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第181話 恐るべし、勝利の剣

◾隆臣


 魔剣の蔵の右手にはレーヴァテインと呼ばれた炎のつるぎが、左手には鍔に金の魔力石がはめられた剣が握られている。


「あれは……勝利のけん!?」


 額に冷や汗を浮かべたナディアは一歩後ずさりしながら言った。ナディアがここまでの反応をするということは、この剣には何か恐ろしい能力があるのかもしれない。

 魔剣の蔵は勝利の剣という両刃剣から手を離した。

 しかし勝利の剣は落下しない。むしろ剣先が爺さん目白に向いている。

 瞬間、勝利の剣は勢いよく爺さん目白に向かって飛んでいった。それに続いて次元孔ディメンションホールから大量の剣が飛び出し、爺さん目白を襲う。

 だが爺さん目白は一歩も動かずにそれらの全てを妖刀で受け流している。その速すぎる剣裁きはとても人間業とは思えない。

 弾き飛ばされた勝利の剣は、同じく弾き飛ばされた大量の剣を引き連れて、今度は爺さん目白を背後から襲う。

 大量の剣に挟み込まれる形になった爺さん目白だが、畳の端を思い切り蹴り下ろし、盾にするように立ち上がらせ背後からの攻撃を防ぎ、前方からの攻撃も引き続き受け流し続けた。

 なるほど、勝利の剣は使い手の意思に関係なく敵を攻撃するようだ。しかも他の剣も従えることができるらしい。

 その間にエーリンは魔力粒子圧縮銃をイオと呼ばれた魔剣の蔵のガイストに連射し、俺はエースに複製してもらった両手のP320を連射する。

 しかしイオの目の前に次元孔ディメンションホールが出現し、エーリンや俺の放った銃弾はその中に入ってイオに命中することはなかった。

 イオはすぐに俺たちの真上に次元孔ディメンションホールを追加。そこから先ほど俺とエーリンが放った銃弾が放たれる。

  俺のもエーリンのもどちらも魔性ませいを帯びているので、俺は左手を翳し、ナディアのロザリオブレスレットの効果で魔力障壁を張って被弾を防いだ。

 魔剣の蔵は勝利の剣を手元に戻し、


「さすがは大剣豪。この程度では傷1つつかないか」


「……」


 しかし爺さん目白は無言で村正の切っ先に指を置き、その血を刃に伝わせる。

 瞬間、目にも止まらぬ速さで魔剣の蔵に詰め寄り斬りかかった。


 ――キンッ!


「は、速い! この歳になっても衰えてないのか」


 魔剣の蔵は第六感でなんとか爺さん目白の初撃を受け止めたが、その速さに驚愕している。

 しかし続く二激三激に魔剣の蔵は徐々に後退。


「くッ!」


 魔剣の蔵の背後に次元孔ディメンションホールが形成され、イオが入り、魔剣の蔵も爺さん目白の攻撃を受け止めながら中に入った。すぐに次元孔ディメンションホールが閉じる。

 そのとき一瞬の隙が生まれたが、爺さん目白は冷静に追撃をしなかった。もしここで追撃を行っていたら、ディメンションホールが閉じて刀身がなくなってしまっていただろう。

 爺さん目白は自身の第六感でなんとなくそれを予期し、攻撃を中断したんだ。

 どんなときでも冷静さを欠かさず、常に第六感を張り巡らせる。これが爺さん目白の戦い方だ。ガイスト使いでも上級感覚覚醒者でもない爺さん目白がプトレマイオス候補にまでなれたのはそれが要因だろう。



 To be continued!⇒

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