第178話 狙撃手
◾???
ターゲットの写真を部下たちに見せながら、
「次のターゲットはこいつだ。こいつは今までのターゲットとは違う。強い。未来視の第九感持ちのガイスト使いで、時間を操る大魔法を扱う。ガイストはあの禁忌の魔女で、ダークエネルギーを操る能力を持っている」
と、情報を部下どもに伝える。
「そ、そんなのに勝てるわけないじゃないですか」
部下が尋ねてくる。
「あたりまえだ。こんなバケモンと真っ向から戦うつもりは毛頭ない。たしかにこいつは、たった9歳にして元プトレマイオス32位を倒し、その座を奪ったヤベーやつだ」
「戦わないでどう殺すんすか!」
と、また別の部下。
「暗殺さ」
ターゲットの写真をテーブルに置き、
「今回の作戦は、魔剣の蔵が動いたと同時に開始する。ユキタカメジロを魔剣の蔵から防衛するために、魔剣の蔵の現れた場所に今回のターゲットは必ず出現する。そこで狙撃だ。今回の作戦のために超優秀な狙撃手を雇った。入れ」
――カツンカツンカツン
初夏にもかかわらず黒いロングコートを身にまとい、ライフルケースを肩から下げた女が、ハイヒールを鳴らしながら現れた。どうやら怪我をしているようで顔には包帯が巻かれている。その横にはガイストと思しき小さな女の子が浮いている。
「彼女は2020年から2024年までアメリカのSCP収容施設に務めていたが、SCP-239の暴走により施設は半壊。そこから2年間、彼女は逃げ出したSCPの駆除を務めていた。駆除したSCPは18体にも及び、凶悪なSCP-106、SCP-173の駆除にも成功したという。その功績を認められ、アメリカ陸軍のスカウトを受けて狙撃手として2028年まで務め、2028年からはフリーランスで暗殺業を行っている。あの大悪党ユスフ・ジダンを暗殺したのも彼女だ」
ロングコートの女についての情報を伝えた。正直最高の人材を雇えたと思う。キリスト教徒だということは除いて。
◾???
翌日、魔剣の蔵は東京魔術学園に現れた。
しかし学園の守り神たるイナリ神に足止めされ、すぐに帰っていってしまった。
何がしたいのかよくわからなかったが、とりあえず今日は作戦を決行することはできなかった。だが近日中にターゲット――三鷹凛は確実にこの世から姿を消すだろう。
To be continued!⇒
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