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第14話 第二の事件! 凛の奇策

◾凛



「あなたは……まさかマフィアの!?」


「ああそうだ」



 狼狽するわたしとジョーカーに対して優しそうなお兄さんは優しい声で答えました。



「尚子とハートがこんなガキ共にやられたとはなぁ。てっきり第八感覚覚醒者かと思ってビビってたが……杞憂きゆうだった。この際はプランB……だな。いくぞダイヤ!」



 お兄さんが叫ぶとダイヤと呼ばれたガイストは宙に浮かべて準備していた巨大なつららを次々と発射してきました。

 わたしとジョーカーは公衆トイレの裏手に走り抜けるようにしてつららをかわし、避けられないものはジョーカーの能力で地面に落とします。

 なんとか公衆トイレの裏まで回り込み、敵との間に遮蔽物を挟むことができました。



「どうしようジョーカー! 尚子さんの言ってたこと、嘘じゃなかった!」


「大丈夫よ凛。簡単だわ」



 困惑顔で尋ねるわたしにジョーカーは落ち着いた表情で、



「やつを倒す! それだけよ!」



 と、答えました。



「倒す!? どうやって!?」


「……正直わたしの能力で、やつらを倒せるかわからない。でも、やるしかないわ!」



 わたしたちが話していますと、



「わたしの能力は鉛直方向にしかはたらかないってのに……っ!」



 いくつもの巨大なつららが上空から降ってきました。

 障害物の上からわたしとジョーカーを狙うためにダイヤちゃんが高角度に放ったのでしょう。迫撃砲のように。

 ジョーカーの能力ではこの攻撃に対処することはできません。しかし公衆トイレの壁に張り付くことでつららに当たることはありません。高角度とはいえ角度が付いている時点で壁に貼り着いていれば背後からの攻撃は100%当たりませんからね。



「やつらに攻撃する方法を1つだけ思いついたわ」



 ジョーカーはツインテールの先端をもてあそびながら続けます。



「より高いところに行く。そうすればわたしの重力強化も真価を発揮できるわ。それとあのダイヤとかいうガイストの能力はおそらく水を凍らせてそれを操る能力。ほら見て」



 ジョーカーが指さす方向を見ると、水飲み場の蛇口から出た水がつららに変わりダイヤちゃんの周りに移動しているのがわかりました。見えたのはそれだけではありません。



「コラ! 近寄るんじゃねぇ! じゃまだ! あっち行けッ!」



 お兄さんとダイヤちゃんの足もとに黒い子ねこがいました。子ねこさんはお兄さんの脚に頬ずりをしています。

 それを見たジョーカーは、



「そこの階段の上からならわたしの能力の効果範囲内。攻撃ができる。でもやつらを攻撃する道具がない……」



 わたしはこめかみに指を当てほんの少しの間考えてから、



「石ころじゃ……だめかな?」


「え?」


「さっきのカフェ、砂利敷いてたよね」


「たしかに、あそこならたくさんの砂利があるわね。でもやつらに見つからずに行くことは無理だわ」


「わたしが行く」



 わたしはジョーカーに背中を向けました。



「え?」



 間抜けた声を出すジョーカーにわたしは半分振り返って、



「ジョーカーに囮になってもらって、その間にわたしが砂利を拾ってくる。そしてそこの階段の上で合流する」



 そう提案しました。

 ジョーカーは数秒間あごに手を当てたのち、



「なるほど。やってみる価値はありそうね」



 と、わたしの作戦に乗ってくれました。


「よし、それじゃあ作戦開始!」



◾クリス



 俺たちが黒猫に気を取られている隙に、ジョーカーは階段を登って逃げようとしていた。



「ダイヤ! つららを撃て!」


「ん!」



 ダイヤは背後で形成したつららを俺の指示通りにジョーカーに発射した。

 ジョーカーはすぐに後ろを振り返ってガイスト能力を発動し、つららをすべて落下させた。



「ちっ! またか」



 悔しがる俺に対して、



「……私の能力効果範囲は半径5m。それより離れてたから、つららのイニシアチブが……ジョーカーに移った……のかも」



 と、ダイヤは分析して小さな声で俺に伝えてくれた。



「そうか。ならばもっと近づかなければな」



 俺とダイヤが階段の方に向かおうとしたそのとき、



 ――フイィィィィイン



 背後からプロペラ音が聞こえてきた。

 振り返ってみると空からものすごい勢いでドローンが落下してきていた。これはあきらかに制御を失っている。



「これはッ! 監視カメラドローン!?」


「……っ!」



 監視カメラドローンは2027年から東京都にて治安維持の目的で導入されたもので、監視カメラドローンシステムというAIが搭載されており、決められた区域内を巡回して機体下部に取り付けられた監視カメラで撮影する防犯ドローンである。

 ダイヤは背後で構えていたつららを発射。

 監視カメラドローンはつららに貫かれ、つららによる力積でドローンは俺たちに当たることなく地面に墜落した。



「これは……ジョーカーがやったのか? あいつの能力……わからん」



 相手の能力がわからないと戦闘においてかなり不利だ。

 しかし、



 ――ポタ、ポタ、ポタポタポタポタ



 砂の地面にドット模様が浮かび始め、その密度が次第に大きくなっていきやがて濃い茶色に地面は塗り替えられた。

 さあ、こっからは俺たちの世界だ!



 To be continued!⇒

第14話! ご閲覧ありがとうございます!

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