいつのせいだ」
ナディアはそう言い、黒い子猫を膝の上に乗せて車椅子に座るジョーカーを指さした。
「え? わたし?」
ジョーカーは小首を傾げる。かわいいね。
ナディアは大きく首を横に振り、
「違う。その猫だ」
ガイストであるジョーカーが発光の原因ならまだ理解できるが、どうしてペットであるみゃーこが原因なのか? でもそういえばみゃーこはただの猫じゃなくて霊獣っていうくくりの魔獣だったんだっけ?
「凛が寝ている間にそいつは稲妻の傷跡を舐めて治癒しようとしたが、霊獣は六次元世界の生物ゆえ、九次元の傷は治せない。しかし傷跡部分に浸透したそいつの唾液に凛の体内由来の魔力粒子が集まり、傷跡が魔力粒子の色に発光したんだ。だからそれは時間が経てば元に戻るはずだぞ」
ナディアはそう説明してくれた。
次元とか言われてもいまいちピンと来ないけど、とりあえず治るなら一安心だな。
「よかったです。ほっとしました」
凛は薄っぺらな胸を撫で下ろし、それからテーブルの上のコップを掴もうとした。
その瞬間、
――バリン!
ガラス製のコップが突如として割れた。
To be continued!⇒
よろしくお願いします!




