第150話 不干渉誓約
8月上旬までは不定期です……すいやせん!
◾魔剣の蔵
俺が鳥仮面女を観察していると、
――魔剣の蔵、あなたは何を考えておられる
女がテレパシーで俺に話しかけてきた。ほほう、こいつはテレパスだったのか。俺の予想だが、こいつは人間以外の生物ともテレパシーで交信できるな。なんとなく。
テレパスとの交信には、ただ単に伝えたいことを自分の頭の中で考えればいいだけなので簡単だ。
――特に何も。ただ観察してるだけだ。君たち過激派がどんな風にアトラスを排除するのかをね
――そうでありましたか。では今一度、魔剣の蔵、同じ反ブラド派とはいえ、手出しはなしでお願いしたい
――ああ、それはもちろん。誓約だからね
過激派最高幹部で序列3位のミア・ローゼン=クロイツと、穏健派最高幹部で序列2位のアーサー・ウィン・ウェストコットとの間で不干渉誓約が結ばれていて、お互いの作戦に邪魔してはいけないというものだ。
ミアちゃんの先祖は薔薇十字団の創立者であるクリスチャン・ローゼン=クロイツで、アーサー氏の先祖は英国薔薇十字協会所属で黄金の夜明け団の創設者のウィリアム・ウィン・ウェストコットだ。
ミアちゃんは10歳くらいの女の子で、ちょーかわいらしい見た目をしているのに、しっかり二代目禁忌の魔女としてその冠名を踏襲している。一代目はリンカ・フォン・シュヴァルツブルク=ルードシュタット。でもどうして何百年も経った今でもミアちゃんが二代目なのか。そう、ミアちゃんは吸血鬼なのだ。しかも真祖の。まあ、序列上位10人のうち半分は吸血鬼だからな。ちなみにアーサー氏も吸血鬼ね。俺は普通の人間だけど。
ミアちゃんかわいいから、スキンシップを図ろうとするんだけど、いつも嫌がられるんだよ。おじさん悲しいよ。
体内由来の魔力粒子にいくら余裕があっても、ガイストの霊魂がそのほとんどを占有してしまうので、2人のガイストを宿すことはできない。しかしアーサー氏だけはなぜか2人のガイストを宿している。なので他の序列に入ってるメンバーに比べて、彼は頭一つ飛び抜けて強い。
とはいえ、法院初代院長現監視者で序列1位のブラド・ツェペシュには到底及ばない。なぜなら彼のガイスト・スピカは神そのものであるからだ。旧神であるヤハウェと常に同化しており、すべての物事を好きなように操れるらしい。ヤバすぎるよね。
まあそんなことより、この飛行機めっちゃ急降下してない? そろそろ羽田空港とはいえ、この降下角度と降下スピードはおかしい。窓の外を見ると、信じられないような速さで滑走路が近づいてくる。
おいおい、嘘だよなあ? まさかとは思うんだけど、やつらこの飛行機を墜落させようとしているのか? さすが過激派、やることが頭がおかしすぎる。
――ドカーン!
俺の搭乗していた飛行機は羽田空港の滑走路に、頭から墜落した。
To be continued!⇒
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