第149話 同じ反ブラド派
◾???
俺がユグドラシルファクターを楽しんでいると、突然外界から誰かの叫び声が聞こえてきた。
最初は無視してゲームを続けようとしたが、それどころじゃないほど周りが騒ぎ立て始めた。
「ったく……」
俺は一度ゲームを中断し、ヘッドフォンを外して目を開ける。
すると、
「んあ?」
何だ何だ? 何が起こってるんだ?
ちょっとゲームやってるうちに……とはいえ3時間くらい経っていたが……機内が混沌になっていた。
目出し帽を被った何人かの男たちと鳥の仮面を被った女が機内前方で拳銃や小銃を構えている。乗客たちはかなり怯えている。
なるほど、ハイジャックか。そしてこいつらは赤の剣だな。あの鳥の仮面の女、この前法院で見かけた。
赤の剣がハイジャック……この機内にアトラスでもいるんだろうな。にしてもやり方が過激だな相変わらず。爆弾でも仕掛けられてるのか?
さて、面倒なことになってきたぞ。俺の大切なゲーム時間を奪いやがって、ったくよォ。
ってかめっちゃトイレしたいんだけど。膀胱そろそろ限界なんだが。でも今行ったら面倒なことになりそうだなぁ。
でもま、死ぬこたァねーし、行くか。便所に。
俺はバレないように静かーに立ち上がり、機内後方にあるトイレを目指す。
しかし、
「おいそこのてめぇ! 勝手に立ち上がるんじゃねーッ!」
「ありゃりゃ〜、見つかっちまったかァ」
目出し帽の男に見つかっちまって小銃を向けられちまった。怖いねェ。
「ちょっとトイレに行きたいんだけどォ、ダメかな?」
俺の発言に周りの乗客がざわつき始めた。そりゃそっか、まるで挑発してるみたいだもんな。でも許して欲しい。これが俺だ。
「何を言ってるんだてめぇ! 死にたくなけりゃあ大人しく座ってろ!」
なるほどそういうタイプか。
「そんなこと言わずにさァ。おしっこぶっかけちゃうよォ?」
「ッ! お前ら! 取り押さえろ!」
目出し帽の男の1人がそう言うと、2人の目出し帽の男たちが俺に近づいてきた。
「あらら〜捕まっちまったよ」
「俺らがトイレの前で見張ってるから、さっさと済ませろ」
「優しいところあるねェ」
「黙れ」
褒めたらまた怒られちゃった。
てなわけで、目出し帽の男2人にトイレの前で待機されながら用を足し、俺は席に戻った。
ふぅ、じゃあ鳥仮面の女の観察を始めようか。さっきはわざとらしく目立ったから、きっと俺の正体に気づいたはずだ。
やつはこの俺――魔剣の蔵をどうするだろう。同じ反ブラド派とはいえ、序列6位のフォルコメンの前で、この飛行機を爆発することができるのだろうか?
ま、爆発されても死なないから、俺はどうでもいいんだけどね。
To be continued!⇒
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