第180話 魔剣の蔵VS爺さん目白防衛隊
◾隆臣
本物の爺さん目白が妖刀村正で魔剣の蔵に斬りかかった。
――ガキン!
しかし魔剣の蔵は第六感で攻撃を予測し、巨大な剣でガードされてしまう。
「ユキタカ……メジロ!?」
魔剣の蔵が先ほど首を断ち切ったのは、エースが複製した爺さん目白の分身体である。
「なぜ生きている? 今さっき確実に殺したはずッ!」
「軽率な判断……変わらないな。実にお前らしい」
「ッ!」
鍔迫り合いをやめ、2人は距離を取った。
「ちッ! 暗いな」
魔剣の蔵は舌打ちをした。
邸内を真っ暗にしているのも作戦の内だ。魔剣の蔵は明るい場所からやってくるので、暗闇に目が慣れていない。反対に俺たちはずっと暗闇の中で息を潜めていた。視覚の有利はこちらにある。
ここでホリーが短剣で斬りかかり、エーリンが魔力粒子圧縮銃を放った。
しかし魔剣の蔵の第六感はかなり鋭く、攻撃はすべて大剣で防がれてしまう。
「イオ、焔天剣だ」
「りょーかい」
イオと呼ばれたガイストは空中に謎の穴を作り出し、そこから焔燃え盛る剣を引っ張り出して魔剣の蔵に手渡した。
あの穴が爺さん目白の言っていた次元の孔――ディメンションホールだろう。穴の奥は四次元空間の世界なんだとか。
炎の剣は辺りを照らした。この部屋にいた爺さん目白、俺、エース、ホリー、エーリン、ナディアが視認されてしまう。
魔剣の蔵が炎の剣を水平方向に振り切ると、刀身の軌跡に炎が発生して俺、エース、ナディアの方に向かってきた。
ナディアは前に出てロザリオを翳す。
――キーンッ!
甲高い音ともに斬撃は消えた。あのときのロザリオと同じだ。
「そのブレスレット、大切につけてくれてありがと」
ナディアは少し照れくさそうに言ったが、
「けど今が使いどきよ。ぶっ壊れてもまた新しいの作ってあげるから」
俺に向かってそう言った。
そういえばこのブレスレット、あのロザリオと同じように魔力障壁を形成することができるんだっけ。
けっこう気に入ってたんだけど、下位互換とか言ってたし、魔剣の蔵のあんな攻撃を受止めたら壊れちゃいそうだな。
けど今使わないでどうする。魔剣の蔵の攻撃を防ぐ唯一の方法なんだ。そう思い至り、俺も前に出た。
「あらら、ロザリオ・スミスちゃんもいたのか。これは予想外だぜ」
「しばらくぶりですね」
「この度は、地下図書館の継承おめでとう」
「……」
魔剣の蔵は大剣を床に突き刺し、そして次元孔からまた別の剣を取り出した。
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