第170話 MMO東京本部第一小隊隊長代々木響の実力
遅くなりました! すみません!
◾アリス
「それじゃあ本当のトドメをさすわ」
そう言って玄武は左手のレイピアを地面に突き刺し、右手に持つレイピアをピンと構えた。
「それじゃあバイバイ。ゴミクズちゃん!」
玄武がレイピアを振り下ろしたその瞬間――
――ガキンッ!
レイピアが天高く舞い上がった。
「え?」
玄武は目をまん丸にして間抜けた声を出した。
「行くな、朱雀」
いつもの優しい声ではなく、任務に集中する真剣な声だ。
私の目の前には……ああこの背中…………あのときと――2年前と似ている。
「俺たちが来た。耐えろ、アリス」
玄武から私を守るように、彼らは壁になっていた。第一小隊特班――MMO東京本部の誇る最高戦力。
その中央に立つのはMMO東京本部最強の一角たる代々木響である。
「なんだい君たちは。無駄死にしに来たのかい?」
玄武は目を細めて特班を睨みつけた。
しかし、
「っ!?」
瞬間、玄武の両腕が宙を舞った。そして玄武の背後には響さんが立っている。手には何も握られていない。
玄武の腕の切断面は刃物によるものではなく、無数の風穴によるものであることが見てわかる。
これは響さんの第八感――韋駄天との同化によりなされるものだ。
ロザリオ事件で出会った凛という少女とジョーカーというガイストが保有するシュヴァルツのロザリオは、時間を止めたりすることができるらしいが、響さんは第八感によりまさに時間停止を思わせるほど素早く動くことができるのだ。
響さんに続いて、特班の方々が玄武に次々と襲いかかった。
玄武は響さんのあまりの速さに狼狽え、避けられるはずの攻撃すらもまともに食らっている。
しかしすぐに玄武は次元移動をして特班から離れた。
◾玄武
「な、なんなんだアイツは! 次元移動したのか? たしかにヤツからは韋駄天の野郎の気配はする。ヤツは第八感覚覚醒者なんだろう。けど半径25メートルは全部私の理に書き換えた。次元移動は不可能なはず。なのに今の動きは瞬間的すぎる。韋駄天が時間を止められるはずはない。まさか韋駄天の他にも誰かと契約しているのか? クロノスは初代黒の魔女の家系に肩入れしているし、カオスは今は女と契約を結んでいるはず。大魔法はガイスト化した初代黒の魔女の手にあるし、ガイストの気配がないからガイスト能力でもない。第九感は五感の進化だからその線は考えられない。もうよくわからないわ! なんなのよアイツ!」
あたしが額に汗を浮かべながら呟いていると、
「逃がさん」
背後から悪魔の声が聞こえてきた。
To be continued!⇒
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