第157話 禁則事項ですっ!
◾隆臣
ナディアの説明に俺たちは納得がいった。
この子がガイア理論で言うところのガイアであることはわかった――というよりそう仮定しよう。じゃあガイアは俺たちに何の用なんだ?
「我はお前らの根源。故にお前らの考えていることはすべて手に取るようにわかるぞ。シナガワタカオミ、貴様は今、なぜ地球たる我がお前らに接触したのか疑問に思っておるだろう?」
ガイアは目を細めて俺の考えていたことをズバリ見抜いてきた。かわいい顔して恐ろしいやつだぜ。
「しかしそれは教えることはできん」
「どうして?」
俺は尋ねる。
「禁則事項ゆえな」
「禁則事項って、お前は朝比奈みくるか?」
「むぅ! ふぃくしょんと一緒にするでない!」
俺の言葉にガイアは口を尖らせた。かわいいね!
「とにかく、この時点における未来の事項を知っている我は、お前らに語れることは少ないのじゃ。いわゆる禁句ってやつじゃの。タイムパラドックスの危険性があるゆえな」
『タイムパラドックス?』
ガイアの言葉に、魔女っ子たちは同時に首をかしげて同時に言った。みんななかよしだね。かわいい!
「うむ。たとえば現時点におけるお前たちがサラエボに行き、現地人によるオーストリア皇太子の殺害を防いだとする。無論、第一次世界大戦は発生しない。同時に現在の世界線における1914年以降の歴史がまるっきり異なり、第一次世界大戦を防いだ行為が意図的であるがゆえに宇宙からの修正力が発生してしまうのじゃ。
その世界線における絶対事項との格差が大きいほど、修正力は大きくなる。修正力は我ですら抗うことのできん宇宙律じゃ。つまりはこの世界の絶対的な力というわけじゃの。修正力がはたらくと、決まってその世界線は滅亡する。ゆえに我は禁則事項を口にすることは絶対にできんのじゃよ。
我が今回はお前たちと接触したのは、20年後の最悪の未来を回避するためじゃ。しかしどうしろこうしろと説明してやることはできぬ。わかってくれたかの?」
と、ガイアは申し訳なさそうに言った。
「わからないけどわかったよ」
「むぅ……むぅっ!」
俺の言葉にガイアはむぅむぅ言い始めた。不機嫌さんになっちゃったよ。
でも不機嫌さんは「あっ」と何かを思い出し、
「それともう1つ、未来のあの者から、魔術学園に潜入しろと言われておったんだわい。シナガワタカオミに全部任せろと言われたゆえ、我の全部をよろしく頼むぞ。タカオミっ!」
あーあ、こうして俺の周りにまた1人厄介なやつが増えてしまった。のちに学園で朝比奈ガイアと名乗る地球ちゃんのことである。
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます!
この章は新キャラが多いですよね。でもまだあと数人、重要キャラがいるんですよねぇ。




